こんな方におすすめ
- 製造業で働いており、資格を取得したい方
- 自分の知識を増やしたい方
- 工業系の資格に興味がある方
工場などの製造業に従事していると、様々な資格が必要となる場面に出会うはずです。
資格を持っていないだけで作業をすることができなかったり、知識はあっても実行に移す権限が持てなかったりと、不便さを感じている人も少なくないでしょう。
しかし、だからといって数ある資格の中で現場で活かせるものはどれかと考えると、種類が多すぎて判断に困らないでしょうか。
資格を取ろうにも勉強する時間を捻出したり、取得のための費用も発生するので、無駄打ちはできるだけ避けたいところです。
そこで、本記事では実際にわたしが取得した資格の中から、現場で使える、または必須であると感じた資格を「オススメ度」「取得難易度」「勉強時間」の視点で紹介していきます。
独自の評価
☆の数が多いほど、その資格を取得して良かったと感じている度合いを示しています。
☆の数が多いほど、その資格が難しいことを示します。
☆の数が多いほど、合格するまでの勉強時間が長いことを示します。
現状を少しでも変えたい方、自分の知識を向上したい方、資格選びで迷っているなら、ぜひ参考にしてください。
目次
私が取得した工業系の資格8種類!
わたし自身が今まで取得してきた工業系の国家資格は、以下の8つの資格です。
資格一覧
・第3種電気主任技術者
・エネルギー管理士(電気)
・第2種電気工事士
・消防設備士 乙6、乙7
・機械保全技能士電気系2級
・工事担任者 デジタル1種、3種(改正前に取得)
・ボイラー技士 2級
・危険物取扱者 乙4
「オススメ度」「難易度」「勉強時間」に合わせて、それぞれどのような資格なのか、簡単に解説していきます。
※:顔出しNGで活動しているため、免状の写真や生年月日欄をぼかしていますが、私の免状です。
1.電気主任技術者
第3種電気主任技術者
オススメ度:
難易度:
勉強時間:
電気設備を所有する事業主は、電気主任技術者の資格所有者を監督者として置くことを法令で義務付けられているため、持っているだけで重宝される必須取得の1つです。
電気主任技術者の試験を電験(でんけん)と呼ばれています。
電気主任技術者ができることは主に3つあり、
仕事内容
・電気設備の点検
・設備の清掃
・故障対応
これらの作業をメインで行います。
電気設備の安全を確保するためには絶対に怠ってはいけない作業ばかりで、すべて電気主任技術者がいないとできないことばかりです。
つまり、この資格さえあれば転職にも強くなれますし、現場監督者としての責任も持てるので、仕事にやりがいがもてるようになります。
また、収入面にも影響します。
会社によっては合格時に祝い金をもらえたり、月数万円の手当をもらえたりします。
ただ、1つだけ注意しなければならないのが、取り扱える電圧が3つに分かれることです。
資格名 | 範囲 |
第1種 | すべての事業用電気工作物 |
第2種 | 17万V未満の事業用電気工作物 |
第3種 | 5万V未満(出力5000kW以上の発電所以外) |
日本国内のだいたいの工場であれば第3種で十分ですが、大規模クラスともなると第2種、発電所などの大規模クラスなら第1種を取得する必要があります。
第1種が上位の資格です。
難易度は電気系資格の中では難しい部類に入ります。
合格率は10%前後です。
私の中でのイメージでは第3種は「強い人」、第3種は「化け物」、第1種は「神様」と言ったところです。
主任技術者が不足しているという事も聞きますし、年配の方が多いので、チャンスはあります。
オススメできる資格の1つです。
ただし、勉強する時間をたくさん確保する必要があります。
私が合格時に使用した参考書はコチラの記事になります。
沢山の参考書を購入した中から、実際に使用した参考書を紹介しています。
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合格時に使用した第三種電気主任技術者(電験3種)おすすめ参考書
続きを見る
2.エネルギー管理士
エネルギー管理士電気分野
オススメ度:
難易度:
勉強時間:
経済産業省の管理下にある「省エネ法(エネルギー使用の合理化などに関する法律)」では、年間を通して一定量以上のエネルギー使用がある工場にエネルギー管理員または管理士の配置を義務付けています。
年間エネルギー使用量(原油換算) | 3000kl以上 | 1500~3000kl未満 | |
区分 | 第1種エネルギー管理指定工場 | 第2種エネルギー管理指定工場 | |
必要な資格 | 製造業など | ホテル、学校 | 全ての事業 |
エネルギー管理士 | エネルギー管理員 |
エネルギー管理士ができること、それは、文字通り電気使用量や燃料などのエネルギー使用を監視し、改善や指導を行うことにあり、主に規定量以上の燃料を使う工場で活躍することができます。
資源の使い方に注目が集まる昨今、現代のニーズに応えるべくして生まれた資格と言っても過言ではないかもしれません。
エネルギー管理士は元々「熱管理士」と「電気管理士」の2つの資格が別々に存在し、それが1997年を境に統合された形です。
ですが、今現在も大きく内容は変わっておらず、熱分野と電気分野のそれぞれで試験を受けることができます。
得意とする方を選択すれば、資格取得は楽がなるはずです。
私は電気分野を選択しましたが、社内では熱分野を受けている人が多かったです。
こちらも難易度は電気系資格の中では難しい部類です。
第3種電気主任技術者を受けた後にエネルギー管理士を受けると出題範囲が似ている部分があるため、効率が良いです。
私は電験3種を合格してから約3年後に受験したため、電気基礎の最初から勉強し直しました。
そのため、勉強時間を1日1~2時間、約1年ほど続けましたが、そのおかげで1発で合格できました。
また、会社の規模によってはある程度の役職(責任)が必要な場合もあります。
合格したときに使用した時に実際に使用した参考書はコチラの記事をお読みください。
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合格した私が使用したエネルギー管理士おすすめの参考書
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2.電気工事士
第2種電気工事士
おすすめ度:
難易度:
勉強時間:
電気工事士は、一般家庭から大規模クラスの工場まで、電気設備の工事を行うことができる資格です。
たとえば、屋内外での配線工事や、もっとも身近な例で言えばエアコンの設置などがあげられます。
電気工事が不十分だと、火事にもつながることから、資格保有者でなければ工事が行えないと定められているため、電気関係はもちろんのこと、建設業や設備管理業、家電業界などからも需要があります。
電気工事士もまた、第1種と第2種に分かれ、それぞれで対応できる作業内容が変わります。
第1種が上位の資格です。
第1種の場合、最大電力500kW未満の設備まで対応可能で、これは工場やビルといった大規模クラスでの作業が可能です。
一方、第2種は一般家庭や小規模の工場までと、対応範囲が狭まってしまいます。
転職やスキルアップを考えるなら、第2種を取得後に第1種を目指した方が良いでしょう。
しかし、ボリュームの少ない工事は自分で行ったり、実家の照明器具やスイッチの交換をしたりしています。
自分で工事する度に取得して良かったと思っています。
実家で直した時は両親から感謝されるのも嬉しいです。
4.消防設備士
乙種6類、7類
おすすめ度:
難易度:
勉強時間:
工場内に設置が義務付けられている消化器やスプリンクラーなどの消防設備は、定期的な点検が必要となりますが、ここでは消防設備士の資格が必要となります。
他にも、消防設備の新設や改修工事なども、こちらの資格がなければ行うことができません。
工場では電気や可燃燃料など、火災トラブルのリスクが非常に高いです。
そういった事故を未然に防ぐための資格と考えれば、やりがいのある仕事ができるのは間違いありません。
消防設備士は、主に甲種と乙種の2つに分かれ、甲種ができるのは点検から整備、工事までの全般に対応できますが、乙種は点検・整備のみになります。
さらに甲種は1類から5類、乙種は1類から7類にまで細かく分類され、それぞれ対応できる範囲が決まっています。
たとえば、1類なら屋内消火栓設備・スプリンクラー、2類は泡消火設備・パッケージ型消火設備、3類なら不正化ガス消火設備・粉末消火設備、といった具合です。
できるなら甲種2類、3類を取るなどして、幅広く対応できるようにしておくと、需要のある人材になることができるでしょう。
工場内では甲4、乙6、7が欲しいところです。
5.機械保全技能士
電気系2級
おすすめ度:
難易度:
勉強時間:
工場勤務につきものの機械トラブル、修理にも時間がかかりますし、業者を呼ぶのも手間がかかります。
そういったリスクを防ぐためには、メンテンナンスから電気回路の劣化、設備の状態異常をチェックなど、工場内にある機械を保全、管理する人たちの力が必要です。
この資格による法規制はありませんが、自分の技術力を証明するための目安となります。
特徴としては、機械から電気、設備といった3つの区分があり、実技試験もあるため、知識が必要となる資格です。
その中でも、3級から特級まで等級が設けられており、それぞれで範囲が決まっています。
作業 | 特級 | 1級 | 2級 | 3級 |
電気系保全 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
機械系保全 | 〇 | 〇 | 〇 | |
設備診断 | 〇 | 〇 | ー |
とくに特級は1級合格から5年以上の実務経験が受験資格となるため、かなりきびしい分、所有していると技術の証明ができます。
自分の価値を示すために努力する価値は充分にあるでしょう。
3級は実務経験が不要ですので、誰でもチャレンジできます。
電気系の実技試験についてですが、経験者であっても油断することは禁物です。
実技試験の練習をしなければ合格することは難しいです。
私が勤める会社で初めての方でも合格した方は沢山いますし、初心者の方が実務経験を積む前に練習すことは良いと思います。
仕事の役に立つ資格と言えます。
電気系2級と3級に関する記事はコチラの記事をお読みください。
下記2つ以外にも実技に関する記事がありますので併せてご覧ください。
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合格した私が使用した機械保全技能士(電気系2級)おすすめ参考書
機械保全技能士電気系3級おすすめの勉強方法と参考書
6.工事担当者
デジタル1種、3種
おすすめ度:
難易度:
勉強時間:
今や爆発的にまで普及したインターネット回線ですが、当然、設置には工事が必要です。
そういった工事に対して、一切の責任を負うのが工事担当者という資格であり、正式には「電気通信設備工事担当者」と言います。
主に、前述したインターネット回線の接続工事や、電話回線工事などの監督業務を行うことになりますが、自ら工事をすることも可能なため、現場にはなくてはならない存在です。
工事担当者にも種類があり、全部で7通りに分かれます。
資格一覧
・AI第一種
・AI第二種
・AI第三種
・DD第一種
・DD第二種
・DD第三種
・AI・DD総合種
AIはアナログ伝送路設備工事を、DDはデジタル伝送路設備工事にそれぞれ対応可能で、その中でも通信回線の入出力速度や回線数などで分類されます。
5G回線が普及することが分かっている今だからこそ、これから需要が高まる資格と言えるでしょう。
8.ボイラー技士
2級ボイラー技士
おすすめ度:
難易度:
勉強時間:
わたしたちにとって身近な存在であるボイラーもまた、取り扱いには資格が必要となります。
というのも、ボイラーは構造上、稼働時に非常に高温となるため、正しい知識をもっていないと危険なものであり、安全に使うためにはなくてはならないのがボイラー技士です。
ボイラー技士の業務内容は、主に点検や整備、メンテナンスとシンプルですが、それとは反して、とても幅広いジャンルの業種から声がかかる職業でもあります。
ビルでは大型給湯器や空調管理でボイラーが活躍するため、ボイラー技士を専属で雇う管理会社もありますし、建設業では設置時に立ち会いや相談を受けることもあるようです。
そんな需要のあるボイラー技士にも等級があり、特級、1級、2級の3段階に分かれますが、こちらもやはり対応できる業務範囲が異なります。
特級であれば電熱面積500㎡以上のボイラーが取り扱え、大規模な工場などが対象です。
1級は伝熱面積25㎡以上500㎡未満まで対応可能で、ちょうど中間クラスです。
2級は伝熱面積25㎡未満のボイラーまでと、少し心もとないと感じますが、1級を取得するには2級の資格を持っていないと受けられないため、だれでも最初はここからスタートします。
ボイラー技士が必要なビルや工場などの施設もあるため、転職には強い武器となるでしょう。
ただし、最近はボイラー技士の免状が必要のない、安全な貫流ボイラーを設置するビルや工場が増えてきているのも事実です。
貫流ボイラーであればボイラー取り扱い技能講習の修了で取り扱うことができます。
ボイラー技士に関する試験対策はコチラの記事をお読みください。
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合格した私が使用したボイラー技士2級おすすめの参考書
続きを見る
9.危険物取扱者
乙種4類
おすすめ度:
難易度:
勉強時間:
消防法では、ガソリンや軽油などの燃えやすい・爆発の可能性が高いものを、危険物として指定しています。
そういった危険物を取り扱うことができる資格こそが危険物取扱者であり、この資格がない一般人は、資格所有者の立会いのもとでなければ購入したり、手に入れることは基本的にはできないようになっています。
危険物取扱者の資格を取得すると、ガソリンスタンドや石油タンクなどの危険物を貯蔵する場所で活躍できます。
その他にも点検や監督も可能なので、ビルやホテル、医薬品工場などからの求人に必要資格やあったら良い資格に記載さているかもしれません。
危険物取扱者も甲種、乙種、丙種の3種類に大分類が分かれ、それぞれで取り扱える危険物の範囲が変わってきます。
分類 | 範囲 |
甲種 | 1類から6類まで分類されるすべての危険物を取り扱うことができる上に、なおかつ資格のない一般人への立ち合いも認められます。 |
乙種 | 1類から6類の中で選択して取得できたものだけを取り扱うことが可能です。
甲種とは違い、すべての危険物を扱うことはできませんが、6か月以上の実務経験があれば危険物保安監督者になることもできます。 |
丙種 | 丙種・・・4類のみの取り扱いで、さらに特定の危険物しか扱うことができません。
監督業も立ち合いもできず、活躍できる範囲は限定的ですが、ガソリンや灯油、軽油が4類に分類されているので、取得する価値は充分にあります。 |
比較的メジャーな資格であり、需要も豊富にあることから、持っていると重宝するでしょう。
初めて資格に挑戦する方には良いかもしれません。
私は体験版だけの利用になりすが、これから勉強される方におススメです。
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参考:電気工事施工管理技士
工業などの製造業で働く人には必要のない資格ですが、電気系資格の中でも人気がある必要なので簡単に紹介します。
電気工事における施工計画を作成・監督できるのが電気工事施工管理技士です。
主に照明設備や変電設備、発電設備や送配電線工事、電車線工事、信号設備工事を管理することができます。
施工計画を立てることで、工事を円滑に、それでいて安心安全に行えるようになるので、業務内容は自然と責任重大となります。
電気工事施工管理技士には、1級と2級があり、それぞれの内容にはそれほど大きな差はありませんが、取り扱える範囲が変わってくるので注意してください。
1級であれば、特定建設業の営業所に配置が義務付けられているため、大規模クラスの工事現場に引っ張りです。
2級も同じ業務内容を担当できますが、単純に規模が中小クラスまでしか対応できません。
やりがいのある仕事ができることから、現場を預かる立場に就きたいと考えている人にはぴったりの資格です。
注意:資格があるからといって作業ができない場合もある
「資格も取れたし、これで安心だ」と、だれでも思うはずですが、残念ながらそうとも言い切れない部分があります。
実は、資格をもっていても作業できないことがあります。
理由としては、安全面を考慮して特別教育が必要な場合があります。
電気の場合ですと、「低圧電気取扱特別教育」や「高圧・特別高圧電気取扱特別教育」を受講する必要があります。
低圧の範囲で作業する場合であれば「低圧電気取扱者特別教育」を、高圧の範囲で作業する場合は「高圧・特別高圧電気取扱者特別教育」を受けましょう。
講義と簡単な実技を受ければOKなので、それほど肩に力を入れなくても大丈夫です。
まとめ:資格を取得してきて感じる事
今回は私が取得してきた資格について、独自な感覚でオススメ度と難易度を紹介しました。
私は社外問わず、資格の必要性について聞かれたり、「意味がないよ」と批判されたりすることがあります。
おっしゃる通り、資格を取得したからすぐに仕事できるわけではありません。
実際には実力や今までの実績が重視さることも当然あります。
また、給料がすぐに上がることもすぐにありません。
しかし、それでも私は資格を取ってきて良かったと感じています。
中には法律上、業務上の観点から必要だった資格、趣味でしかない資格がありますが「資格が何もない人より、あった方が良いと」感じています。
勉強する前向きな姿勢は評価されていると思います。
私から言えることは時間に限りがありますので資格マニアにならないように注意しましょう。
資格を取った後にどう行動するか先のことまで考えて、優先順位をつけることをオススメします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。