こんな方におすすめ
- 制御盤内の機器・部品について知りたい方
- 制御盤の仕組みを知りたい方
- 機器・部品の役割を知りたい方
今回の記事は制御盤に関する記事です。
記事の内容
「設備の制御盤の中にどんな機器が入っているのか」
「その部品はどんな役割があるのか」
「制御盤で何をやっているのか」
電気機器のことが分からないという初心者の方や設備の保全される方(機械・メカ系担当)向けとして説明していきたいと思います。
制御盤といっても、どのように機械を動かしたいかによって、電気部品の構成が変わってきます。
そこで今回は私がいままで見てきた設備の中で、制御盤内でよく見かける電気部品について、以下3つの制御盤画像の中から紹介していきます。
注意ポイント
・業界によって、よく見かける電気機器・部品は異なるかもしれません。
・細かく説明しますと長文になりますので、大まかな説明となっております。
この記事をご覧になって、もう少し詳しく知りたいと思われた方は、当チャンネル、ブログで各機器について説明している動画や記事がありますので、ぜひご覧ください。
動画で勉強されたい方はこちらからどうぞ!
目次
端子台
下画像の左側と右側、で赤枠で囲まれた部分、こちらは端子台になります。
端子台は電線、ケーブル同士を接続するための中継の役割があります。
分電盤など上流の盤から電気を供給してもらったり、制御盤の外にあるセンサーやモーターなどに電源を供給、盤内の機器と盤の外にある機器で信号のやりとりしたりするときに中継として使用します。
ネジ式とスプリング式があり、日本ではネジ式が多く、ネジを回して押し付けることで電線を固定します。
直接手でネジに触れると感電する恐れがありますので、透明なカバーで覆われていることがほとんどです。
分電盤からなどから設備を動かすための電源を供給してもらう場合は3相200Vが多いです。
遮断器(ブレーカー)
遮断器は、ブレーカーとも呼ばれ、電源のON・OFFを制御するための機器です。
設備の電源を手動でON・OFFしたり、ある一定の電流値を超えた場合に、機器の損傷やケーブルの焼損を防止するため、自動で
回路を遮断したりします。
よく見かけるのがタイプとして、制御盤の表面にスイッチが付いている遮断器があります。
盤を開け閉めする手間がなく、盤内の充電部に触れる恐れもありませんので遮断器を操作する作業者にとっても安全です。
ただし、盤を開く時はタイプによって、遮断器がOFFの状態でないと、盤が開けることができないものがあります。
構成として、基本は定格電流、(設定値)が大きいメインとある遮断器があり、その下にメインより定格電流の小さい遮断器やサーキットプロテクタが複数設置されています。
部分的に電源をOFFしたい場合は、個々の遮断器をOFFにします。
下の画像から分かるように、どちら制御盤もメイン(赤枠)の大きい遮断器があり、その下に複数の遮断器(黄色枠)があります。
遮断器の種類
遮断器の種類として、大きな電流が流れたときに遮断(過電流遮断機能)だけを持った遮断器と「過電流遮断機能」に加えて「漏電遮断機能」を備えた漏電遮断器があります。
さらに漏電アラーム遮断器という機器があり、大きな電流が流れた時にトリップし、漏電発生時はトリップせずに漏電をお知らせする遮断器があります。
私が勤めている会社でもありますが。漏電の発生時に電源を落としたくない重要な回路に使用し、漏電を監視します。
ただし、注意点として漏電遮断器を設置が義務付けられている箇所には漏電遮断器を設置する必要があります。
サーキットプロテクタ
サーキットプロテクタとは遮断器と同じように過電流遮断と電源のON・OFFをする機器です。
全部、遮断器(ブレーカー)でいいのでは?と思う方もいるかもしれませんが、遮断器では保護できないような容量の低い回路の保護に主に利用されます。
例として、0.1A、0.2A、0.5A、1A、3Aなど定格電流の種類が細かく、さらに遮断するまでの応答速度(動作特性)、低速、中速、高速と複数あります。
また、サイズも小さく盤内の小スペース化が図れます。
トランス(変圧器)
トランス(変圧器)は電圧を変えるための機器です。
真ん中と右側の制御盤に設置されています。
たとえば、一般的なモーターでしたら交流(AC)200Vの電圧が必要になりますが、制御機器には交流200Vの電圧が不要で交流100Vを必要とする機器もあります。
そのため、電圧を下げるためのトランスが制御盤内に設置されていることがあります。
また、まれに海外製の設備などでは電圧を200Vから400Vへ上げるためにトランスが設置されている場合もあります。
電圧が何Vから何Vになっているか確認するには配線部分を見ます。
上画像のトランスの場合は交流200Vを交流100Vに降圧しています。
Pはプライマリー、入力、1次側を表し、Sはセカンダリー、出力、2次側を表します。
P側に交流200Vを入れることでS側から100Vが出力されます。
設備の中には、トランスを設置せずに、三相200Vと単相100Vを分電盤から供給されている設備もあります。
コンセント
制御盤内にコンセント(サービスコンセント)が設置されている場合があります。
3枚のうち、真ん中と右側の画像の赤枠部分になります。
コンセントは、トランスで電圧を下げたAC100Vを利用してPLCのプログラムをモニタするためのPC用の電源用として使用されます。
注意点として、壁にあるコンセントのように消費電力の大きい機器を接続することはできないので注意です。
PLC
PLC(プログラマブルロジックコントローラ)は、設備をプログラムによって自動制御する機器です。
他の名称として、プログラマブルコントローラ(PC)、シーケンサと呼ばれていることがあります。
上の画像はPLCの役割を表した画像になります。
PLCは押しボタンやセンサーなどの入力機器の情報を取り込み、作成されたプログラム通りの制御で、ランプ、モーターなどの出力機器を動かします。
このように入力機器と出力機器、PLCを用いることでプログラムを変更すれば回路の設計や動作を変更できます。
設備の中には、単純な制御の場合はPLCを使用せずに配線だけでの制御盤があったり、PLCではなく、PLC以外のコントローラーが使用されている盤もあります。
パワーサプライ
パワーサプライとは、直流電源を供給するための機器です。
「直流安定化電源」や「スイッチング電源」とも呼ばれます。
センサーなどの多くの制御機器は直流24Vで動作するため、「直流」に変換する必要があります。
通常、分電盤から送られてきた電気は「交流」ですので、このままの状態でセンサーなどの機器を使用すると故障してしまいます。
そんなパワーサプライには「容量」という、W(ワット)で表記される数値があります。
容量が大きいほど、たくさんの直流電源をセンサーなどの機器に供給できます。
サイズは容量が大きくなるほど、大きくなります。
上画像のパワーサプライは入力交流100~240V 出力は直流24V 容量は30Wです。
容量は表面や側面などに記載されていることが多いです。
表示灯
画像のような複数のランプがついている積層表示灯や、1つだけの表示灯があります。
ランプとも呼ばれており、これらは設備の状態を示しています。
積層表示灯はタワー式とも呼ばれており、盤の側面や上面に設置されていることが多く、
1つだけの表示灯は盤面に設置されていることがほとんどです。
画像の右上の表示灯は「盤に電源が給電されているか」示しています。
表示する色に意味があり、例えば、受電設備やプラント系では使用する場合は運転が「赤色」停止が「緑色」となっていますが、
生産設備や工作機械では運転が「緑色」停止が「赤色」と反対になっていますので注意が必要です。
ブザー
ブザーは設備に誤作動や異常が発生した時に、作業者へ知らせるため、警告音を発する機器です。
ブザーが使用されている場合は盤面に設置されていることが多いですが、表示灯と一体型になっている場合もあります。
音はピーとかブーなどシンプルな音から、曲のメロディーが流れるタイプがあります。
インバータ
インバータは、入力された交流電圧を任意の周波数で出力する機器です。電圧と周波数を自在に変換できます。
真ん中の写真の機器です。
試しに動かしてみたので、その時の画像を載せます。
インバータとモーターが接続されており、ダイヤルを回すことで速度が変化します。
インバーター本体のダイヤルを回します。
さらに回して45Hzから56Hzにしてみます。
記事では分かりにくいかもしれませんが、周波数を上げていくことでモーターの回転数が上がっていきます。
このように周波数を制御することでモーターの速度を自在に調整できるようになります。
そんな便利なインバーターですが、デメリットもあります。
コンベアのモーターやポンプなど、速度を制御したい場合に使用されていることが多いですが、ノイズの発生源になる可能性がありますので注意する必要があります。
サーボアンプ
サーボアンプとは、サーボモーターを制御するための機器です。
サーボモーターとは高精度で指定された位置に停止できるモーターであり、精度が必要な時に使用されます。
サーボアンプとサーボモーターだけでは、動くことができません。
動作を命令する指令部となるPLCなどのコントローラーが必要となります。
リレー
リレーは電磁継電器とも呼ばれ、設備の制御に使用されていることが多い部品です。
画像のような機械接点を開閉させる「有接点リレー」と、半導体部品で構成され電子的にオン・オフを行う「無接点リレー」があります。
仕組みについてですが、画像の有接点リレーで説明しますと、電磁コイルに電流が流れると、電磁石となり、これに連動した機構によって接点が開閉します。
電磁コイルを励磁(オン)されるための電圧は直流24Vだけではなく、交流100Vや200Vがあります。
実際に動かしてみたので画像を載せます。
↓こちらはリレーがOFFの状態です。
リレーをONさせます。
違いが分かりますでしょうか?
OFFとONの状態では接点の位置が異なります。
そんなリレーの用途として、
ポイント
種類の異なる電源間で信号をON・OFF
1つの信号で複数の接点をON・OFF
設備間の信号のやりとりなどがあります。
話の内容が分かりにくい、難しいと感じた方はYouTubeの動画をご覧ください。
実際に配線したり、接点が動く様子を動画で説明しています。
電磁接触器
電磁接触器はコイルの電磁力によって接点を開閉する装置です。
主に電動機、ヒーター、ランプなどの負荷の開閉を目的に使用されます。
先ほどのリレーを大形にしたイメージです。
リレーとの違いについてですが、リレーは主接点しかありませんが、電磁接触器は電流容量の大きい主接点と電流容量の小さい補助接点を備えています。
主接点と補助接点の使い方としての例として、主接点はモーターの電源ON・OFF
補助接点は電磁開閉器がONしたときに補助接点もONしますので、モーターが運転したという信号をPLCなどに伝える時などに使用します。
実際にON・OFFしてみたいと思います。
セレクタスイッチをONにして、電磁コイルに電圧を加えます。
電磁コイルに電圧が加わると、電磁接触器の接点が閉じます。
オレンジ部分が凹みます。
この状態ですと負荷が接続されていませんので、にランプを点灯するための配線を追加してみます。
電磁接触器のコイルに電圧を加えて、ONさせてみます。
電磁接触器がONすると、ランプが点灯します。
そのほかの使い方として、急な再始動の防止や緊急停止、安全上のため、インバータやサーボアンプの1次側に設置されている場合もあります。
電磁開閉器
電磁開閉器は電磁接触器とサーマルリレー(熱動継電器)を組み合わせた機器があり、電動機(モーター)制御の主回路などに使用されます。
サーマルリレー(熱動継電器)とは、電動機などの負荷の機器を守るために、負荷電流が設定値以上になった時に接点を開閉させる過負荷保護用の継電器です。
こちらはサーマルリレーのカバーを外したものになります。
電気の力で動作せずにバイメタルとよばれる熱膨張率が違う金属を張り合わせた板が熱の力で動作します。
注意点として、サーマルリレー自体にはモーターをON・OFFする主回路を遮断することはできません。
遮断する時は操作回路(制御回路)にサーマルリレーを接続します。
HUB
PLCやタッチパネルなどEthertnetケーブルで接続するときはHUBが必要ですので、盤内に設置されていることがあります。
一般的なHUBの電源は交流100Vですが、産業用として直流24Vで動くHUBもあります。
DXやIoT化の1つとして設備のデータを収集、遠隔での操作や監視する機会が増えてきたのかなと思います。
指示調節計
盤の表面に圧力や温度をコントロールをするために指示調節計が設置されていることがあります。
電流計・電圧計
モーターなどの電流値や電圧値を示す計器が設置されていることがあります。
種類として、アナログ式とデジタル式があります。
除湿器・ヒーター
屋外に設置されている設備の制御盤の場合、環境によっては「湿気、結露対策」として除湿器やヒーターが設置されている設備があります。
まとめ:制御盤に使用される電気機器・部品
今回は制御盤の盤面や中に設置されている電気機器について紹介しました。
制御盤には、設備を制御するための仕組みがたくさんあり、今回紹介した以外にもさまざまな機器が制御盤に設置されています。
最初は難しいと感じるかもしれませんが、1つ1つの機器について学んでいけば、設備の仕組みを理解していけます。
今回の動画では大まかな説明でしたので、もう少し詳しく知りたいと思われた方は、YouTube、ブログで各機器について説明している動画や記事がありますので、ぜひご覧ください。