電気の知識

モーターやポンプの制御に頻繁に使用されるインバータとは?

2020年1月20日

インバーターとは

「インバータって何?」と質問されましたら答えることができますか?

単語自体は割と昔からよく見聞きしますが、質問されて答えられる人はごく一部だと思います。

実は、一般的に認知されていないだけで、工場のベルトコンベアやポンプなどにはインバータが制御として頻繁に利用されています。

電気屋として必須な知識ですので、「インバータの効果や仕組み」「注意点」について、さっそく説明していきます。

一緒に学習していきましょう。

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インバータとは?

インバータ_イメージ図まずはインバータとは何なのか、ここからお話していきます。

インバータとは、上記写真のような形をしており、交流モーターの回転数(スピード)などを調整する機器のことです。

インバータは基板がむき出しになったタイプとボックス(ケース)に入ったタイプがあります。

用途として、工場内では主に製品が流れるベルトコンベアや空調機、ポンプなどに使われています。

また、わたしたちの身近な家電製品にも使用されており、エアコンや冷蔵庫、洗濯機、電灯(照明)などでも見かけることができます。

今回の記事では主に工場内で使用されるインバータについて説明させていただきます。

そうなると疑問に思うのが、「なぜモーターの回転数を調整する必要があるのか」だと思います。

ここにインバータを使用する大きなメリットが隠されています。

インバータの役目

モーターの回転数を調整することで、いったいどのような恩恵があるのでしょうか。

例として機械の急激な稼働を防止することがあげられます。

空調機を例にお話すると、インバータがないと、スイッチを入れた途端フルで稼働します。

フルで可動すると、必要以上の電力を消費するただの金食い虫と化しますが、インバータがあればモーターの回転数を自在に調整できるので、風量の強弱など、効率的に使用することができます。

そしてもつ1つ、生産する機械が急に動かないように徐々に速度(回転数)を上げたり、丁度良い速度(回転数)で運転したりすることで、わたしたちの安全や安定した製品品質の維持につながります。

このように、何気なく使っている機械でも、言わば必需品と言っても良いくらい大活躍を見せているのがインバータです。

つぎはインバーターの仕組みについて説明していきます。

インバータの仕組み

インバータの原理と構造インバータが交流モーターの回転数を調整できる仕組みは、電流を交流から直流、直流から交流に変換して周波数を制御できることにあります。

交流モーターの回転は周波数に影響を受けるため、インバータで調整が可能です。

どんな機械でも電源から電気を得ることで動かせるわけですが、電源は基本的に交流で供給されています。

この交流は電圧や周波数が一定になっており、そのままの状態では電圧と周波数を変化させることができません。

一度直流に変換して再度交流に戻して電圧と周波数を変化させる必要があります。

そこで登場するのがインバータです。

シマタケ
厳密に言えば、交流を直流に変換するのは「コンバータ」、直流から交流に戻すのを「インバータ」です。
しかし、日本では上の一連の流れ「コンバータ」「インバータ」「コンデンサ」をすべて含めてインバータと呼んでいます。

直流、交流、周波数について知りたい方はコチラをお読みください。

インバーターの制御について

インバータの制御には「周波数だけを変化する方式」と「周波数と電圧の両方を変化させる方式」があります。

コンベアを動かすモーターやエアコンのモーターなどの駆動系は周波数と電圧の両方を変化させて制御します。

この制御をVVVF方式(可変電圧可変周波数方式)と言います。

モーターの回転速度は下記式で求めることができます。

数式から分かるように周波数を変えるだけで制御できます。

Ns=120f/p 【r/min】

Ns:同期回転速度 f:周波数 p:極数

※今回は「すべり」の説明と式は省略しますが、実際はすべりがあるため、同期速度Nsより若干低い回転速度になります。

しかし、周波数のみを変化させて、電圧を変えないで制御すると磁束が一定にならず、結果的にモーターの交流抵抗が下がり、モーターに大きな電流がながれてしまい、故障してしまいます。

そのため、周波数と電圧の両方を変化させています。

参考:蛍光灯のインバータについて

Hf蛍光灯一方、蛍光灯は周波数だけを変化させて制御しています。

蛍光灯の点灯方式には色々ありますが、その中に「インバータ形」があります。

通常の蛍光灯の場合は交流100Vで周波数は50Hzまたは60Hzですが、インバータ形の蛍光灯はインバータにより50または60Hzを、さらに20~50kHzの高い周波数に変換してランプを点灯させます。

そのため、インバータ形傾蛍光灯は以下のメリットがあります。

インバータ形メリット


・チラつきが少なく、目に優しい。
・他の方式より省電力で明るい。

インバータにも種類がある

インバータの種類私が勤めている会社の設備は三菱電機製のインバータが沢山使われているので三菱電機製のインバータを例に説明させていただきます。

「インバータ」と一言で言っても、制御したい負荷の種類や容量、電圧によっていくつかの種類に分けることができます。

インバータの種別
電圧単相100V、単相200V、三相200V、三相400V
負荷ポンプ、昇降機、プレス機、空調機、コンベア
容量0.1kw~

他のメーカーも同じような仕様で販売されていると思いますが、三菱電機で販売しているインバータであれば、いろいろな設定ができるハイグレードなものから、安価なタイプまで幅広いラインナップがあるので、用途に合わせて選ぶことができます。

重要なのは「どんな制御をしたいのか」ここをしっかり考えて選ぶと良いでしょう。

シマタケ
単純な制御の機器でハイグレードのインバータを使用すのはお金が勿体ないです。
過去に三菱電機製インバータを更新時に「A」から「D」に変更したことがあります。

インバータの絶対に知っておきたい注意点

ノイズの要因_基板わたしたちの生活に必要不可欠なインバータですが、1つだけ知っておかなければならない注意点があります。

それは、「ノイズ」の発生源になる可能性が多少なりともあることです。

ノイズとは、特定の電磁波が発生する現象で、ラジオやテレビに雑音が入ったりするのはまさにこのノイズが原因です。

インバータがなぜノイズを発生させてしまうのかというと、出力回路の仕様にあります。

電圧や周波数を変換するために、トランジスタを高速で入・切をしているわけですが、この動きは同時にノイズを発生させる条件にも当てはまるのです。

とはいえ、そこまで過敏に警戒する必要はありません。

ノイズを抑える「ノイズフィルター」などのも部品もありますし、インバータ本体内でノイズの伝搬ルートをブロックする対策なども取られています。

また、ノイズの影響を受ける側の機械側でも対策が可能なため、まったく手がないということはありません。

シマタケ
私は過去に1度だけインバーターのノイズが原因で他の機械が誤動作したことがあります。
インバーターを使用している機械からアース線を通じてノイズが浸入してきてました。
原因不明の異常があれば、一時的にアースを外して確認する手段も有効です。

まとめ:インバータ

今回はインバータについてご説明しました。

長くなりましたので最後にもう一度整理したいと思います。

まとめ

・電圧と周波数を自在に変換できる装置
・用途は交流モーターだけでなく幅広く使用されている。
・ノイズの発生源となることがある。

名前は知っていても、どんなことができる機械なのかは理解していない人がほとんどだと思われますが、工場や一般家庭など、こんなにもわたしたちの生活を下から支えてくれています。

 

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シマタケ

共働きの子育て会社員。工場で15年間働く電気エンジニア。多数の国家資格を取得。施設や工場で働く電気エンジニアが勉強できる、様々な悩みを解決できるサイトを目指しています。雑記記事も時々書きます。心理学を勉強中でメンタルケア心理士取得。

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