三現主義という言葉をご存知でしょうか。
工場で働く間接部門の方々、職場のリーダーとして現状の問題を解決するのに知っておきたい重要な考え方です。
設備関係の仕事に通用する考え方であるため、これから責任者を目指す方、間接部門で働いている方は知っておいて損はありません。
今回は、私の失敗事例を含めて、三現主義についての概要をわかりやすくご紹介していきます。
三現主義とは
三現主義とは、現場で現物を確認して、現実を把握したうえで問題を解決する考え方です。
「現場」「現物」「現実」の3つには「現」という一文字が共通しており、名称の由来となっています。
机上だけで判断してしまうと、対策を間違えてしまい、問題解決できないことが発生しますので重要な考え方です。
また、管理職や一般社員に経営・技術の改善に対する参画意識を育むことができると言われてます。
三現主義の実践で知られるのがトヨタグループです。
トヨタグループは現場を特に重視しており、店舗のマネージャーや店長、地区の責任者、役員などが現場に顔を出し、質問をして回るという風潮があるといわれています。
そのほか、ホンダや花王などの大企業も三現主義を実践していることも知られています。
では、三現主義の3つの要素についてそれぞれ確認していきます。
現場
とある映画に、「事件は会議室で起こっているんじゃない。現場で起きているんだ!」という名言があります。
まさに三現主義の大切さを訴えかける内容です。
管理職になると、これまでの経験によって現場を理解しているという自信から、直接現場にいかず対応をスタッフに指示してしまうケースがありがちです。
しかし実際には、現場では予想外の出来事が起こり、指示を誤ってしまったことに気づくこともあります。
つまり、立場が上がるほど経験が足かせとなってしまうリスクがあるということです。
三現主義の観点からは、現場に出向いて確認を怠らない姿勢をいつまでも忘れないことが重要だと言えます。
現物
よくある事例として、商品を購入する時は現物を見てから購入する方も多いのではないでしょうか。
口コミや評判では良いと言われていても、やはり自分の目で確かめないと信用できないという思いがあるからかもしれません。
三現主義では、現物を確認する姿勢も含まれています。
たとえば報告書であれば、文字の記載だけでは本当に事実なのかわかりません。
現物や現物の写真を交えることで作業員が見落としていたトラブルの予兆を管理職または現場に行っていない人が発見できる可能性があります。
設備管理や保全の現場では、設備に関する軽微な修繕や改造を行うときでも、管理職から写真の記録を求められることがあります。
私の職場では作業をするときはチーム員の誰かが必ずデジカメやタブレットを携帯するようにしています。
また、トラブルが発生した場合は動画で撮影することもあります。
このように管理職がデジカメなどでこまめに撮影させる体制は、三現主義を意識している表れだといえます。
現実
現実とは、空想や理想などに対して、事実として視覚的に認識できる状態を示す言葉です。
「理想と現実にギャップがある」「現実を直視する」などというようによく使われています。
現代において、さまざまな情報処理ツールが台頭し、膨大な情報を蓄積して、わかりやすく整理できるようになりました。
その点、机上のデータを見ることでわかったつもりになりやすい時代になったとも言えます。
しかし、現実ではデータからは読み取れないイレギュラーな出来事やトラブルが起きてしまう可能性もゼロではありません。
今まで以上に現場や現物を確認した上で、現実を正確にとらえる姿勢が重要になってきていると考えられます。
私の失敗事例:図面だけ判断
過去に設備の改造があり、図面だけの確認で必要な配線と部材を準備して失敗したことがあります。
内容として、実際に工事をするために現場に行くと、図面の内容と実際の回路が異なっていました。
その結果、その場で回路を考える必要があり、予定していた作業時間が延びて生産に影響を与えてしまいました。
現場に行って、現物を確認することの大切さを痛感しました。
まとめ:三現主義は重要な考え方
今回は三現主義について説明しました。
現場で働いている方は課題やトラブルを肌で感じられるので、三現主義はある意味当然の考え方であり、自分には関係がないと思うかもしれません。
しかし、従業員として働き続けていくと、いずれ責任者の立場に抜擢される可能性もあります。
そのときに現場の声をないがしろにしては、部下からも信頼されなくなってしまうだけでなく、水面下の課題を見落としてしまう可能性があります。
これから職場のリーダーを目指す方にとって、三現主義は覚えておいて損はない重要な考え方です。
すでに責任者として働いている方も、あらためて三現主義に立ち返って仕事を進めてみるのが良いと思います。
また、間接部門で働く方も机上での考えだけでなく、現場に行っても現物、現実を知っておくと現場とのギャップを少しでも埋めることに繋がりますのでぜひ現場へ行って直接感じてみて下さい。