抵抗という概念に出会うのは、小学生や中学生のころの理科の授業。
電気のお仕事をしていると、抵抗に関するさらに深い理解が求められ、絶縁抵抗や接地抵抗の意味まで知っておかなければなりません。
今回は抵抗や絶縁抵抗、接地抵抗の違いについて説明していきます。
これから電気関連のお仕事に就く方、知らない方はぜひ一緒に勉強していきましょう。
Youtubeの動画でも説明しておりますので、動画の方が良い方はご覧ください。
抵抗、絶縁抵抗、接地抵抗の違いは?
接地抵抗と絶縁抵抗はいずれも抵抗の種類に分類されます。
それぞれの意味を理解するには、まず抵抗の意味から知っておくことが重要です。
抵抗から順番に絶縁抵抗、接地抵抗について解説します。
抵抗
抵抗とは電気の流れにくさを示す指標です。
単位はオーム(Ω)と呼ばれます。抵抗の値が高いほど電流が流れにくくなり、値が低いほど電流が流れやすくなります。
抵抗の値はオームの法則から求めることが可能です。
オームの法則は下記の公式です。
電圧=電流×抵抗(交流の場合はインピーダンス)
抵抗は電流と電圧の値がわかれば算出できます。
教科書などでは川と岩で抵抗のイメージを説明しているケースが多いですが、
私は、抵抗のイメージを連想するときは板と釘、ビー玉を思い浮かべます。
釘がたくさん打たれた板を斜めに傾け、ビー玉をジャラっと上から流してみてください。
釘がたくさんあるほど、ビー玉が流れにくくなります。
つまり、釘が抵抗を表しているわけです。
同様に電流も抵抗の値が大きくなるほど、流れにくくなると考えられます。
絶縁抵抗
コンセントの近くに近づいても、直接手で電線に触らない限り、私たちは感電しません。
仮に近づいただけで感電したら毎日の生活がとても危険になります。
なぜ、近づいても感電しないのかというと、コンセントがプラスチックであったり、家の床が木であったりと私たちの間に絶縁体とよばれる抵抗が大きくて電気が流れにくい物体があるからです。
ケーブルを触って感電しないのも、電気が流れる導体(電線)を電気を通しにくい物質で覆っているからです。
このように絶縁体で絶縁された電路と電路(大地も含む)の間の抵抗、電気が流れてはいけない部分の抵抗が絶縁抵抗です。
絶縁抵抗も抵抗と同じで、単位はオーム(Ω)です。
ただし、抵抗の値が大きいのでメガオームという単位を使うのが一般的になっています。
ちなみに、電気設備の点検でも絶縁抵抗を確認するのが基本となります。
機器の絶縁抵抗が低いと、機器に流れている電流がほかの金属部分に漏れてトラブルに発展するからです。
絶縁抵抗の値は電気設備技術基準の第58条で基準が決められており、計測する際には絶縁抵抗計を用います。
「絶縁抵抗計持ってきて!」より言いやすいですね。
接地抵抗
接地抵抗は大地に対する電流の流れにくさを表す指標です。
接地とは、電気設備を大地とつなげることを意味します。
なぜ大地に接地するのかといえば、電気設備の経年劣化や機器の損傷などにより、電路以外に電気が漏れてくるようになります。
この漏れてきた電流が大きくなってくると感電や火災が発生したり、機器が損傷したりする可能性があるため、大地に流して対処します。
ですので、接地抵抗が高すぎると大地に電流を流しづらくなるので、接地の意味がなくなってしまいます。
接地抵抗の値は小さければ小さいほど良く、機器と大地を接地するときは、大地に触れる接地極をなるべく水気のある土質部分に埋設するのが一般的な考え方です。
また、接地抵抗は電気設備技術基準では4種類に分類されています。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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接地(アース)の目的は感電や火災防止?接地工事の種類4つを説明
続きを見る
まとめ:抵抗の意味を理解していないとどうなる?
電気設備を管理するときは、制御盤の電流や電圧の値を読み取ります。
一方、機器の絶縁抵抗や接地抵抗などは制御盤のメーターでは確認できないので、別に絶縁抵抗測定や接地抵抗測定を行わなければなりません。
ただ、そのときに絶縁抵抗や接地抵抗の意味をわからないと、どこをどうやって測定すればよいのかわからず、臨機応変な対応ができなくなります。
私の経験では抵抗の意味がわかっていない同僚は、それがすぐにばれてしまうような印象でした。
やはり、意味がわかっていないと、職場で安心して点検作業を任せてもらうことはできません。
電気設備のお仕事にかかわるのであれば、抵抗の概念をはじめ絶縁抵抗と接地抵抗の意味について人に説明できるくらいになっておく必要があります。
最後にもう一度説明して終わります。
まとめ
抵抗:電気の流れにくさ
絶縁抵抗:電気が流れてはいけない部分の抵抗。大きい方が良い。
接地抵抗:大地に対する抵抗。小さい方が良い。