こんな方におすすめ
- セレクタスイッチの種類について知りたい方
- セレクタスイッチの選定に悩んでいる方
今回は設備の操作盤や制御盤に使用されているセレクタスイッチの用途、種類、配線方法について紹介していきます。
内容は初めての方向けとなりますが、知っているかたも良かったら復習としてご覧ください。
文字だけだと伝わりにくいと思いますので、図解として66枚で紹介していきます。
また、動画でも同じ内容を紹介しています。
配線方法はYouTubeで動画を見た方が理解しやすいと思います。
併せてご覧ください。
目次
セレクタスイッチの用途と種類
セレクタスイッチとは切換スイッチとも呼ばれます。
電気図面では図記号は以下のように表され、文字記号は「COS」「SS」で表されています。
設備の手動-自動の切り換えや操作の選択などに用いられ、ツマミまたはレバーなどを回転することで接点の開閉をします。
最近はタッチパネルを使用することが多く、昔と比べてセレクタスイッチを使う頻度が少し減ってきましたが、まだまだ使用されています。
セレクタスイッチの種類
セレクタスイッチには「ノッチ数」「動作」「切換部分」「接点」等、たくさんの組みわせがあります。
間違わないように選定する必要があります。
ノッチ数
ノッチ数とは切り替えできる数のことを言います。
2ノッチは切替が2つ、3ノッチは切替が3つです。
例えば、2ノッチのセレクタスイッチであれば、「入」と「切」、3ノッチであれば「自動」「切」「手動」のように使います。
動作(復帰方式)
動作(復帰方式)として、メーカーによって呼び名は異なりますが2つあります。
「各位置停止」、「手動」といった、手を離しても各位置で停止するセレクタスイッチと「リターン」、「自動」といった、手を離すと元の位置に戻るセレクタスイッチがあります。
下図は各位置停止(手動)動作の3ノッチ、セレクタスイッチです。
下図はリターン(自動)の2ノッチ、セレクタスイッチです。
右側に手で回したとき、接点がONしますが、
手を離すと自動で元の位置、左側に戻ります。
切替部分
よく使われるセレクタスイッチとして、上図のようにつまみを回すタイプの他、ツマミ部分がキー付きになっているセレクタスイッチ、照光するセレクタスイッチがあります。
接点構成
電気の流れをオンオフする機能を接点と言いますが、セレクタスイッチには「a接点」と「b接点」があります。
接点の種類を「a、b」接点数を「1、2など」数字で表します。
例えば、下図のセレクタスイッチは"1a" このスイッチはa接点が1つのセレクタスイッチです。
下図のセレクトスイッチは"1a1b" a接点が1つ、b接点が1つのセレクタスイッチです。
たいだいどのメーカーもa接点は青色、b接点は赤色(オレンジ)のように違いが分かるように色がわけられています。
a接点などの接点についてはもう少し詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。 続きを見る
【図解】押しボタンスイッチ① 種類や、特徴、接点構造について
セレクタスイッチの配線方法
実際に5種類のセレクタスイッチを使用して簡単な配線行い、各セレクタスイッチの違いを確認してみたいと思います。
ちょっと多いと感じるかもしれませんが、全部異なる仕様ですので、ぜひ違いを確認してみてください。
5つのセレクタスイッチを使用していきます。
配線の種類
①2ノッチ 各位置停止(手動)1a
②2ノッチ リターン(自動)1a
③2ノッチ各位置停止(手動) 1a1b
④3ノッチ各位置停止(手動) 2a
⑤2ノッチ各位置停止(手動) 2a
前提条件として、今回は100Vの回路でブレーカーの1次側はあらかじめ配線してあります。
回路図の見方
回路図を見るのが初めての方がいるかもしれませんので1つめの配線で説明します。
縦線が電源(電源ライン)になります。
左側の記号セレクタスイッチが、右側がオレンジランプになります。
電気の流れをイメージしやすいように黄色の薄い線を追加します。
セレクタスイッチをひねります。
接点が閉じ、回路がなりたつことでオレンジ色のランプが点灯します。
では、配線していきます。
配線1:2ノッチ各位置停止(手動)1a
内容は2ノッチ各位置停止(手動)1aのセレクタスイッチを用いてオレンジランプをON・OFFさせます。
ブレーカとセレクタスイッチを接続します。
セレクタスイッチとランプを接続します。
ランプとブレーカを接続します。
動作確認
セレクタスイッチをON・OFFするとランプがオンオフします。
照明があると、点灯しているか分かりにくいので、照明を消して確認します。
セレクタスイッチをONにすると、手を離しても各位置停止(手動)のため、ずっとONしたままです。
配線2:2ノッチ リターン(自動)1a
セレクタスイッチを2ノッチ リターン(自動)1aと交換します。
違いはセレクタスイッチの仕様が各位置停止(手動)かリターン(自動)かの違いです。
動作確認
では、動作確認します。
先程同じく、照明が明るいとランプが点灯しているか分かりにくいので、照明をOFFにして確認します。
セレクタスイッチをONにするとランプがオンしますが、手を離すとセレクタスイッチの切替が元に戻ってしまい、ランプがOFFになります。
配線3:2ノッチ各位置停止(手動)1a1b
3つ目は2ノッチ各位置停止(手動) 1a1bのセレクタスイッチを使用して2つのランプをON・OFFしてみます。
1.ブレーカとセレクタスイッチのb接点へ、セレクタスイッチのb接点とa接点端子を接続します。
ブレーカとセレクタスイッチのb接点をつなぎます。
今回はブレーカからではなく、b接点を介して電源を接続します。
2.セレクタスイッチb接点からオレンジランプへ、セレクタスイッチa接点から緑ランプへ接続します。
まずはオレンジランプから接続していきます。
緑ランプを接続していきます。
3.ブレーカとオレンジランプ、オレンジランプと緑ランプを接続します。
オレンジランプとブレーカを接続
オレンジランプと緑ランプを接続すれば配線終了です。
動作確認
照明があると、点灯しているか分かりにくいので、照明を消して確認します。
電源を入れます。
すると、b接点に接続されているオレンジランプがONします。
この状態でセレクタスイッチの切替えると、緑ランプがONし、オレンジランプがOFFします。
配線4:3ノッチ各位置停止(手動)2a
4つ目は3ノッチ各位置停止(手動) 2aのセレクタスイッチを使用して2つランプをON・OFFしています。
セレクタスイッチを入れ替えます。
途中の入れ替えている図は省略します。
動作確認
まずノッチ位置が真ん中のとき、ランプは点灯しません。
ノッチ位置を左側にするとオレンジランプが点灯します。
ノッチ位置を右側にすると緑ランプが点灯します。
配線5:2ノッチ各位置停止(手動)2a
最後5つめです。
2ノッチ各位置停止(手動)2aのセレクタスイッチです。スイッチを入れ替えます。
動作確認
セレクタスイッチを切り替えます。
するとオレンジランプと緑ランプの両方がONします。
まとめ:セレクタスイッチ
今回はセレクタスイッチの違いを確認するために、5つのセレクタスイッチを用いてランプを点灯させてみました。
実際の制御回路ではリレーをONさせたり、PLCに入力信号を入れたりする使い方があります。
見た目はシンプルな部品ですが、今回紹介した以外にも接点構成やノッチ、などたくさん組み合わせがありますので、間違えないように制御内容に適したスイッチを選びましょう。