初めて機械保全技能士電気系の実技を受けられる方、リレーのa接点溶着、接点不良など似たような言葉があり混乱してないですか?
私も受験当時は似たような言葉と動作で頭が混乱したことを覚えています。
現在は教える立場にいますが、初めての方はもちろん、日ごろから保全業務をしている方でも最初は間違っているのを目にします。
しかし、コツをつかみ、練習したあとは問題なく答えることができるようになっています。
この故障診断は、リレーとタイマリレーの故障種類を正しく判断しないと次の課題に行くことができませんので、時間をかけずに速やかに判断したいものです。
今回はそんな悩みを解決するために「不良要因の種類と判別方法」「効率の良い判別手順」を紹介します。
この記事を読んでしっかりマスターしましょう。
また、実際の保全業務でもリレーの接点不良や接点溶着は発生しますので資格取得後にも役に立つ知識です。
Youtubeでは5つの不良リレーをテスターで状態確認して違いを確認しています。
こちらも併せてご覧ください。
目次
リレー及びタイマの不良要因と判別方法
リレーとタイマの不良要因として7種類あります。
試験では良品・不良品の判別だけではなく、不良要因も記載したいといけない為、全部特徴を覚える必要があります。
判別にはテスターと検定盤のチェック用端子ソケットを用います。
・コイルの断線
・コイルのレアショート
・a 接点接触不良
・a 接点溶着
・b 接点接触不良
・b 接点溶着
テスターの使用方法を確認したい場合はこちらの記事の目次5又は6の「抵抗測定」部分をご覧ください。
次にリレーを例に判別方法を紹介していきます。
「コイル」という言葉になってますが、タイマリレーも特徴は同じです。
タイマリレーは設定時間後に接点が動作するため、設定時間を「0」にして少しでも時間の短縮を図ります。
コイルの断線
コイルの断線は名前のとおり、コイルが断線している状態です。
端子の13番と14番間が非導通です。
テスターで測定するとリレーは製造メーカーによりますが、試験で使用されるオムロンのMYの場合は660Ωほどです。
ただし、タイマリレーの電源部は半導体を使用しているため、抵抗値が正しく表示されない場合がほとんどです。
一番良い方法はリレーとタイマリレーを検定盤のチェック用ソケットに差し込み、赤ボタンを押し、カチっと音が鳴るかで判断するのが良いです。
忘れずにタイマリレーの設定時間は0秒に設定し、すぐに動作するようにしましょう。
コイルのレアショート
ここ数年、身近な人が試験を受けていますが、コイルのレアショートが試験に出たという情報はありません。
完全にショートしている場合は危険ですし、レアショートする場所により、抵抗値が異なるため、レアショートの判断が難しいという理由からだと推測しています。
完全にショートしている状態ではテスターは0Ωを指しますが、レアショートの状態によっては抵抗値が0Ωではないこともあります。
カタログに書かれている抵抗値から大幅に小さい場合はレアショートと判断して良いと思います。
a接点接触不良
a接点接触不良はコイルがONしたときにa接点がしっかりと閉じれない状態です。
この状態はテスターだけで判断することはできません。
検定盤のチェック用ソケットに差し込み、実際にリレーをオンオフした時のそれぞれの状態をテスターで確認する必要があります。
コイルOFF | コイルON | ||
c-a端子間 | 非導通× | c-a端子間 | 非導通× |
c-b端子間 | 導通〇 | c-b端子間 | 非導通× |
a接点溶着
a接点溶着は接点に大きな電流が何度も流れたりすると発生することがあります。
a接点が溶着した場合はコイルのオンオフに関わらず、対となっているb接点も動作しません。
慣れてくれば、テスターだけでも判別できますが、チェック用ソケットでオンオフ状態を確認した方が安全と言えます。
コイルOFF | コイルON | ||
c-a端子間 | 導通〇 | c-a端子間 | 導通〇 |
c-b端子間 | 非導通× | c-b端子間 | 非導通× |
b接点接触不良
b接点不良はコイルがOFFの状態でb接点が非導通の為、テスターだけでも判別することができます。
コイルOFF | コイルON | ||
c-a端子間 | 非導通× | c-a端子間 | 導通〇 |
c-b端子間 | 非導通× | c-b端子間 | 非導通× |
b接点溶着
b接点溶着はコイルOFFの状態ではa接点接触不良と同じ状態の為、テスターだけでは判断できません。
検定盤のチェック用ソケットでコイルオン状態を確認しましょう。
コイルOFF | コイルON | ||
c-a端子間 | 非導通× | c-a端子間 | 非導通× |
c-b端子間 | 導通〇 | c-b端子間 | 導通〇 |
効率の良いリレーとタイマの判別手順(方法)
人それぞれ色々なやり方があると思いますが、ここでは私が教えてきた手順を紹介します。
step
1テスターでレアショートの確認
レアショートは問題に出ないと言われていますが、念のため測定しておきます。
3級ではリレー4個、タイマ2個ですが、すべて抵抗値を確認します。
この段階で同時にリレーのコイル断線を判別することができます。
step
2検定盤のソケットに差し込む
次にリレーとタイマを順番に検定盤のチェック用ソケットに差し込みます。
1つずつ確認していきましょう。
注意点として、検定盤の電源をOFFにしてからソケットに差し込みましょう。
減点の対象となる可能性があります。
step
3コイルOFF状態でa接点を測定
コイルをOFF(励磁させない)の状態で「5番、9番間」のa接点から順番に「6番、10番間」「7番、11番間」「8番、12番間」と測定していきます。
良品の状態と違う接点があれば不良です。
不良の端子番号を覚えておきます。
覚えることが難しい場合は紙に書いておきましょう。
step
4コイルOFF状態でb接点を測定
コイルをOFF(励磁させない)の状態で「1番、9番」のa接点から順番に「2番、10番」「3番、11番」「4番、12番」と測定していきます。
良品の状態と違う接点があれば不良です。
不良の端子番号を覚えておきます。
step
5コイルON状態でa接点を測定
赤ボタンを押したまま、コイルをON(励磁した)の状態で「5番、9番」のa接点から順番に「6番、10番」「7番、11番間」「8番、12番間」と測定していきます。
良品の状態と違う接点があれば不良です。
不良の端子番号を覚えておきます。
step
6コイルON状態でb接点を測定
赤ボタンを押したまま、コイルをON(励磁した)の状態で「1番、9番」のa接点から順番に「2番、10番」「3番、11番」「4番、12番」と測定していきます。
良品の状態と違う接点があれば不良です。
step
7不良のリレーをもう一度測定し要因を判定
不良と思われるリレーをもう一度、コイルONとOFFの状態で各接点を確認します。
確認後に、不良要因を解答用紙に記入します。
間違えミスを防ぐために、2回ほど確認しましょう。
まとめ:リレーとタイマの点検
最初は接点不良と溶着のどちらか混乱するかもしれませんが、何度も練習することによって、どの不良要因かすぐに判別できるようになります。
ぜひ、リレーとタイマの不良品を購入して、練習しましょう。
不良品は検定盤とセットで購入することができます。
(残念ながら単品で販売されていません。)
合格するためには練習は必須だと思いますが、不良品を購入できない方もいると思います。
そんな方は私が先ほど説明した特徴を覚えるか、自作するか、機械保全のセミナーに参加するのが良いと思います。