コンデンサは電子回路の3大受動部品とも呼ばれる存在であり、私たちの生活を陰で便利にする役割を果たしています。
名前は知っているけれど、役割まで知らない人は実は多いのではないでしょうか。
私自身、新米のころは"電気を貯める部品"としか知りませんでした。
今回はコンデンサの概要について役割を中心に説明していきます。
一緒に勉強していきましょう。
目次
コンデンサとは
コンデンサとは電荷を蓄える部品であり、キャパシターとも言われています。
蓄えることのできる電荷の大きさを静電容量と呼び、F(ファラド)という単位を用いて表します。
電荷
粒子や物体が帯びている電気の量のこと
電子回路を学習したことがあれば、コンデンサという部品を一度は目にしたことがあると思います。
コンデンサの構造について
コンデンサは、2枚の金属板(電極)に誘電体が挟まれたものが基本構造です。
誘電体の種類としてはガスやオイル、セラミック、樹脂などが挙げられます。
また、金属板については平行板型のほかに、巻型や積層型などの種類に分かれています。
上図の平行板型は学校の教科書や資格試験の参考書に載っていますが、静電容量が小さすぎて、大型になるため、実用的ではありません。
実際には、電極間に誘電体を挿入し、帯状にぐるぐる巻いたり、何層も重ねた構造のコンデンサが実用化されています。
誘電体
電気を蓄えることができる絶縁体(不導体)のこと。
コンデンサの代表的な役割
冒頭でも説明しましたが、コンデンサの代表的な役割は電荷を蓄積できることです。
コンデンサ内の誘電体に電圧をかけると、両方の金属板にプラス電荷とマイナス電荷が蓄積されていきます。
この現象を静電分極と言います。
最終的に電流の流れがとまり、コンデンサは充電された状態になります。
目に見えないため、イメージしにくいと思い、"コンデンサに電気を貯める実験"をしてみました。
充電できる電荷の量は?
充電されるコンデンサの電荷は下記の計算式で表すことができます。
Q(電荷)=C(静電容量)×V(電圧)
Q[C]:電荷 C[F]:静電容量 V[v]:電圧
電圧の大きさが大きくなるほどコンデンサに充電される電荷の量は増える仕組みです。
静電容量はもう少し細かく説明すると下記の通り計算できます。
C[F]:静電容量 ε[F/m]:誘電率 d[m]:電極間距離 S[m²]:金属板(電極)面積
Sというのは金属板(電極)の面積であり、面積が大きいほどコンデンサは電荷をたくさん蓄積することができます。
駐車場が広いほど車を多く駐車できることを考えればイメージしやすいのではないでしょうか。
また、金属板(電極)の距離が遠くなるほど電荷が蓄積されにくくなります。
コンデンサの役割
コンデンサが電荷を蓄積できる部品であることをお伝えしましたが、実はほかにも便利な役割があります。
1.電荷を貯めて放出できる
単に電荷を蓄積するだけでなく、充電した電荷を放出することも可能です。
たとえば、カメラのストロボは、コンデンサによる放電の原理を活用しています。
瞬間的に電荷を放出することで強い発光を生じさせています。
2.電圧を安定させる
一般的な家庭で取り出せる電気は交流電圧ですが、多くの電子回路は直流電流に対応しています。
そのため、整流回路によって交流を直流に変える必要があり、その際の不安定な電流の脈動をコンデンサで抑えることが可能です。
3.ノイズを除去できる
コンデンサは直流電流を通さない一方で、交流電流を通します。
交流電圧は電圧の大きさが一定ではないので、理論上コンデンサが充電と放電を繰り返すからです。
特に周波数の高い交流電流ほど通りやすい性質を持っており、特定の信号を取り出すのにも役立つといえます。
ちなみに直流電流に含まれるノイズは交流成分であり、コンデンサを通過します。
したがって、入力と出力の間に分岐回路を設けることで、直流電流だけを出力回路に通し、結果としてノイズを除去することが可能です。
まとめ:コンデンサ
今回はコンデンサの構造をはじめ、役割を簡単にご紹介しました。
工場で働く保全や生産技術などの方は「コンデンサについて」詳しく知らなくても困ることはありませんが、知っておいて損はありません。
また、電気屋の方は電気工事士や電気主任技術者の試験を受験することが多いと思いますが、試験でもコンデンサに関する問題はよく出題されます。
コンデンサの構造や役割を知っていれば、暗記に頼らずに問題を解きやすくなります。
私自身も電気主任技術者試験を受験しましたが、理論の科目でコンデンサに関する計算問題と何度も遭遇しました。
ぜひコンデンサの構造や役割を理解しておくと良いです。