電気の知識

工場で設備の制御盤や分電盤によく使用される電線、ケーブルの種類

設備制御盤よく使用される電線

工場で設備関係の仕事をしている方は制御盤を作製したり、設備の改造で部品を追加したりするときに配線作業があると思います。

電線やケーブルにはいろいろな種類があり、どれを選定すれば良いか迷うことはありませんか?

今回は主に" 工場での屋内設備の制御盤や分電盤 " によく使用されている電線、ケーブルについて、それぞれの特徴や使用用途について写真を用いて紹介していきます。

注意ポイント

・JIS規格で規格化されている電線、ケーブルを紹介
・電話線や通信線、シールド線は対象外
・設備の制御盤や分電盤が対象のため限定的

今回の内容を動画で前編と後編に分けて紹介しています。

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制御盤でよく使用される電線、ケーブルの種類や特徴

制御盤によく使用されている電線ケーブルまずは設備の制御盤や動力盤でよく使用されている電線、ケーブルについて紹介します。

VCT

VCTケーブルVCTは600Vビニル絶縁キャブタイヤケーブルと言い、英語表記で600V Grade polyvinyl cloride insulated and sheathed portable power cablesです。

用途として、設備の制御盤から中継ボックスへ配線、モーターへの配線、電源コード、発電機や溶接機などの移動用機器のケーブルに使用されています。

VCTは交流600V以下、直流750V以下の電圧で使用できます。

VCTF

VCTFケーブルVCTFはビニルキャブタイヤ丸形コードと言い、ビニルで銅線が覆われています。

VCTとほぼ似た構造と材質であり、見た目はケーブルですが、「コード及び移動電線」という区分になります。

内線規程では指示固定することは禁止されているので注意が必要です。

用途は設備の制御盤からモーター等の機器への配線、電源線、信号線によく使用されています。

多くの工場では交流200Vが多いと思いますが、注意点としてVCTFは交流300V以下で使用しなければいけません。

シマタケ
いつくかの設備メーカーの電線仕様を見たことがありますが、VCTよりVCTFが多いです。

VCTとVCTFの比較

VCTとVCTFの比較

写真を見ると分かるように、同じ断面積でも絶縁体の大きさが異なります。

シマタケ
VCTFの方が絶縁体が薄い為、配線を剥くのが楽ですね。

IV

IV電線IVとは600Vビニル絶縁電線のことを言い、銅線をポリ塩化ビニルで覆った電線です。

英語表記で600V Polyvinyl chloride insulated wiresです。

種類として1本の導線の「単線」と複数の銅線をより合わせた「より線」があります。

用途としては、分電盤から設備の制御への接地用などの配線や制御盤や動力盤内の機器間の配線に使用されます。

下図はIVのより線を使用した制御盤内の配線になります。

よくある配線の色として、AC回路は下のように黄色や赤色の配線が使われていることが多いです。

IV制御盤内

IVは単線より、より線タイプの方が曲げやすいですが、次に紹介するKIVと比較すると配線が固く、取り回しは少し大変です。

シマタケ
配線が固いので90°に曲げる時など、配線はを綺麗にまとめることができます。

KIV

KIV電線電気機器用ビニル絶縁電線のことを言い、英語表記でPolyvinyl chloride insulated wires electrical apparatusです。

KIVのKは電気機器用、IVはビニル絶縁電線を意味します。

用途として、制御盤内の配線に使用されることが多いです。

KIV制御盤内

IVと比較すると、曲げやすく(可かとう性が良い)、配線作業がしやすいです。

参考:KV

KV電線KIVと似ている電線にKV(電子・通信機器用ビニル電線)がありますが、KVは日本電線工業会規格(JCS3368)にて規格化されています。

KVは24V回路の信号線に使用されていることがあります。

シマタケ
私は制御盤内を配線するときはKIVをよく使用しています。

参考:MLFC

MLFC電線難燃ポリフレックス電線のことを言います。

名前の通り、難燃性が高く許容温度は110℃で可とう性に優れている電線です。

メーカーによって名称が異なり、MLFCは日立金属での呼び名です。

他の会社でよく使用されるか分かりませんが、MLFCは制御盤内のケーブル、モーターの配線に使用されることがあります。

IVやKIVと比較すると、同じ断面積でもMLFCの方が許容電流が大きいため、サイズを小さくすることができます。

シマタケ
新品の配線はゴム臭いが結構します。

分電盤でよく使用される電線、ケーブルの種類や特徴

屋内配線に使用される電線、ケーブルCV

CV分電盤内架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブルのことを言い、電力用のケーブルです。

分電盤から設備の制御盤へ電源を供給する時など、に使用されます。

許容温度は高く、90℃です。

CVケーブル分電盤内

屋内だけでなく、屋外でも使用可能です。

CVT

CVT分電盤内CVTはCVケーブル三線撚り型のことを言い、CVケーブルを3本より合わせたケーブルです。

Tはトリプレックスの略です。

CVと比較すると、曲げやすくて敷設しやすく、許容電流が大きいのが特徴です。

CVT説明

また、用途はCVと同じく、低圧から高圧の電源ケーブルとして用いられています。

写真では分かりにくいと思いますので、図にするとCVとCVTの違いは以下のようになります。

CVとCVT違い-2

VVFケーブル

VVFケーブル600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形のことを言い、Vinyl insulated Vinyl sheathed Flat-type cable の頭文字をとって、VVFと呼ばれています。

分電盤のブレーカーからコンセント、照明などの屋内配線に使用されています。

VVFケーブル分電盤内

IV

IV電線IVは先ほど説明した通り、制御盤内の配線に使用されるほかに、照明器具やコンセントへの渡り線、分電盤では接地用(アース線)として使用されます。

HIV

HIV分電盤内HIVとは600V 2種ビニル絶縁電線のことを言い、英語表記で600V Grade heat-resistant polyvinyl chloride insulated wiresです。

IVの許容温度は60℃ですが、HIVは許容温度が75℃です。

IVと比較すると耐熱温度が高いため、許容電流が大きいです。

上の写真のように、分電盤内の配線に使われており、黄色の電線がよく使用されています。

まとめ:電線・ケーブルの種類について

電線やケーブルは沢山の種類があり、紹介しきれません。

今回は工場の制御盤や分電盤によく使用される電線、ケーブルに範囲を絞り、工場で働いている生産技術員、保全員の目線で紹介させて頂きました。

電線に関する規格もJIS、JCS、電気用品安全法と国内でも異なる規格がありますし、海外でも異なります。

使用される電圧、環境、用途に合わせて選定していきましょう。

シマタケ
1つの情報として参考になれば幸いです。

参考文献

日本産業規格 JIS C3317、C3605、C3316、C3306、C3312

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シマタケ

共働きの子育て会社員。工場で15年間働く電気エンジニア。多数の国家資格を取得。施設や工場で働く方々が勉強できる、様々な悩みを解決できるサイトを目指しています。雑記記事も時々書きます。心理学を勉強中でメンタルケア心理士、行動心理士取得。

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