電気の知識

見かけの電力がある?皮相電力・有効電力・無効電力について説明

2021年2月21日

電力の種類について説明

電気器具や機器には消費電力が記載されており、工場やビルなどでは省エネルギーの観点から電力管理をすることがあるかと思います。

電力という言葉は身近な言葉ですが、正確に意味を理解しておかないと間違った管理に繋がる恐れがあります。

今回は電力の意味をおさらいしつつ、電力の具体的な種類である皮相電力・有効電力・無効電力の違いについて解説していきます。

電気屋として必要な知識になりますので、一緒に勉強していきましょう。

動画でも同じ内容を解説しています。


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そもそも電力とは?

電力とは、電気が仕事を行うことであり、電気が1秒あたりに行う仕事量のことをいいます。

電力の求め方は電流×電圧、単位はW(ワット)で表されます。

仕事量というとわかりづらいかもしれませんが、何らかの仕事ができる可能性を秘めたエネルギーだと考えてみてください。

電力が大きいほど、1秒あたりにモータをたくさん回転させたり、電球をとても明るくしたりできるということです。

また、電力にも種類があり、大まかに直流電力と交流電力に分けられます。

電力の種類

直流電力は、直流回路の負荷にかかる電力です。

直流回路では負荷にかかる電圧が一定なので、直流電力も一定になります。

直流電源の回路

一方、交流電力は交流回路の負荷にかかる電力です。

交流回路では負荷にかかる電圧が周期的に変動するので、交流電力も変動します。

交流電源の回路

今回は交流電力について詳しく説明していきます。

皮相電力・無効電力・有効電力とは?

交流電力の種類交流電力はさらに皮相電力・無効電力・有効電力の3種類に細かく分けられます。

シマタケ
交流負荷には抵抗、コイル、コンデンサがありますが、実際に電力を消費するのは抵抗だけです。
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皮相電力

皮相電力とは皮相電力は、電気機器を動かすときに供給される(電源から送り出される)電力であり、Sで表し、単位はVA(ボルトアンペア)です。

機器全体の容量を表す時に使用されます。

電気機器にはさまざまな部品が組み込まれており、供給した皮相電力がすべて使われないケースがあります。

そのため、皮相電力は"見かけの電力"となります。

電気機器の仕様書に皮相電力が記載されていることがありますが、皮相電力だけでは、電気の消費を正しく把握することはできません。

有効電力

有効電力とは有効電力は、負荷で実際に消費される電力であり、Pで表し、単位はW(ワット)です。

その性質がさす意味から、消費電力や実効電力と呼ばれることもあります。

家電製品に表記されているのは一般的に有効電力であり、Wは私たちの経験からも身近な単位だと言えます。

家電製品の消費電力

ちなみに、電源から供給された電力に対して、有効に使用された電力の割合を力率と呼びます。

力率はcosθで表し、有効電力は皮相電力に力率をかけることで求められます。

力率

電源から供給された電力に対する実際に消費された電力の割合

無効電力

無効電力とは無効電力は、負荷で消費されない電力をいい、Qで表し、単位はvar(バール)です。

交流電源から供給される電力は、仕事をせずに交流電源に戻ってしまうエネルギーがあるということです。

理由として、コイルやコンデンサは電気エネルギーを蓄えたり、放出したりするだけで電力消費しないからです。

 

交流回路では、電圧と電流の値が周期的に増減をすることから、電圧や電流も波形で表されます。

波形のずれをあらわす位相差が大きくなるほど、無効電力が大きくなり、力率が悪くなったり、電圧変動の要因となったりします。

位相差は、コイルやコンデンサが回路に組み込まれていると変化します。

また、力率が100%に近いほど無効電力が小さくなり、皮相電力と消費電力の値が同じ値に近くなります。

無効電力は皮相電力に無効率をかけることで求めることができます。

無効率はsinθで表し、有効に消費されなかった割合を示すものです。

シマタケ
別の記事で位相差について紹介するため、今回は位相差については割愛します。

無効電力の必要性

無効電力は負荷で仕事しない電力なので、必要ないのではないか?と思られるかもしれませんが、必要な電力です。

負荷であるモータ(電動機)やインバーターなどの電気機器にはコイルやコンデンサが使用されており、それらの部品がないと動くことできません。

この無効電力があるおかげで、動くことになります。

ですので、無効電力は必要であり、コイルやコンデンサがある限り、無効電力は必ず発生します。

力率と効率の違いは?

力率と効率は似ている言葉ですが、電気について考えるときには厳密に区別します。

効率は負荷に渡った電力の消費を示す割合です。

つまり、力率が高くて有効電力が大きくても、負荷で熱が発生して、無駄にエネルギーが消費されてしまえば、効率が悪いとわかります。

シマタケ
力率と効率は同じ概念ではないことを理解しておきましょう。

以下は一般家庭で使用する電気機器の力率の目安になります。

例:電気器具の力率一覧(目安)
ニクロム線ヒーター 100%
アイロン 100%
蛍光灯 80~90%
洗濯機 70~80%
エアコン 70~90%

各電力関係のベクトル図

交流電力のベクトル図皮相電力、有効電力、無効電力の3つの関係性をベクトル図に表すと上図のようになります。

少し話がそれますが、電気工事士や電験3種などの資格試験では電力を求める問題がありますので、ベクトル図と計算式を覚えることが必須です。

まとめ:電力の意味を正確におさえて仕事を進めよう

今回は皮相電力や有効電力、無効電力の違いについて解説しました。

電力にはいろいろな種類があり、区別して考えなければいけません。

カタログや仕様書を見たときに、WやVAなどの表記を同じ意味だと考えると、正しい消費電力を把握できなくなります。

設備管理や電気工事ではさまざまな電気機器を取り扱います。

後々業務で支障をきたさないように、電力の種類はきちんと区別しておく方が良いです。

シマタケ
少しでも参考になれば幸いです。

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共働きの子育て会社員。工場で15年間働く電気エンジニア。多数の国家資格を取得。施設や工場で働く方々が勉強できる、様々な悩みを解決できるサイトを目指しています。雑記記事も時々書きます。心理学を勉強中でメンタルケア心理士、行動心理士取得。

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