こんな方におすすめ
- 端子台の種類について知りたい方
- ネジ式とスプリング式のメリット・デメリットを知りたい方
- ネジ式とスプリング式 迷っている方
日本での端子台はねじ式が多いですが、最近はスプリング式の端子台が増えてきているのをご存知でしょうか。
私自身もスプリング式が増えてきていると感じています。
そこで今回の記事は制御盤や中継ボックスで使用される端子台の種類、特徴について紹介していきます。
今後、国際標準化が進んでいく中で、シェアがどうなっていくか分かりませんが、スプリング式について知っておいて損はありません。
動画で確認したい方はYouTubeをご覧ください。
目次
端子台と端子の役割
端子台の定義は日本産業規格(JIS C8201-7-1)では以下のように書かれています。
「端子組立品を絶縁部品に組み合わせた構造で、支持体に固定できる電気的接続のための器具」
JIS C8201-7-1
難しい言葉で書かれていますが、下画像のとおり、電線(ケーブル)同士を中継・接続するための部品です。
追加できる端子台とできない端子台
端子台には複数の端子が組み合わさっており、それぞれの端子で電線、ケーブルの先端を金具で接続できる仕組みになっています。
また種類として、端子の数が固定されており、追加できない端子台と端子を追加できる端子台があります。
端子を追加できる端子台は、上の画像のように同じ製品を複数並べて連結することで端子を増やせます。
数が固定されている端子台は↑大きな電線などに使用されるのが一般的です。
盤内に使われる端子台の種類
端子台の種類には大きく分けて、ネジ式とスプリング式があり、さらにネジ式はY端子・丸端子用と棒端子用、スプリング式はクランプ方式とプッシュイン方式の種類があります。
アンケート:どの端子台がよく使われる?
YouTubeのコミュニティにて、端子台「ネジ式」と「ばね式」、どちらのタイプを使用することが多い、見かけることが多いですか?というアンケートをとりました。
これをご覧になられている"あなた"はどちらでしょうか?
520票の回答を頂いた結果、87%が「ネジ式」という圧倒的に多い結果でした。
もう少しスプリング式が多いかなと予想していましたが、ネジ式の端子台の方が全然多かったですね。
ネジ式端子台
ネジ式端子台は、ネジによって電線・ケーブルをしめつけて接続するタイプです。
ドライバーなどの工具でネジを回して、ネジや金具を締め付けて電線、ケーブルを固定します。
ネジ式の種類として、Y端子・丸端子用と棒端子用があります。
※棒端子用の端子台は用意することが難しかったため、インバーターの端子台の写真になります。
セルフアップとタッチダウン
さらにY端子、丸端子のネジ式の端子台はセルフアップ構造とタッチダウン構造に種類が分かれます。
セルフアップ構造は、ネジを緩めたときにネジが端子台から取り外せます。
ネジを取り外したとき、ネジを落としたり紛失したりするリスクがあります。
一方、タッチダウン構造では、ネジを緩めてもネジが端子台から外れません。
配線時にネジを落としたり紛失したりする心配がありません。
ネジ式のメリット
ネジ式端子台のメリットの一部を以下に紹介します。
メリット
・ネジ式のメリットとして、電線・ケーブルの先端の端子をネジで締め付けて固定するので、しっかりと接続できていることを目視と手ごたえで感じられます。
・接続したときの接触圧と接触面積が大きいので、比較的大きな電流を流しやすいです。
・金属部分が多いため、電圧測定時など、テスターのプローブをあてやすいです。
ネジ式のデメリット
デメリットは以下になります。
デメリット
・締め付けたネジが緩んでしまうことがあるので、定期的に増し締めをしなければなりません。
・ネジの穴が削れてしまうと、ドライバーで増し締めをしたり緩めたりしづらくなります。
・ネジを取り外すことのできるセルフアップ構造の場合、ねじを紛失する恐れがあります。
スプリング式端子台
スプリング式は、電線、ケーブルの先端を差し込むだけで接続できるタイプです。
内側に板バネがあり、電線、ケーブルの先端が挿入されると、反発力によって板バネが先端を導体に押し付ける仕組みとなっています。
最近では日本の端子台メーカーもスプリング式の端子を提供しています。
スプリング式にはクランプ方式とプッシュイン方式があります。
クランプ式は-ドライバーを差し込んで差し込み口を開いて、そこに電線を入れます。
プッシュイン方式は工具を使用せずに差し込むだけです。
電線・ケーブルの先端にフェルール端子を付けて接続したり、フェルール端子なしのより線や単線のまま直接接続したりします。
スプリング式のメリット
スプリング式のメリットは以下になります。
メリット
・ネジを回す必要がありませんので、ネジ式と比べて作業工数を削減できます。
⇒スプリング式は差し込むだけですので楽です。
・振動によるゆるみを心配する必要がありません。
⇒盤を納入するときの配線チェックや定期メンテナンスの作業時間も短縮できます。
・ネジ式と比較して端子台の横幅が狭くなります。
⇒配線作業の効率化、省スペース化を検討している方にはオススメです。
スプリング式のデメリット
デメリットは以下になります。
デメリット
・工具挿入用の穴と配線接続用の穴が近くにあるので、配線する部分を迷ってしまう恐れがあります。
スプリング式で導通チェックをするときは、このように工具挿入口にプローブを差し込みます。
電線、ケーブルを取り外すときは工具挿入口に工具を差し込んで抜きます。
・中にはバネが結構硬くて、口が開きにくい場合があります。
・ネジを締めて固定するという安心感がない
⇒ネジ式の端子台に慣れた人にとっては、差し込むだけで完了するフェルール端子の取り付けは物足りなく感じたり、不安が残ったりする場合があります。
・マークチューブが抜ける。
⇒端子が細いため、従来のマークチューブでは抜けてしまうことがあります。専用のマークチューブか結束バンドを使用して固定します。
・端子がついていない状態で挿し込もうとするとき、線がうまく刺さらず、ひげみたい感じで全部穴に刺さらない場合がある。
・構造上接触圧と面積が若干限定的であり、ネジ式よりも流せる電流がすくないです。
まとめ:端子台について
今回は端子台の種類、特徴について紹介しました。
ネジ式とスプリング式、それぞれのメリット・デメリットがありますので、特徴を理解したうえで導入されるのが良いです。