日々仕事をしていると、稀にこういった「言った、言ってない」の水掛け論に発展することがあります。
指示された覚えはないけど、上司は指示したように言っている。
まったく記憶にないことで謝るのは癪(しゃく)だし、でも謝らないと事態は収拾がつかなさそう。
結局どうしようもなくなって立場の弱い者が謝り、上の人間は苦虫を嚙み潰したような顔で終わらせるという、なんとも理不尽極まりない結末になることが多いはずです。
残ったモヤモヤ感と行き場のない怒りを抱えて仕事に戻るわけですが、納得いかない人も多いでしょう。
そこで、本記事ではこのような「言った、言ってない」が発生したときの対策と心構えについてお話していきます。
イライラしないためにも、参考にぜひ最後まで読んでください。
目次
なぜ「言った、言ってない」は起こるのか
そもそも、なぜ「言った、言ってない」の水掛け論は起こるのでしょうか。
傍から見ると非常にくだらない、低レベルの争いですし、大の大人が怒りむき出しで責任の押し付け合いをするなんて、やっていることは幼稚園児とそう変わりません。
それなのに起こってしまうということは、やはりなにかしらの原因や理由があるはずです。
実は、水掛け論に発展してしまうのは、お互いの維持と意識に違いがあるからです。
引くに引けない状況で意地の張り合いになりやすい
前述したように、水掛け論は子供のケンカと変わらない、低レベルの争いです。
だからこそ、そこには引くに引けない状況が発生し、最終的には意地の張り合いになってしまいます。
このような、非常につまらないプライドが邪魔をするせいで、「言った、言ってない」はどんどんエスカレートしていき、まるで燃料を投下され続ける蒸気機関車のように加速するのです。
意識の違いが絶妙な“ズレ”を生み出す
そしてもう1つ、両者の間で「言ったつもり」「聞いてない」の関係が成り立った時に、水掛け論は起こります。
お気づきでしょうか。
上記の会話ですでに水掛け論の火種が発生していることを。
上司は在庫を部下に確認し、部下は在庫の数を把握しました。
この時点で、上司としては「残り少ないから発注してくれよ」という意味を込めて話しています。
しかし、一方の部下の方は具体的な指示がないため、残り少ないことは理解しつつも、上司が自分で発注すると認識しています。
このように、上司は「言ったつもり」、部下は「聞いてない」となり、まるでアンジャッシュのコントのような絶妙な“ズレ”を生み出し、結果的に水掛け論へと発展するのです。
「言った、言ってない」を防ぐには予防するしかない
水掛け論が起こる原因がわかったところで、どうしたら対策できるかが気になるところです。
答えは非常にシンプルで、水掛け論を起こさないように、事前に防衛策を講じておけば良いです。
具体的な方法が、以下の4つです。
方法
・メールでやりとりをする
・その場でメモを取る
・ホウレンソウを繰り返す
・相手の言い回しを把握する
それぞれ具体的にお話していきます。
メールでやりとりをする
「言った、言ってない」に発展する原因として共通しているのが、「口頭でのやり取り」があります。
極端な話、相手から言われてないことをさえ証明できれば、「言った」側は引き下がるしかありません。
なので、トラブルに発展しそうなやり取りは、すべてメールなどの証拠が残るツールを使って行うのが効果的な対策と言えます。
ただし、相手が忙しかったり、年配の上司などはメールを使う習慣があまりない方もいるので、事前に効果があるかどうかの確認は必須です。
これは企業の風土や社員の年齢など関係するかもしれません。
私はメールを送ったあとに「〇〇の件について、メール致しましたのでお時間がある時にご確認ください」等と言ってます。
その場でメモを取る
メールでのやり取りに効果がない相手だった場合、アナログですが、その場でメモを取ることをおすすめします。
相手の目の前でメモを広げてペンを走らせれば、向こう側にも認知させることができますし、それ自体が証拠として生きてくるので、かなり効果的な方法です。
さらに、取ったメモをその場で相手に確認してもらえれば、相手とのズレを確認することができ、効果は2倍、3倍と膨らみます。
ホウレンソウを繰り返す
ビジネスの基本である「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」もまた、「言った、言ってない」の予防に効果的な手段の1つです。
ホウレンソウすべてに確認の意味が含まれていることから、相手にこちらが認識している情報を共有してもらえます。
そうすることでお互いの認知に“ズレ”が生じにくくなり、結果的に水掛け論の予防につながります。
相手の言い回しを把握する
自分の周りの人間がどんな言い回しをするのかを把握しておくのも、有効的な対策です。
「この人はこれで言ったつもりになるタイプか」
「あの人ははっきり言ってくれるから大丈夫だな」
後者は問題ありませんが、前者の場合だと曖昧に伝えてくるタイプだとわかるので、その場で「では、発注しておきますね。」と確認することができ、水掛け論を未然に防ぐことが可能です。
水掛け論に発展した場合の心構え
細心の注意を払っていても、「言った、言ってない」の口論になることはあります。
そんなとき、いったいどのような心構えでいれば良いのでしょうか。
自分は悪くないと思っていても謝る?
思いっきりケンカする?
相手に負けを認めさせるまで徹底的に追い詰める?
大体上記の3つのパターンに該当するかと思いますが、果たしてそれらは正解なのでしょうか。
「言った、言ってない」になったら謝るのが正解
結論からお伝えすると、私の中では「謝る」のが正解だと考えています。
冒頭でもお伝えしたとおり、非常に低レベルでなおかつ引くに引けない状況の争いですから、熱くなるだけ無駄です。
どちらかが折れない限り終わらないわけですし、くだらない言い争いをしている暇があるなら、少しでも仕事をした方が業務もスムーズに進み、周りにも迷惑がかかりません。
面倒ですのでササっと終わらせるのが良いです。
相手は子供だから自分が大人になろう
「言った、言ってない」よりも、発生したトラブルをどう処理するかが重要なのに、責任を押し付けられたくない子供は、一生懸命自分を擁護します。
そんな相手に、あなたがレベルを合わせる必要は一切ありません。
大人の余裕で「大変申し訳ありませんでした。以後気を付けます。」とあたまを下げれば、事態は収まります。
たしかにもやっとするかもしれませんが、周りで見ている人たちはきっと理解してくれますし、ほんとうの勝者がどちらなのかは明白です。
謝って終わりにしてはいけないときもある
ただ、なんでもかんでも謝れば良いわけではありません。
ときには絶対に抵抗が必要な場面もでてくるはずです。
上司が100個と言ったから発注したのに、本人は10個だと言い張っている。
その結果、自分がクビになりそうだ・・・
このように、自分の見が危険なときは全力で反論してください。
結果がどうなろうとも、あなたに100%非がないのなら身の潔白を主張するべきです。
それでも相手が引かない、罪をこちらに着せようとしてくるのなら、その部署や会社にいるべきではないとわたしは思います。
普通に考えて、上司が部下に罪を被せようとしてくるのはおかしな話です。
そんな上司と一緒に、これからも仕事を続けられますか?
今回はなんとかなっても、また同じようなことが繰り返されるだけです。
あまりにも度が過ぎる水掛け論になりそうであれば、異動、転職という選択肢もあたまの片隅に置いておいた方が良いでしょう。
まとめ:防ぐためにできること
「言った、言ってない」の水掛け論に対する対策と心構えについてお話してきましたが、低能で、周りからすれば見るに堪えない、くだらない争いです。
そんなことで必死になるのは格好悪いですし、なにより不毛だと思いませんか?
そうならないためには、やり取りのメモを取ったり、ホウレンソウを怠らないなど、未然に防ぐ自己防衛策が必須です。
日々の積み重ねが周りに浸透していけば、「こいつはメモを取るから下手な責任転嫁はできない」と認識されて、より強固な防壁が構築できます。
今日からでもできることですから、以前に水掛け論で悩んだことがあるなら、ぜひ試してみてください。