電気配線図は難しいというイメージはありませんか?
図面を見ると、たくさん記号や線が書かれてあり、嫌になるという声もよく耳にします。
私自身も新人のときはそうでした。
しかし、マイホームを建てる時や私のような電気関係の仕事している方は適当になるわけには行きません。
工事が始まり、建てたあとでは後戻りができないため、しっかりと図面を確認する必要があります。
そんな私ですが、今では仕事で図面を書いたり、友人からの相談にも乗ってますし、マイホームを建てたときも自分で設計しました。
一見難しそうに見える電気配線図ですが、図記号と実際の写真を照らし合わせれば頭の中にスッと入ってきます。
今回はよく使われる屋内配線用図記号と実際の写真で説明していきます。
この記事を読んで住宅の電気屋内配線図を読めるようになりましょう。
こんな方におすすめ
- 電気屋内配線図の見方を知りたい方
- 電気屋内配線図記号が分からない方
- 電気屋内配線図記号を忘れた方
目次
電気屋内配線図とは

呼び方は様々で、「配線平面図」「電気配線図」「電気設備図面」「屋内配線図」「電気屋内配線図」と呼ばれています。
今回の記事では「屋内配線図」と呼んでいきます。
この屋内配線図ですが、配線工事の施工方法を表すだけでなく、工事に必要な部材の数量や工事費用の見積もりとして使用されます。
では、屋内配線図の見方について、深堀していきます。
屋内配線図の見方について

これらの図記号はJISで規定されており、第三者でも共通で理解することができます。
最初に上の図面のトイレ部分を図記号と実物を照らし合わせて確認していきましょう。
屋内配線図の例
図面からコンセントやスイッチなどの位置は分かりますが、取付高さは記入されていないことがほとんどのため、図面から分かりません。
一般的にコンセント高さは250mm~300mm、スイッチの高さは1100mm~1200mmが多いです。
ユーザーから指示がない場合は上記の寸法になります。
家族の身長や老後のことを考えた高さにしましょう。
例として、コンセントは少し高めにすることで、腰を曲げずに電源プラグを差し込むことができるので負担を低減することができます。
なお、電線は上記例のように天井隠ぺい配線が多いため、天井内を見ないと分かりません。
| 電気部材 | 内容 |
| 電線 | 天井隠ぺい配線 |
| 照明 | 直付けシーリング |
| コンセント | 2口アースターミナル付きコンセント |
| 換気扇 | 壁付換気扇 |
| スイッチ | 片切スイッチ |
| パイロット付きスイッチ(スイッチ+動作表示灯) |
このような屋内配線図の見方を理解するためには「配線記号」と「屋内配線用図記号」の2つを覚える必要があります。
ポイント
「配線記号」と「屋内配線用図記号」
配線記号について
まず配線についてですが、実際の配線本数をそのまま書いていくと、見づらくなります。
そこで簡略化するため、基本的に配線は1本で表します。

配線使用する記号は主に以下の4種類です。
| 名称 | 図記号 |
| 天井隠ぺい配線 (天井内の配線) |
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| 床隠ぺい配線 (床下の配線) |
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| 露出配線 (隠さない配線) |
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| 地中埋設配線 (地面の中の配線) |
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書かれてない場合で電線の種類やサイズが気になる時は設計者に確認してください。
次は屋内配線用図記号です。
屋内配線用図記号について
屋内配線用図記号は照明やコンセント、通信機器、防災機器などの取り付け位置、取付方法を表します。
また、図記号は実際の形が想像できるようにある程度工夫されています。
たくさんある図記号ですが、今回は住宅でよく使用される図記号と実物を紹介していきます。
図記号と実物を照らし合わせることで覚えやすくなりますので順に覚えていきしょう。
照明器具の図記号

丸い形以外の照明器具として「蛍光灯」や「スポットライト」などがあります。
直付けシーリング

電線を接続する際は電気工事士の資格が必要です。
引っ掛けシーリング

電気工事士の資格がなくても取付、取り外しが可能です。
注意点として重い照明器具は取り付けられません。
ペンダント

ダイニングなどに使用されることが多いです。
レイアウトの変更により照明の位置を変更したい場合はダクトレールを使用すると良いです。
ブラケット

玄関、廊下、寝室などに使用されます。
ダウンライト

ダウンライトは真下を照らします。
あとで位置の変更ができないので、設置位置は検討する必要があります。
蛍光灯

会社や小学校などに使用されます。
最近はLED蛍光灯が多くなってきています。
シャンデリア

ホテル、結婚式場などに使用されています。
お金持ちの家にあるイメージがあります。
庭園灯

花壇の中に照明があると、ライトアップされたときに素敵になります。
スポットライト

間接照明や対象物を照らすために使用されます。
リビングに使用すると「やわらかい雰囲気」になります。
コンセントの図記号

黒い塗りつぶした部分は壁に埋め込む部分を示します。
コンセントは様々な種類があり、数字やアルファベットで区別します。
1口コンセント

他の電化製品などを差してほしくない場合など、専用化するときは1口コンセントを利用します。
2口コンセント

3口コンセント

差したい電化製品がたくさんある場合は多い方がよいです。
アース付きコンセント

写真は2口のアース付きコンセントのため「2E」と書きます。
アースターミナル付きコンセント

アース線アースターミナル付きのコンセントは「ET」と書きます。
写真は2口のアースターミナル付きコンセントです。
防水コンセント

コンセント記号の横にWPと記載します。
WPはWaterProofの省略です。
エアコン用コンセント

エアコンは電源が2種類あり、100Vの場合は記載しません。200Vの場合はコンセント記号の横に200Vと記載します。
写真のコンセントは「15A/20A兼用コンセント」や差し込み口の形状から「ILコンセント」とも呼びます。
ACはair conditionerの略です。
フロアコンセント

コンセント記号の下に▲をつけて表します。
使用しないときは蓋を閉じて、フラットにできます。
スイッチ(点滅器)

馴染みがないかもしませんが、スイッチは点滅器とも呼ばれます。
片切スイッチ

照明をオンオフするときに使用します。
ハンドルを外すとスイッチが見えます。
パナソニックの場合、青色が「片切スイッチ」です。
3路スイッチ

階段や扉が2個ある大きな部屋に使用します。
写真は3路スイッチですが、表面からでは片切スイッチ、3路スイッチ、4路スイッチの見分けはつきません。
パナソニックの場合はハンドルを外して、黄色のスイッチが3路又は4路スイッチです。
3路か4路の区別はスイッチの型番や裏側の記号を見ないと分かりません。
4路スイッチ

4路スイッチは3路スイッチと一緒に使用する必要があります。
片切、3路、4路の違いや配線方法について知りたい方はコチラをご覧ください。
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電気工事初心者の方必見!スイッチの種類や回路・配線方法
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パイロットスイッチ

確認表示灯とも呼ばれます。
トイレの換気扇や屋外の照明など、消し忘れそうな部分に使用します。
最近はオフのときに緑色に点灯し、オンのときに赤色に点灯するパイロット・ホタルスイッチも人気があります。

記号は黒丸のよこに「H」をつけます。
防水スイッチ

中にパッキンが入っているので安心です。
24時間空調用スイッチ

通常は触ることがないため、高めの位置に取付けます。
背伸びすると届く高さがおススメです。
通信機器の図記号
生活に欠かせないテレビ、インターネットに関連する図記号を紹介します。
電話用アウトレット

丸の中にTELと書く方が分かりやすいです。
テレビ用アウトレット

リビングや寝室に欲しいところです。
LANコンセント

ルーター
ハブ
最近は無線が多いので家では使用しないかもしれません。
その他の図記号
電力メーター

分電盤

ここからコンセントや照明に電気を供給しています。
脱衣場や、洗面所、洗濯機置き場などに設置されることが多いです。
換気扇

取り付けか所が天井か壁によって、図記号の形が変わります。
インターホン親機

複数の図記号があります。
インターホン子機

ドアホンとも呼ばれます。
昔はチャイムやベルなどの音だけでしたが、最近はカメラ付きで訪問者が親機のモニタから分かるタイプが主流です。
インターホン親機と同様、複数の図記号があります。

ジョイントボックス

プルボックス

屋外でコンセントを増設したい等、将来用として電線を入れておくと良いです。
リモコン

リモコン関係はリビングの一部分に集合させると良いです。
煙感知器

原則、煙式感知器を設置します。
シーリングファン

吹き抜けなどの天井が高いところに設置されます。
まとめ:屋内配線図について
今回は住宅をメインとした屋内配線図の見方を配線と図記号で40個ほど説明いたしました。
まだまだ紹介していない図記号がありますが、今回の図記号を覚えておけば十分だと思います。
忘れた場合は今回の記事で確認していただけると嬉しいです。
最後に注意点として、図記号は基本的にJISに準拠した記号を使用していますが、設計される方によって若干異なる場合があります。
図面を見る時はご注意ください。






