こんな方におすすめ
- テスターの使い方を知りたい方
- テスターについて知りたい方
- デジタルテスターとアナログテスターの違いを知りたい方
テスターの使い方が分からず悩んでいませんか?
そんな悩みを解決できる記事となっています。
なぜなら、私自身も最初は理解しておらず、誤った使い方をしてテスターの壊した経験があります。
しかし、今では理解することができ、テスターを使って仕事をしています。
この記事では図をたくさん使用し、分かりやすく説明していきます。
誤った使い方を使用するとテスターが壊れることや感電することもあるので、正しい操作方法を知ることが大切です。
テスターの操作方法だけ知りたい方は目次の「デジタルテスターの使い方」からご覧ください。
動画ですぐに使い方を覚えたいという方はこちらの動画をご覧ください。
動画1 デジタルテスターの使い方
動画2 アナログテスターの使い方
目次
テスターの用途
テスターは直流電圧、交流電圧、抵抗値、直流電流などを測定するときに使用する計器です。
テスターでよく使う機能として、「電圧測定」「導通検査」があります。
「電圧測定」はコンセントの電圧を確認したい時に使用し、「導通検査」は断線しているか確認したいときに使用します。
JIS(日本工業規格)の規定では直流電流・電圧、交流電流・電圧、抵抗の5種類のうち3種類以上の計測が可能なものをテスターといいます。
直流と交流の違いを確認したい方はコチラをご覧ください。
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押さえておきたい電源の種類|直流と交流の違い
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テスターの種類
テスターにはデジタルとアナログの2種類があります。
デジタルテスターはデジタル表示なのですぐに値を読み取ることが可能です。
また、高機能なものは周波数や電流測定機能が付いています。
最近はデジタルマルチメーター(DMM)と呼ばれています。
私は電気設備管理や生産設備のトラブル対応等をしておりますが、高機能なテスターで周波数測定や電流測定はしません。
周波数測定や電流測定をするときは別の計器を使用します。
テスターでは電圧測定と導通測定をメインで使用しています。
アナログテスターは針(メーター)が動くので、針の指す指示値を読み取ります。
読み取るのに目盛を見る必要があるので慣れない方は時間がかかりますが、針が動くので手応えがあります。
デジタルとアナログのどちかが良いか
デジタルとアナログのどちらが良いかという質問を頂くことがありますが、私の個人的な意見としてはデジタルの方が長所が多いので、デジタルテスターをおススメしています。
デジタルの方が長所が多いので、デジタルテスターを使い方が多いです。
私の職場では9:1の割合でほとんどの方がデジタルテスターを使用しています。
デジタルテスターとアナログテスターの違い
デジタルテスターの長所と短所
ココがおすすめ
・デジタルテスターの方が正確に測定することができる。
・デジタルテスターの方が機能がたくさん付いている。
・導通確認時に、ブザー音で確認することができる。
・デジタル表示なので数値をすぐ読み取ることができる。
ココがダメ
・数字が表示されるまでの反応時間が遅いテスターがある。
・外からのノイズの影響受けやすい。
・測定値がふらついた場合、値を読みづらい。
アナログテスターの長所と短所
ココがおすすめ
・針が動くので、手応えがあり認識しやすい。
・適正なレンジでは、反応速度が速い。
・外からのノイズに強い。
ココがダメ
・目盛を見る必要があり、値を読み取るのに時間がかかる。
・見方により、読み取り誤差が生じる。
テスターの各部名称および役割
テスターの種類によって異なりますが、基本的な部分は変わりません。
今回は下記のテスターで説明します。
デジタルテスターの各部名称と役割
【リード棒】
測定する箇所に当てます。赤が「+」、黒が「-」です。
テストピンとも呼びます。
【液晶表示部】
測定した結果が表示されます。
【ファンクションスイッチ】
このスイッチを回して、電源の入切、電圧測定、抵抗測定を選びます。
アナログテスターの各部名称と役割
【リード棒】
測定する箇所に当てます。赤が「+」、黒が「-」です。
テストピンとも呼びます。
【目盛板】
針が動き、測定結果を示します。
【レンジ切替スイッチ】
このスイッチを回して、電源の入切、電圧測定、抵抗測定等を選びます。
注意ポイント
テスターの測定がおかしい時は、電池切れの原因もあるので、電池切れに注意。
アナログテスターは電池切れの判断はすぐできません。
デジタルテスターは液晶表示にバッテリーマークが表示されることが多いので分かりやすいです。
デジタルテスターの使用方法
テスターを使用している人で実際に点検している人は少ないかもしれませんが、大切なことなので始業点検を行いましょう。
始業点検
1.リード棒(テストピン)が断線していないかファンクションスイッチを「Ω」の抵抗測定レンジにします。
2.赤と黒のリード棒(テストピン)をショートさせます。
3.表示が0.00~0.004になっていることを確認します。
0.00~0.04内だとリード棒が断線していないことが確認できます。
注意ポイント
大きい値の場合は断線している可能性があり、修理が必要。
交流電圧測定
例:コンセントの電圧を確認したい場合
1.ファンクションスイッチを「V~」の交流電圧測定レンジにします。
2.交流は+、-の極性が関係ないので、気にせずリード棒をコンセントに差し込みます。
3.表示された測定値を読み取ります。写真の場合だと103.4Vです。電気がきている(電圧がかかっている)ことが分かります。
電圧がかかっていない時は表示が写真のように0.88Vなど低い値を示します。0Vという表示にはなりません。
直流電圧測定
例:乾電池の電圧を測定したい場合
1.ファンクションスイッチを「V_」の直流電圧測定レンジにします。
2.赤色のリード棒を電池の+側に、黒色のリード棒を電池の-側に接続します。
3.表示された測定値を読み取ります。
一般的によく使用される乾電池で新品の状態であれば1.5Vほどの値が表示されます。充電池は充電された状態で1.2Vほどです。
注意ポイント
電池の消耗を抑えるため、すばやく測定してください。
抵抗測定
抵抗測定(導通測定)はトラブル対応時によく使う機能です。
例:ケーブルなどの配線が断線していないか確認したい場合
断線の確認方法は写真の短い電線で使い方を説明していきます。
写真ではただの電線なので電圧がかかっていませんが、実際に抵抗測定を行う時は電圧が加わっていない時に測定してください。
テスターの使い方に慣れていない人によくある失敗です。
私も経験したことがありますし、職場でも何度か発生しています。
電圧がかかっている状態で抵抗値を測定すると火花が散り、テスター内のヒューズが飛びます。
それだけならまだ良いですが、電圧の大きさによってはプローブが溶けたり、最悪の場合、火傷したりします。
目に見えないので、十分に気を付けましょう。
注意ポイント
抵抗測定時は電源をオフにして確認すること。
1.ファンクションスイッチを「Ω」の抵抗測定レンジにします。
2.電線に赤と黒のリード棒を当てます。
3.表示が0Ω付近になっていることを確認します。
0Ω付近だと断線していないこと(導通している)が確認できます。
ポイント
抵抗値が小さい(0Ωに近い)=断線していない。
抵抗値が大きい=断線していると判断
また、「Ω」レンジ右横の「ブザー」レンジを選ぶと、導通している場合は「ピー」という音がでます。
目でテスターの表示を見なくても音で判断することができます。
便利な機能です。
例:スピーカーが断線していないか確認する場合
部品が故障しているか判断するときにも抵抗測定を行います。
ここではスピーカーを例に説明していきます。
色は違いますが、同じスピーカーです。
左が新品、右が故障しているスピーカーです。
新品のスピーカーのインピーダンスは8Ωです。
インピーダンスは抵抗とお考えください。
インピーダンスと抵抗の違いについて知りたい方はコチラの記事をお読みください。
1.ファンクションスイッチを「Ω」の抵抗測定レンジにします。
2.スピーカーの電線を接続する箇所に赤と黒のリード棒を当てます。
新品の場合は紙(仕様書)に記載されている通り、8Ω付近の値を示します。
これは正常と判断できます。
次に故障しているスピーカーを測定します。
抵抗値は11.29MΩを示しました。
これは断線と判断できます。
実際にこのスピーカーは音を発することができませんでした。
こういった場合は交換となります。
アナログテスターの使い方
デジタルテスター同様、まず始業点検を行います。
始業点検
1.リード棒(テストピン)が断線していないかレンジ切替つまみを「Ω」の抵抗測定レンジにします。
2.赤と黒のリード棒(テストピン)をショートします。
3.指針が大きく右に振れたら異常なしです。振れない場合はヒューズまたは電池を交換して再度「1」かやり直してください。
上の写真だど指針が右端(0Ω)を指していないので、調整します。
0Ω調整
赤と黒のリード棒(テストピン)をショートさせて指針が0Ωを指さない場合は0Ω調整のつまみを回して0Ωを指すように調整します。
写真の場合だともう少し右に指針を移動させたいので、0Ω調整つまみ「0ΩADJ」を右に少しだけ回します。
0Ω調整はリード棒(テストピン)をショートした状態で行います。
交流電圧測定
1.レンジ切替スイッチを「AC V」の適当なレンジに設定します。
日本の家庭用コンセントの場合は100Vなので「AC250Vレンジ」に設定します。
2.交流は+、-の極性が関係ないので、気にせずリード棒をコンセントに差し込みます。
私が使用しているこのテスターはリード棒に脱着式キャップがついているため、このままではコンセントの口に入りません。
キャップを外す必要があるのでキャップを引っ張り、外します。
これでコンセントの口にリード棒を差し込めるようになりました。
3.測定値をACV目盛(赤色)で読み取ります。
250Vレンジに設定した場合は右端が250Vです。
指針が指しているところは100Vぐらいです。
コンセントにかかっている電圧が100Vで、今電気がきていることがわかります。
直流電圧測定
例:乾電池の電圧を確認したい場合
1.レンジ切替スイッチを「DC V」の適当なレンジに設定します。
2.赤色のリード棒を電池の+側に、黒色のリード棒を電池の-側に接続します。
3.測定値をDCV目盛(黒色)で読み取ります。
指針が指しているところは1.5Vぐらいなので、乾電池の電圧が1.5Vであることが分かります。
電池電圧測定
直流電圧測定でも可能ですが、電池電圧測定を使用すれば楽に電池の状態を判断できます。
機種によってはこの機能がないテスターもあります。
1.単三や単四の1.5V電池の場合はバッテリテストレンジを1.5Vにします。
2.赤色のリード棒を電池の+側に、黒色のリード棒を電池の-側に接続します。
3.指示をBAD、GOOD目盛で判断します。
上の写真では指針が「GOOD」を指しているので電池はまだ使用できることが判断できます。
注意ポイント
電池の消耗を抑えるため、すばやく測定する。
抵抗測定
例:ケーブルなどの配線が断線していないか確認したい場合
1.レンジ切替スイッチを「Ω」の適当なレンジに設定し、赤と黒のリード棒(テストピン)をショートして0Ω調整を行います。
0Ω調整方法はアナログテスターの始業点検に記載してあります。
2.赤と黒のリード棒を当てます。
3.表示が0Ω付近になっていることを確認します。
0Ω付近だと断線していないこと(導通している)が確認できます。
ポイント
抵抗値が小さい(0Ωに近い)=断線していない。
抵抗値が大きい=断線していると判断
これからテスターを使うために
テスターは現場で電気関係の仕事する人にとって必須な道具です。
テスターの正しい操作方法を知り、安全に作業しましょう。
電気がきているか確認してから作業をするのが基本です。
まとめ
・アナログとデジタルは計測の仕方によって使い分ける。
・これから使う方はデジタルテスターがおすすめ
・テスターで良く使う機能は電圧測定と抵抗測定の2つ。
・始業前点検を行うことが大切。
・抵抗測定は電圧が加わっていない時に測定する。
少しでも参考になれば幸いです。
ご安全に!
参考サイト:文献