セーフティリレーユニットは安全に機械を制御をするために必要な機器です。
私が働いている生産工場では、日本製の設備でセーフティリレーユニットが使用されていることは少なく、海外製の設備で使用されていることが多いです。
そんなセーフティリレーユニットについて、今回は「接続端子の説明」と「制御方法の例を3つ」紹介していきます。
セーフティリレーユニットって何?という方はこちらの記事から先にお読みください。 続きを見る
リレーとセーフティリレー、セーフティーリレーユニットの違いとは?
私が今まで見たことのある設備での制御例になりますので、もしかしたら詳しい方からすると、物足りないかもしれませんが、少しでも参考になれば幸いです。
なお、本記事では安全カテゴリーについては触れません。
安全カテゴリーとは
・安全対策の指標になるもの
・B、1、2、3、4という5段階に分類される。
・段階によって求められる安全機能が厳しくなる。
動画版もあります。
動画で確認したい方はこちらからご覧ください。
目次
接続端子の説明
まずは接続端子の説明からです。
回路図で説明していきます。
セーフティリレーユニットは電源、入力、始動(リセット)、出力から構成されます。
各メーカーによって呼び名は異なるかもしれませんが、基本的に似ています。
電源
電源端子はセーフティユニットに電源を供給する端子です。
定格電圧はAC/DC24VやAC100~240Vなどがあり、だいたいどのメーカーも端子名はA1、A2となっています。
入力
入力は非常停止や安全スイッチなどの安全機器を接続します。
安全入力、入力、入力回路とも呼ばれています。
安全機器からの入力を受け取ることのできる数(チャンネル)は1つ又は2つです。
端子名はメーカーによってことなりますが、S11、S12やT11、T12など数字の前にSやTが付いています。
始動
始動回路はセーフティユニットの出力をONするために信号を入力する部分になります。
リセット、リセット入力、起動、スタート、フィードバックなどとも呼ばれています。
方法として、「手動」、「自動」、「モニタリング+手動」の3種類があります。
どの方法を選択するかは安全のリスクアセスメントを行い、リスク評価によって決めます。
手動
手動は押しボタン単体や押しボタンと電磁接触器の補助接点の組みわせなどを接続し、人が操作してONするように配線します。
自動
自動は端子間を短絡したり、マグネットの補助接点を利用して自動でONしたりするように配線します。
モニタリング+手動
「モニタリング+手動」は手動と少し異なりまして、安全機器の入力接点が「閉」になったあとに、始動用の押しボタンスイッチのONで始動します。
安全機器の入力接点が「閉」になる前から始動用の押しボタンスイッチがONしていた場合、始動することができません。
機種の仕様などよってことなりますので、各々の仕様書をご確認ください。
出力
安全機器の入力条件が成立し、始動(リセット)が入力されると出力接点がONします。
出力接点には電磁接触器などのコイル端子が接続されます。
端子名は先頭にアルファベットが付かず13、14など数字が使われています。
セーフティリレーユニットの配線例3つ
配線例を3つ紹介していきます。
注意
機種によって配線方法は変わりますのでご注意ください。
配線例1 入力1ch 自動
・入力1ch 非常停止スイッチ
・始動(リセット)は自動
・ユニットの出力で電磁接触器のON/OFFでモーターへの電源を制御します。
配線説明
電源は電源端子へ接続します。
入力は非常停止スイッチが1つ、入力端子に接続します。
注意点ですが、メーカーや機種によって、2ch目を短絡したりする必要がありますので、各仕様書をご覧ください。
機種の中には接点を遅延させることのできる物もあり、使用しない時は短絡する必要がある場合もあります。
始動(リセット)は自動ということで、短絡します。
上図のように、ただ単に短絡する回路もありますし、設備によっては電磁接触器の補助接点を使用している回路もあります。
出力部分に電磁接触器のコイル部分を接続します。
制御としては非常停止ボタンがOFFの状態であれば、出力部分に接続されている電磁接触器がONし、インバーター2次側のモーターへの回路がつながるといった内容になります。
この他に負荷としては電磁接触器ではなく、I/Oモジュールの電源をON・OFFしている制御もありました。
配線例2.入力2ch 手動
・入力2Ch 非常停止スイッチ
・始動(リセット)は手動
・ユニットの出力で電磁接触器のON/OFFでモーターへの電源を制御します。
配線説明
電源は電源端子に接続します。
入力は先程と異なり、非常停止スイッチを1chと2chに入力します。
始動は手動ということで、押しボタンスイッチに加えて、電磁接触器の補助接点も一緒に接続します。
出力は2つ使用し、電磁接触器MC1と電磁接触器MC2のコイル部分をそれぞれ接続します。
制御として、非常停止スイッチがOFFの状態で、押しボタンスイッチを押すとセーフティユニットから出力され、電磁接触器MC1と電磁接触器MC2が励磁されます。
電磁接触器が励磁すると、MC1とMC2主接点がONし、モーターへ電源が供給されるといった内容です。
なお、始動(リセット)は自動ではないので、人が押しボタンスイッチで操作する必要があります。
配線例3.セーフティリレーユニット 2つ組みわせ
セーフティユニット2つ、組み合わせた配線例です。
■セーフティユニット1
入力は1ch で非常停止スイッチ
始動(リセット)は自動
■セーフティユニット2
入力は1chでドアスイッチ
始動(リセット)は手動で押しボタンスイッチ
配線説明
今回は2つのユニットの配線を説明していきますので長くなるため、、一部短絡部分の配線などの説明は省略します。
まずセーフティユニット1です。
入力に非常停止スイッチを接続、始動は自動なので短絡します。
出力部分には2つ接続されており、1つはPLCの入力ユニット、もう1つはセーフティユニット2の出力端子13へ接続します。
つぎはセーフティユニット2です。
入力にドアスイッチを接続します。
始動は手動で押しボタンスイッチを接続します。
出力部分は2つ、1つはPLCの入力ユニット、もう1つは設備へエアーを供給するためのバルブの配線を接続します。
制御の内容として、非常停止スイッチがOFFであれば、始動部分が短絡されているので自動でセーフティユニット1の出力がONします。
ONすることによって、PLC入力X000がONし、セーフティユニット2の出力端子13まで24Vが供給されます。
つぎにセーフティユニット1が出力されている状態(非常停止スイッチがOFF)、かつドアが閉じている状態で押しボタンスイッチを押すと、セーフティユニット2が出力されます。
セーフティユニット2の出力がONすると、PLCX001がONし、バルブが開になり設備へエアーが供給されます。
この制御はセーフティユニット1とセーフティユニット2の出力がONすることで、バルブが開放され、エアが供給される内容です。
まとめ:セーフティリレーユニットの配線例
今回は端子の説明と具体的な配線例を3つ紹介しました。
最後に端子について整理します。
端子 | 説明 |
入力 | ドアスイッチ、非常停止スイッチなどの安全機器を接続します。 |
始動(リセット) | セーフティリレーユニットの出力をONさせるために入力します。
方法として、手動、自動、モニタリング+手動があります。 |
出力 | 電磁接触器など制御したい機器を接続します。 |
セーフティリレーユニットは色々なメーカーから発売されており、種類が豊富です。
また使用する設備によっても様々な制御方法があります。
今回の配線例が少しでも参考になれば幸いです。