こんな方におすすめ
- オシロスコープって何か知りたい方
- 生産現場でどんな時に使用するのか知りたい方
オシロスコープって電子工作で使用するイメージはありませんか?
今回の記事ではは入門編として、初めての方を対象に、OWONから提供して頂いたHS2102Sを一部使用しながら、オシロスコープの概要について紹介していきます。
と思い方がいらっしゃるかもしれませんが、私が実際に使用して役に立ってケースはありましたので、事例も紹介させていただきます。
注意ポイント
今回は概要についての記事になりますので、周波数帯やサンプリングレートなどの性能や具体的な操作方法などは割愛します。
YouTubeでは実際にオシロスコープを使いながら紹介しています。
目次
オシロスコープとは何か?
オシロスコープは目に見えない電気(電気信号)を可視化、見えるようにする機器です。
名称が表しているとおり、振動、発振といった意味の(oscillation)と見る道具、観測する道具といった意味の(scope)、合わせて、オシロスコープ(oscilloscope)です。
構成
測定したいポイントをつかむための「プローブ」とよばれる部分とプローブから受けとった電気信号を処理してモニタに表示する「本体」があります。
今回の機種の場合、プローブは本体の1CH、2CHと書かれた部分に差し込みます。
下画像のオレンジ枠の部分です。
プローブを挿し込める数は機種によって異なり、数のことをCHと書いて、チャネル、(チャンネル)と呼びます。
この機種は2CHあるので、2つの信号を測定することができますが、他のメーカーや機種によっては、4、6、8CHなどのオシロス
コープもあります。
一度にたくさんの信号を確認したい場合は、チャネル数の多いオシロスコープを選定します。
あとは、プローブを変えることによって「音」や「電流」なども測定することができます。
形状・種類
オシロスコープは机の上に置いて使用するベンチトップ型(卓上型)と持ち運びが楽な「ハンドヘルド型」があります。
ハンドヘルドとは、持ち運びしやすい小型の端末のことをいいます。
テスターとの違い
電圧を確認する場合は、テスターやマルチメーターを使用すればいいのではないかと思う方はいませんか?
テスターやマルチメーターは時間情報を表示することができず、値のみを表示するため、高速で電圧が変化する場合は測定が難しいです。
それに対して、オシロスコープは時間的な電圧の変化を見ることが可能です。
試しにテスターとオシロスコープの違いについて、下画像にある機器で確認してみたいと思います。
確認するための回路として、「回帰反射型のNPN出力の光電センサー」を「PLCの入力ユニット」に接続しています。
光電センサーをONさせて、出力信号をテスターとオシロスコープ、それぞれで見てみます。
注意ポイント
・NPNのセンサーは日本で使用されていることが多い。
・センサーがOFF時に⇒24V ON時⇒0Vになります。
デジタルテスターでセンサーの信号を確認
テスターは三和電気計器のPM10を使用します。
測定しやすいようにセンサーの配線を端子台に接続していますので、端子台にテスターのテストリード(プローブ)をあてます。
このときの電圧はセンサーがOFFの状態ですので、約24Vです。
では、"黄色い物体"を動かして光電センサーにONさせて出力してみます。
センサーがONした状態では電圧が0Vになっているのですが、表示が追いつきません。
"黄色い物体"がセンサーを通過して、センサーがOFFになっているので24Vに戻っているのですが、表示はO.Lのままです。
数値は表示されませんが、何となく信号がON/OFFしているのが分かります。
今回は手でモノを動かしているので、比較的ゆっくりですが、物体の移動速度が速くなってくると難しいです。
アナログテスターでも確認してみます。
アナログテスターでセンサーの信号を確認
参考までにアナログのテスターでも試してみます。
"黄色い物体"を動かして、センサーをONします。
センサーがOFFになると、針が元に戻ります。
針が素早く触れますが、一瞬ですので、読み取ることが難しいです。
オシロスコープでセンサーの信号を確認
オシロスコープのプローブを端子台に接続してします。
光電センサーにONさせて出力してみます。
上図のように、黄色の線が下がっている部分がセンサーがONしたところです。
これはリアルタイムの波形で、このままですと波形が流れていきますので、オシロスコープでは画面を停止できるようになっています。
トリガー機能で画面を自動停止
画面を停止する方法として、手動で画面を止める方法とトリガーという機能を使用する方法があります。
トリガー
・電圧が変わった瞬間の波形を描画して画面を止める機能
トリガーはカメラでシャッターを切るイメージです。
センサーの出力がONしたときに画面を停止してみたいと思います。
トリガーを設定しておきますと、センサーがONしたときに画面が自動で停止します。
オシロスコープの画面の見方
オシロスコープの画面の見方について簡単に説明します。
画面の縦方向は電圧、横方向は時間軸を表しています。
画面内の10V/は電圧表示が縦軸の1マスが10Vという意味です。
200mS 時間表示は横軸の1マスが200mSという意味です。
今回の場合ですと、センサーのON時間が200mSの信号となります。
mSとは
・mSの読み方はミリ秒やミリセックやミリセカンドと言う
・1000mS=1S(秒)
このように、テスターとの違いは「時間的な変化を捉えることができるか、できないか」という点になります。
決してテスターが悪いというわけではありません。テスターは時間的に電圧を平均化した値が表示されるので、高速に変化する電圧の測定に向いていないということです。
オシロスコープの用途
オシロスコープの用途として、電圧などの値だけでなく、時間変化を確認したい時に使われます。
具体的な用途として、以下の通りです。
用途
・電圧の大きさ、変動を確認したい時
・信号の立ち上がり、ON時間を確認したい時
・信号の周期・周波数を確認したい時
・複数の信号同士のタイミングを測定したい
・ノイズなどの異常な信号を確認したい時
生産現場でのオシロスコープの使用事例
では、工場の生産現場でどのように使用するのか。
私の実体験になりますが、2つ紹介します。
事例1:センサーのON時間
センサーからの出力信号が何秒(単位msec)出力されているか確認したい時があります。
センサーがPLCに接続されている時になりますが、PLCでは入力信号を確実に取り込める時間が決まっており、入力信号のON時間が短いと、受け取ることができない場合があります。
昔のPLCを使用している場合やリレーを介して入力されている場合であったり、高速で生産しているラインで製品を検出したりするセンサーからの信号を、取り込むことのできないことがありました。
事例2:ノイズ調査
過去にとある設備の指示調節計の値がバラついたり、設備が誤動作したりしたことがありました。
電源ライン間にノイズが乗っていないか、アースラインからノイズが回りこんできていないか、オシロスコープで調査したことがあります。
やみくもに対処していくと非常に時間がかかりますので、実際の波形を確認しながらノイズ発生源を特定するのが良いです。
今回の記事で使用したオシロスコープ
今回使用したOWONのオシロスコープHS2102Sについて簡単に紹介させていただきます。
持ち運びが便利で、充電池で駆動することができます。
また、オシロスコープだけではなく、デジタルマルチメーターとして使用することもできます。
RMS真の実効値方式であるため、ひずんだ波形を正しく測定でき、電圧、電流、導通モード、ダイオード、キャパシタンス測定ができます。
さらに私は使用したことがありませんが、機種によっては、波形発生器の機能も付いており、電子機器のテストを行うことも可能です。
たくさんの機能がついたオシロスコープはですが、波形発生器なしの場合は2万円代からで購入できます。
コストパフォーマンスに優れていますので、気になる方は下のリンクからご確認ください。
リンク先は波形発生器付きのHD2102Sという型式の機種になります。
具体的な使い方等については今後、別記事にて紹介していきたいと考えております。