普段生活していると、コンセントが少ないと感じたり、ほしい場所にないことがありませんか?
テレビを見ながらドライヤーで髪の毛を乾かしたいのに、テレビの電源とDVDプレイヤーの電源でコンセントが埋まってしまっている。
抜き差ししなければいけない。
あるあるではないでしょうか。
そうならないように、電源タップなどを使って「たこ足配線」にしているご家庭は多いはずです。
しかし、たこ足配線と言えば、よく耳にするのが出火トラブルではないでしょうか。
そのイメージが強いせいか、たこ足配線は危険!という風潮が未だに根強く残っている印象を受けます。
結論からお伝えすると、たこ足配線は容量と使い方さえ間違わなければ危険性は低いです。
今回の記事では、たこ足配線を安全に使うための方法をお伝えしていきます。
ぜひ参考にしてください。
動画でも同じ内容を説明しています。
目次
たこ足配線が危険とされる理由
たこ足配線=危険という認識は、出火する危険性があることから広まりました。
ひと昔前では、家庭のコンセント量が少なく、たこ足配線が必須とすら言える住宅環境でした。
それ故に、どこのご家庭でもこぞってたこ足配線を導入していたものです。
しかし、たこ足配線を使用する上での必要な知識が普及していなかったことから、正しい使い方ができておらず、結果的に出火トラブルにつながってしまうケースが多くありました。
たこ足配線で出火トラブルにつながる2つのポイント
なぜ、たこ足配線で出火トラブルが発生するのでしょうか。
ポイントは2つあります。
- 電源タップの容量オーバー
- 差し込み口のほこり
それぞれ詳しく見ていきましょう。
電源タップの容量オーバー
通常、家庭にある電源タップの容量は1500Wです。
タップの中には1200Wの容量の電源タップもありますので注意しましょう。
また、コンセントの容量も1500Wです。
数字だけではイメージしずらいと思いますので具体的な使用例を図で表しました。
順番に説明していきます。
電源タップの使用例
まずは下図の使用例をご覧ください。
扇風機、テレビ、パソコンの消費電力の合計は500Wです。
この場合は電源タップ容量1500Wを超えないので問題ありません。
安全に電気を使用することができます。
では、この電源タップにドライヤーを接続したらどうでしょうか?
ドライヤーを接続すると消費電力の合計で1700Wになり、電源タップの容量1500Wを超えてしまいました。
容量オーバーするとどうなるのかが気になると思いますが、コンセントやアダプター部分が熱を持ち、最悪の場合は発火してしまいます。
コンセント容量にも注意
電源タップの容量だけでなく、コンセントの容量にも気をつける必要があります。
その例も紹介させていただきます。
下図のように使用例があるとします。
コンセントにレコーダー、電源タップに扇風機、テレビ、パソコンを接続されています。
上図の場合は合計が530Wですので、コンセント容量にはまだ余力はあります。
電源タップ側の合計容量は500W、こちらの容量にも余力はあります。
では、レコーダーを電源タップ側に移動し、コンセントの空いた口にドライヤーを接続してみます。
電源タップ側の合計容量は530W、こちらの容量には余力がありますが、コンセント側は1730Wと容量を超えてしまいます。
電源タップの増設例
次によくある勘違い「電源タップの増設について」説明していきます。
差込口の数が増えようとも下図のように電源タップの容量は変わりません。
つまり、もともとは2つの差込口しかないところを、電源タップで無理やり増設していても結局のところは1500Wまでしか使えないです。
差し込み口が増えたことでなんとなく全部が埋まるまで電化製品が使えるようなイメージを持ってしまいがちですが、そんなことはありません。
消費電力の大きい電化製品を接続するとすぐに容量オーバーになってしまいます。
これこそが、出火トラブルの主な原因なのです。
単独回路や複数のコンセント同一回路にも注意
一般的にコンセントの容量は1500W、コンセント回路のブレーカーは20Aでトリップするようになっています。
ですので、1700Wで使用していても電気が遮断されることはありません。
この状態で使用し続けると、コンセントや電線が熱を持ち続けるので気をつけましょう。
また、もう一つ気をつける事として、同じ部屋にあるコンセントは同じ回路であることが多いです。
下図の例では2つ合わせて20A(2000W)までです。
コンセントが2つあるので、3000Wまで使用できるイメージがあるかもしれませんが、実際には違いますのでご注意ください。
差し込み口のほこり
差し込み口にアダプターなどを差すとき、一瞬火花が見えることがありますが、それ自体は心配はいりません。
問題はコンセントとプラグ間に溜まった“ほこり”です。
とくにテレビや冷蔵庫などの家電にはほこりが集まりやすく、こまめに掃除しないとほこりまみれになっていることもめずらしくありません。
そのほこりが、湿気などの水分が付着し、プラグの刃と刃に電気が流れて、短絡して発火してしまうことがあります。
この現象をトラッキング現象といいます。
トラッキング現象を予防するカバーも販売されています。
定期的に清掃できない方、より安心したい方は購入された方が良いです。
たこ足配線を安全に使うための注意点
たこ足配線を安心・安全に使うためには、やはり容量を守ることがなにもよりも重要です。
逆に言えば、容量さえ守って使用すれば、出火トラブルになることはほぼありません。
たとえば、たこ足配線が必要になった場合、事前に使用する電化製品の使用電力を確認しておいたり、きちんと電源タップを拭く、掃除をするなどの配慮を行う必要があります。
こういった最低限の努力は、たこ足配線をし続けている限りサボることはできません。
電源タップは魔法の道具ではない
よく勘違いしがちなのが、先程ご説明したとおり、1つのコンセントに1500Wの電源タップを2つ差し込んだから3000Wまで使える、という考えです。
あくまでも元のコンセントは1500Wしか使用できないので、電源タップの量が増えたからといって容量自体が増えるようなことはありません。
できるならコンセントそのものを増設した方が良い
どうしても容量オーバーがでてくるなら、上図のようにコンセントを別回路で増設した方が安全です。
手軽に導入できるたこ足配線に頼りがちになる気持ちは良くわかりますが、数が増えすぎると管理が大変ですし、なによりその分出火トラブルのリスクが高まることになります。
最悪の場合、火災になる恐れがありますので、コンセントの増設工事を検討した方がトータルで安くすくむのではないでしょうか。
あなたは大丈夫?そのほかの出火トラブルの原因
これまでたこ足配線の出火トラブルの原因について詳しくお伝えしてきましたが、あくまでもよくあるケースでしかなく、そのほかにも発火に結びつくことがあります。
- 古いたこ足配線を使用している
- 電源コードが傷ついている
それぞれ詳しく見ていきましょう。
古いたこ足配線を使用している
昔ながらのたこ足配線を使用している場合、出火リスクは高いです。
理由としては、経年劣化はもちろん、コンセント内にほこりが溜まっている可能性が高いからです。
これらは目視で確認するのがむずかしく、気が付いたときには手遅れになってしまいます。
新しいものを使用するなどして対処することをおすすめします。
電源コードが傷ついている
たこ足配線ばかりに注目していては、出火トラブルを完全に防ぐのはむずかしくなります。
わたしたちが注意するべきはコードです。
コードが傷ついて中の銅線などがむき出しになってしまっていた場合、発火の可能性が高まります。
見た目にはなんともないコードでも、経年による絶縁性の低下や、折り曲げて使われていた部分が熱で弱くなってしまうこともあるので気をつけましょう。
まとめ:安全に電気を使用するにあたり
今回はたこ足配線の危険性と、安全に使う方法についてお伝えしてきました。
正しく使うことができれば出火のような大きなトラブルにまで発展することはまずありません。
ただ、その正しい使用方法を理解しているユーザーが少なく、たこ足配線ならいくらでも使えると思い込んでいる人が圧倒的に多いことから、「たこ足配線=危険」というイメージが広がったと言えます。
多少めんどうでも、かならず1500Wの容量を守り、ほこりなどのリスクを減らして使うように心がけてください。
まとめ
・コンセント、電源タップ容量は1500W
・ブレーカーは20Aでトリップ
・同じ部屋のコンセントは同一回路であることが多い
・ほこりはトラッキング現象を引き起こす
ご安全に!