こんな方におすすめ
- PLCのデータをExcelに出力したい人
- Excelのセルに記入した数値をPLCへ入力したい方
- 設備のデータ収集、DX化について興味がある方
突然ですが、PLCのデータをエクセルに書き込んだり、エクセルの内容をPLCへ送信したりしたいこと思ったことはありませんか?
今回の記事では複雑な通信プログラムを組む必要は全くなく、簡単にPLC のデータを Excel のセルに読み込んだり、Excelのセルの値を PLC に書き込んだりすることができるソフトMX Sheetについて紹介します!
ポイント
菱電機のソフトMX-Sheetと通信設定するためのMX-Componentを使用して説明していきますが、それぞれのPLCメーカー、キーエンスやオムロンでも似たようなソフトが販売さています。
・オムロン 代官山32
・キーエンス KV COM + for Excel
動画版も用意しています。
目次
PLCとExcelで通信するためのソフト
まず、使用するソフトについてです。
三菱電機の場合、ソフトは2つ必要となります。
MX SheetとMX Component です。
MX Sheet
MX Sheetは、EXCELでPLCと通信して、データのやりとりをするためのアドインソフトになります。
アドインソフトとは
アドインソフトとは、後で機能を追加することができるソフトのことです。
下の画像をご覧ください。
このパソコン画面のエクセルにはすでにMX Sheetがインストールされており、Excelの右側のタブ「アドイン」をクリックしてみます。
すると、リボン部分にMX Sheetが表示されます。
このMX Sheet部分をクリックしますと、PLCとのやりとりが設定ができます。
どのような通信ができるのか、後半で実際に紹介します。
MX Component
つぎにMX Componentというソフトについてです。
MX Componentで予め、PLCとPCの通信設定をしておく必要があります。
MX Sheetだけでは通信することができません。
インストールしている場合はMELSOFT>通信設定ユーティリティから開きます。
管理者権限で実行しないと設定できませんので、管理者権限で実行を選択します。
設定画面が開きますので、こちらでパソコン側とPLC側の設定を行います。
通信の種類として、USB、イーサネットなど色々選択できます。
今回の記事では設定方法は割愛します。
Ethernet接続の場合について、1:1で接続する場合は気にする必要はありませんが、複数のPLCやPCと通信する場合は局番やIPアドレスが重複しないように注意する必要あります。
MXsheetでどんなことができるの?
つぎにMxsheetで何ができるのかいつくか例を挙げて説明させていただきます。
全部説明しますと、長くなりますので、以下の4つを紹介します。
説明する機能
・アラームサマリ、
・ロギング
・書き込み、
・自動保存/クリア
MX Sheetを確認するための機器構成
機器の構成はPLCとタッチパネル、パソコンHUBを用いてEthernet接続で通信しています。
アラームサマリ
アラームサマリはXやY、MといったビットデバイスのON/OFF情報をコメントに変換し、Excel シートに履歴として表示することができます。
具体的には何時何分に運転または停止したか、何分間運転していたのか、どのような異常があり、何分間停止したのか、何回異常が発生したか、Excelに履歴を残すことができますので設備の稼働状況を把握するのに使用できます。
言葉だけでは分かりにくいと思いますので、実際に見てください。
例として、設備の運転時間の履歴を取りたいと思います。
運転スイッチを押し、模擬的に運転状態にします。
運転状態になると、セルに運転したときの時間が入力されます。
停止スイッチを押し、模擬的に設備を止めます。
停止状態になると、停止した時間と運転していた時間がセルに入力されます。
もう1度、運転停止を繰り返してみます。
異常履歴
こちらは異常履歴が設定されている画面になります。
異常もこのようにセルに履歴を取り込むことができます。
ロギング
PLC内のデータ(D:データレジスタ)をExcelに表示することができます。
例として、製品の重量データや外観検査結果など、記録することができます。
ビットデバイスやデータレジスタって何という方はこちら↓の記事をご覧ください。
記録の方法として、毎日、毎週、毎月や一定の時間や時刻など指定してデータを読み取ることができますし、PLCのある信号(デバイス)がONしている時だけなど、設定することができます。
また、その他の設定としてハンドシェイクの設定ができます。
ハンドシェイクとは
・データ通信で確実にデータが送信されたかを通信相手の応答を確認しながら行なわれる通信手段のこと。
・データが漏れなく伝わる可能性は高いが、通信スピードは遅くなる
あとはCSVファイルでロギングデータを保存することもできます。
最近はやっている設備のDX化などでデータベース化するとき、CSVファイルの方が便利なときがあります。
Excelファイルと互換性のないデータベースソフトでは、Excelで作った表はCSVファイルに変換して読み込む必要があるからです。
今回は試しにPLCのデータレジスタD10の数値を10秒ごとExcelに表示してみたいと思います。
まずGX Works2を起動して、PLCのデータレジスタD10に手動で"100"と入力してみます。
D10に100を入力しました。MX Sheetを通信開始します。
セルに100と入ってきます。
今回の設定は10秒ごとにD10の値を収集する設定なっていますので、10秒ごとにセルへ入力されます。
次はデータレジスタD10に格納されている数値を200にしてみます。
すると200が入ってきます。
書き込み
セルに入力されている数値をPLCのデバイスへ書き込みことができます。
実際に試していきます。
設定として、D20、D22、D24の3つのデータレジスタに書き込みます。
書き込むタイミングはタッチパネルにある「データ送信」と書かれたスイッチです。
このスイッチを押すとM3030がONする設定となっています。
M3030が設定を書き込むためのデバイストリガーとなります。
タッチパネルの画面にあるD20へ10 D22へ15 D24へ20を入れてみたいと思います。
10、15、20と入力しまして、通信を開始します。
PLCの内部を確認してみます。
この状態ではまだタッチパネルのスイッチを押していないので、D20、D22、D24は"0"です。
データ送信スイッチを押します。
すると、Excelに入力した設定値が各データレジスタに書き込まれました。
このような感じでExcelのシートに書かれていた各設定値をPLCのデータレジスタへ書き込みことができます。
自動保存
Excelシートを手動での保存ではなく、PLCのある信号(デバイス)がONした場合に自動でシートを保存したり、ある曜日や時刻になった時に自動で保存したりすることができます。
設備の日報や試験成績書を作成するときに便利です。
また、保存時のファイル名や保存先も決めることができます。
では、実際に自動で保存してみます。
今回はタッチパネルにあるスイッチ「データ保存」を押すと、自動で保存できるようにしてあります。
保存先はデスクトップのフォルダにしていますが、スイッチを押す前は、空の状態です。
スイッチを押します。
するとあらかじめ設定してあったファルダに、指定したファイル名で保存されます。
いま立ち上げているExcelを閉じて、保存したデータを開きますと、使用しているシートが保存されているのが分かります。
自動クリア
通信開始時やある信号がONした時にセルの内容をクリアすることもできますし、自動保存時にセルをクリアすることができます。
今回の記事では、自動保存時にセルをクリアしてみたいと思います。
自動保存するときの条件は、タッチパネルにあるスイッチ「データ保存」を押した時にします。
実際に確認してみます。
スイッチを押します。
スイッチを押すと、セルの内容がクリアされます。
また、データの保存も自動でされています。
まとめ:MX Sheet
今回はPLCとExcelの通信方法として、三菱のMXsheetについて、紹介いたしました。
MXSheetはEXCELが使える人であれば簡単に設定できて値段も安いです。
PLCとExcelでの通信でプログラム作成を考えている方がいましたら、こちらのほう安価にシステムを構築できるのでお勧めです。
デメリットとして、個人的な意見になりますが、マクロやバッチファイル等でのExcel(MXSheet)の自動起動や自動停止
といった制御はMXsheetでは想定の使用方法でないため、融通がきかない部分はあります。
設定方法が悪いのかもしれませんが、自動で立ち上がるようにしてみたところ、時々エラーが発生することがあります。
とはいえ、設備のDX化を始めるにあたり、スモールスタートとしては良いソフトではないかなと思います。
体験版をダウンロードすることができますので、興味のある方は確認してみてください。
三菱電機URL