あなたは生産設備などの機械に設置されている表示灯(ランプ)の色に規格があることを知っていますか?
表示灯はただ点灯しているだけではなく、色に意味合いがあります。
また、「受電設備や大型機械などのプラント系」と「生産設備や工作機械」では色の意味合いが矛盾する部分もあります。
今回はそんな悩みを解決するために基本的な「設備に使用される表示灯の色」「表示に関する規格」、「色の考え方」などを詳しく紹介していきます。
色だけで判断するとトラブルに繋がりますので、一緒に表示灯の色の意味合い、併せて種類を勉強していきましょう。
動画でも説明しています。
目次
設備に使用される表示灯の色
冒頭でお伝えした通り、「受電設備やプラント系の設備」と「生産設備、工作機械などの産業機械」での表示は意味合いが下記のとおり、逆になっていることがほとんどです。
種類 | 色の意味合い | |
受電設備やプラント系など | 運転:赤 | 停止:緑 |
生産設備などの一般作業機械 | 運転:緑 | 停止:赤 |
異なる理由として以下の規格があるからです。
表示灯の色の定義に関する規格
受電設備やプラント系の動力盤
上の写真は停止中は緑色のランプが点灯、操作ボタンの「入」が赤色、「切」が緑色となっています。
その理由として、受電設備やプラント系の動力盤についての規格、日本配電制御システム工業規格「JSIA 113 キャビネット形動力制御盤」があります。
そこには以下のように書かれています。
7.10 監視・操作機能動力制御盤の監視・操作機能は,次による。
運転表示:赤/停止表示:緑
生産設備などの一般産業機械の制御盤について
さきほどの「受電設備やプラント系の動力盤」とは逆になっており、上記の写真の設備では運転中は緑ランプ点灯です。
この理由として工場の生産ラインにある生産設備などの一般作業機械については
日本産業規格(JIS)の規格「JIS C 0448 表示装置(表示部)及び操作機器(操作部)のための色及び補助手段に関する規準」があります。
そこには以下のように書かれています。
5.表示装置(表示部)
5.1使用形態 表示装置(表示部)の以下の形態で使用する。
中略
表5は工程の状態に関して表示装置(表示部)色が表す意味を示す。表5 工程の状態に関して表示装置(表示部)の色が表す意味
1 2 3 5 色 意味 説明 適用例 赤 非常 危険な状態 必要な機械及びサービス・システムの停止 黄 異常 異常な状態 コンベアの過負荷 緑 正常 正常な状態 続行許可
出典:日本産業規格
※表5は必要な部分だけ抜粋しています。
詳細を確認したい方は無料会員登録を行えば日本産業標準調査会のサイトから日本産業規格JIS C 0448で検索できます。
以上のことから2つの規格を見ると、意味合いが逆になっていることが分かります。
今回は紹介していませんが、操作ボタンの色の意味合いも逆になっています。
参考:表示色の意味合いの考え方
なぜ、逆になっているのでしょうか?
私は工場の生産現場で保全をしていたあとに、受電設備などを管理する部署に異動したため、違和感がありました。
当時、入社したときに先輩や業者の方に聞いたことがあり、なるほど!と思ったので紹介します。
受電設備やプラント系の大型設備
運転している時、設備は作業者にとって安全上、危険な状態と言えます。
例:空調機 手をだせば回っているベルトに巻き込まれる恐れがある。
例:受電設備 充電部に近づいたり、手を出したりすると感電する恐れがある。
そのため、運転中は注意するために「赤ランプ:点灯」
停止している時は安全な状態なため「緑ランプ:点灯」という考え方になっていると聞きました。
生産設備などの一般作業機械
先程お伝えしたJIS C 0448に明記されている通り、工場などの生産ラインにある設備は反対の色になります。
運転中は設備が正常なため問題なし⇒「緑ランプ点灯」
停止中は設備が通常と異なる状態のため注意⇒「赤ランプ点灯」です。
設備には表示としてシグナルタワーが設置されており、基本的には以下の意味合いで使用されていることが多いです。
表:シグナルタワーの使用例
色 | 意味 | ||
赤 | 異常な状態 | 過負荷、温度異常など | |
黄 | 要求、お知らせ | 資材不足など | |
緑 | 正常な状態 | 運転中 |
まとめ:ランプ色だけで判断しない
生産機械とプラント系の機械では表示の意味合いが逆になっていることがほとんどです。
今回は紹介しておりませんが、操作ボタンの色も逆になっていることが多いです。
また、稀にユーザーのオリジナル仕様になっている場合もあります。
このように現場や設備によって、仕様が異なりますので色だけで設備の状態を判断するとトラブルに繋がります。
事前に回路図面や仕様書を確認して、表示ランプの意味合いを確認しておくことが大切です。