この数年、大きな自然災害が頻発しています。
その結果もたらされるのは大規模停電で、電気に頼り切っているわたしたちの生活は、一瞬にしてすべてのライフラインを断たれると言っても過言ではありません。
そんなときに役立つのが非常用発電機です。
災害の頻発と同時に注目を浴び、ホームセンターなどでは一時期品不足になるほど急激に普及しました。
しかし、停電が発生してから悠長に発電機を作動させているようでは、医療関係の機材やパソコンなどの24時間稼働している機器は即時シャットダウンしてしまい、大きなトラブルへと発展しかねません。
そうならないためにはUPSが必要不可欠で、現代社会ではマストアイテムと言えます。
ただ、中には上記の2種類の違いがわからず、もしかしたら使用方法が間違っている方もいるかもしれません。
そこで、本記事では発電機とUPSの違いを4つの項目に分けて解説していきます。
この記事を読めばすぐに両者の違いが分かる上に、メリット・デメリットや適切な用途方法まで理解することができます。
両者の違いを一緒に勉強していきましょう。
注意
UPSの中には長時間の運転が可能な大容量の大型UPSがありますが、今回の記事では瞬停に対応する機器用や家庭用のUPSについて記載しています。
動画でも説明しています。
目次
UPSとは?
発電機については今更説明するまでもないと思いますが、UPSをよく知らないという人は多いはずです。
一般家庭ではあまり聞く機会もなかった単語ですが、実はUPSも発電機に近い働きができる機器です。
というのも、UPSはUninterruptible Power Supplyの頭文字を取ったもので、日本語にすると「無停電電源装置」と言います。
名前の通り、停電時や瞬停時に代わりに電力を供給してくれる機器のことを指します。
ただし、発電機のように自発的に電気を作れるわけではなく、あくまでも内蔵しているバッテリー量のみでしか供給できないため、あまり長時間はもちません。
簡単に言ってしまえば、その場しのぎのつなぎ程度に使うと考えてもらえればOKです。
瞬停とは
・瞬時停電の略、瞬断、瞬電とも呼ばれる。
・瞬間的(数秒)に電圧が低下すること。
・1分以下のことを言う。
UPSはパソコンなどで大活躍
UPSの最大の魅力は、何と言っても瞬間的に電源が切り替わることにあります。
たとえば、冒頭でお伝えしたような自然災害による急な電力遮断の場合、のんびり発電機を回していてはお話になりません。
とくに重要なデータが入ったパソコンや、人の命を守る医療関係の機器が止まってしまうと、どうなるかは容易に想像できます。
そういった停電時に大きな被害が想定される機器にこそ、UPSが大活躍します。
UPSがあれば発電機は不要?
一見すると、UPSさえあれば発電機はいらないのでは?と思えるほど便利なように感じますが、実際のところはそうではありません。
前述したように、UPSはあくまでも電力が復旧するまでの一時的な電源でしかなく、長時間の運用は想定されていないため、根本的な解決にはならないのです。
UPSはパソコンやサーバーを正常にシャットダウンするための機器と覚えておくと良いです。
長時間電気が復旧しない場合は、やはり発電機が必要となります。
注意
UPSの中には長時間の運転が可能な大容量の大型UPSがありますが、今回の記事では瞬停に対応する機器用や家庭用のUPSについて記載しています。
発電機とUPSの4つの違い
UPSについて理解が深まったところで、次は発電機との違いについてです。
ここでは、下記の4つの項目に沿ってわかりやすく比較していきます。
ポイント
① 電力の供給方法
② 使用できる時間
③ 供給できる電力量
④ 使用用途
注意
UPSの中には長時間の運転が可能な大容量の大型UPSがありますが、今回の記事では瞬停に対応する機器用や家庭用のUPSについて記載しています。
①電力の供給方法
発電機とUPSの共通点は、どちらも電力を供給できることにありますが、それぞれ供給方法に違いがあります。
発電機 | UPS |
エンジンを回し、自己発電して供給 | 内蔵バッテリーに蓄電した電気のみで供給 |
発電機は自分で電気を作り出せるのに対し、UPSはあくまでも蓄えた電気で供給です。
似ているようで大きく異なります。
②使用できる時間
電源供給できる時間にも差があります。
発電機 | UPS |
燃料が切れるまで供給可能 | 数分~数時間程度 |
前述したとおり、UPSはバッテリー内にある電力を供給する機器の為、長時間の使用はできません。
一方の発電機は、燃料さえ切れなければ長時間使用することができます。
ちなみにそのUPSはメンテナンスしていませんでした。
バッテリーやファンには寿命がありますので定期交換が必要となります。
③供給できる電力量
続いて、供給できる容量の違いも見てみましょう。
発電機 | UPS |
容量が大きい | 容量が小さい |
発電機は機械などを動かすときにも使用できるため、容量が大きいです。
一方、長時間の使用ができないUPSは供給できる電池容量も小さいです。
④使用用途
それぞれの使用用途についても比較していきます。
発電機 | UPS |
色々な機器に使用可能 ※パソコンなどの精密機器を使用する時はインバータ方式 |
一般的にパソコンや通信機器の瞬間的なシャットダウンを防ぐ |
使用用途には両者で明確な違いがあります。
発電機は完全に電力が途絶えた後でも機器を動かせます。
UPSは容量も小さく、長時間の使用ができないため、どうしても小さな機器にしか使えません。
ただし、発電機の使用には準備に時間がかかるため、すぐに機器を動かすのは苦手です。
その点UPSは瞬間で電源供給が可能ですから、状況によって使用用途が変ります。
発電機とUPSのメリット・デメリットまとめ
それぞれの違いが分かったところで、続いて発電機とUPSのメリットとデメリットも見ていきましょう。
各々が優れていたとしても、実際に使ってみたらこんなデメリットがあったとならないように、ここでしっかりチェックしてくださいね。
発電機のメリット・デメリット
メリット
・長時間の電源供給が可能
・容量によって色々な機器を動かせる
・燃料が続く限り使える
デメリット
・エンジン音がうるさい
・発電までに時間がかかる
・燃料が別途必要
小型の発電機を使用しましたが、そこそこ重かったです。
また、ポンプが運転したり、冷蔵庫が冷やしたりすると発電機のエンジン音がうるさくなります。
UPSのメリット・デメリット
メリット
・急な停電を感知して瞬間的に電源供給が可能
・発電機に比べてコンパクト
・低コストで使える
デメリット
・一般的に長時間の使用ができない
・供給できる容量が小さい
・使用用途が限られる
製造現場(生産機械)にUPSは必要か?
過去に何名かに質問されたことがありますので、最後に、生産機械(制御盤)など、製造現場で使用される設備にUPSの設置が必要か考えていきましょう。
最近の生産機械はPLC、ロボット、画像処理装置、パソコン等が多く使用されています。
また、生産機械の稼働率や生産数、不良率、その他重要なデータを収集するために通信機器を設置しているケースもあります。
これらの機器が瞬時停電のより、一時的に停止すると、最悪の場合は不良となり廃棄(ロットアウト)となることがあります。
さらに品質を担保するための重要なデータが一部欠落したり、パソコン内のデータが破損することがあるかもしれません。
そんな瞬時停電は思っている以上に各地で発生しています。
設備の安定稼働とデータ保護の観点からUPSは重要ですし、今後UPSの需要はますます増えていくと思います。
しかし、UPSは安価な機器ではありませんので、費用対効果を考慮して導入する必要があります。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。