こんな方におすすめ
- 分電盤について知りたい方
- 電灯分電盤と動力分電盤について知りたい方
- 分電盤の銘板について知りたい方
工場やビル、施設などの通路や廊下の壁に電気の盤を見たことがありませんか?
今回は初めての方向けに工場や施設内にある分電盤のついて仕組みを紹介したいと思います。
以下の内容で説明していきます。
今回の内容
・分電盤とは、分電盤の区分
・電灯分電盤について
・動力分電盤について
YouTubeでも説明しています。
動画の方が好みの方はこちらからどうぞ!
目次
分電盤とは、分電盤の区分
まずは分電盤に関係する電気の流れについて説明したいと思います。
上の図は電力会社から高圧で電気を供給してもらい、負荷まで電気が供給されるまでを表した図となります。
電気の流れとして、電力会社から受電設備(配電盤)で電圧を高圧から低圧にし、分電盤へ供給されます。
分電盤へ供給されたあとは各負荷へ供給されます。
この画像を見ると、配電盤、分電盤、制御盤、どれも " 盤 " という文字が付いており紛らわしいです。
制御盤はその名のとおり、設備を制御するための盤ですが、配電盤と分電盤は一文字違いで似ています。
配電盤と分電盤の違いについて
配電盤と分電盤との明確な定義や区分はないと言われていますが、イメージとして、配電盤は各階へ電気を配る盤で、電圧計などが取り付けられていることが多く、分電盤は配電盤から受けた電気を各負荷へ送る中間にある盤です。
分電盤の種類について
配電盤から電気を受ける分電盤には電圧の種類、電気を送る負荷により、電灯分電盤と動力分電盤があります。
次の項で詳しく説明していきます。
なお、分電盤と各盤の違いについては、こちらの記事をご覧ください。
電灯分電盤
電灯分電盤は単相100V・200Vの分電盤のことを言い、電灯盤とも呼ばれています。
役割として、建物の照明や壁に設置されているコンセントなどの負荷に電気を供給します。
単相200Vは照明や単相200V対応の機器、単相100Vはコンセントなどの負荷に使用されます。
単相電源は小さな電気容量の設備の電源として、使用されることはありますが、大きな設備に使用されることはありません。
大きな設備を動かす場合は三相電源が必要となります。
今回の記事では細かくは説明いたしませんが、三相は単相と比べて少ない電流で同じ電力を得られるため、電気損失が少なく、多くの電気を使う工場などで使用されます。
電灯分電盤の銘板について
こちらの上画像は銘板(ネームプレート)に「分電盤」と記載されていますが、他の表示として、電灯分電盤は「電灯盤」と書かれていたり、英数字で「L-1-2」などと記載されていたりします。
英数字の意味について、LはLight(電灯)を表し、数字は設置してある階数や全体での通し番号を表していることが多いです。
電灯分電盤の中
分電盤の扉を開けると、中扉やカバーがついています。
↓さらに中扉やカバーを開けてみます。
中扉やカバーを開けると、上画像の右側のように配線やブレーカー、充電部が露出されている状態になります。
上画像は拡大したものになります。
分電盤内の機器構成として受電設備、配電盤から配線されている幹線用のメインブレーカーがあり、その下の左右に分岐用のブレーカーがあります。
幹線用のブレーカーから分岐用のブレーカーは銅バーと呼ばれる金属の板によって接続されています。
幹線とは
配電盤から分電盤までの配線のこと。
電灯分電盤の電圧について
メインブレーカーから下に銅バーとよばれる金属の板が3つあり、この3つのうち、2つを分岐用のブレーカーと接続するのですが、どれを接続するかによって電圧が異なります。
例えば、赤と黒色のシールが貼られている銅バーと接続されているブレーカーは単相200Vを負荷へ供給することができます。
赤と白、または黒と白のシールが貼られている銅バーと接続されているブレーカーは単相100Vを負荷へ供給できます。
銅バー以外での見分け方
電圧の違いについてですが、銅バーの接続だけではなく、他にも見分けることができます。
単相200Vと単相100Vのブレーカーは文字の色が異なっており、単相200Vがオレンジ色、単相100Vが白色になっています。
電灯分電盤内の電線・ケーブルについて
電灯分電盤には電線(ケーブル)として、主にVVFケーブルが使用されています。
VVFとは600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形のことを言い、英語表記の頭文字をとって、VVFと呼ばれています。
分岐用ブレーカーから電源として2本、アースから1本、計3本を負荷側へ配線します。
消防設備関係の電源について
上画像の左上部分の橙枠をご覧ください。
分電盤の中には誘導灯や非常照明回路など、消防設備関係の電源としてブレーカーが設置されていることがあります。
その時はブレーカーに赤色の「ハンドルロック」という部品がついています。
これは、消防設備などの電源を落としてはいけませんという意味の表示です。
過電流や短絡が発生した場合、ハンドルロックが付いているため、ブレーカーのつまみは落ちませんが、内部でトリップしますので電流は遮断されますので安全です。
負荷が増えた時の対応について
新しくコンセントや機器を増設するときに、容量が足りない場合は、予備のブレーカーから配線します。
そのとき、予備のブレーカーがない場合は、ブレーカーを増設したり、銅バーを追加して増設か所を増やしたりして対応します。
動力分電盤
動力分電盤は機械を動かすための電気(動力電源)を供給する三相200Vの “分電盤”のことを言います。
役割として、工場やビル、施設などで使われている業務用パッケージエアコン、ポンプ、ファン、設備などの電気容量の大きい負荷へ供給するための分電盤です。
動力分電盤内の銘板
盤の表面にある銘板に動力盤と記載されていたり、P-1やM-1-2などと記載されていたりします。
PはPower、MはMotorを表し、数字は電灯分電盤と同じく、数字は設置してある階数や全体での通し番号を示していることが多いです。
動力分電盤の中
上の画像は動力分電盤になります。
電灯盤と同じく、画像のように受電設備、配電盤から配線されている幹線用のメインブレーカーがあり、その下の左右に分岐用のブレーカーがあります。
動力分電盤の電圧
動力分電盤の電圧についてですが、電灯分電盤のときは単相100Vと200Vありましたが、動力分電盤は基本、三相200Vとなります。
ただ、中には設備へ電源を供給する盤で、受電設備(配電盤)から単相100Vの幹線が三相200Vの幹線と一緒に盤内にきていることもあります。
動力分電盤内の電線・ケーブル
分岐用のブレーカーから負荷へは電源として3本、アース線の1本、計4本配線されます。
下図は電源3本の画像です。
電線(ケーブル)はCVケーブル(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)やCVケーブルを3本より合わせたCVTケーブル(CVケーブル三線撚り型)+IVが使用されていることが多いです。
下図の緑色の電線はIVです。
IVは「600V ビニル絶縁電線」の略称で、屋内配線や盤内配線に使用されます。
↑アース線として使用しています。
CVとCVTケーブルの違い
盤ではCVTケーブルとCVケーブルが使用されていることが多いですが、CVTケーブルはCVケーブルと比較すると、曲げやすくて敷設しやすく、許容電流が大きいのが特徴です。
電線とケーブルの種類について知りたい、興味がある方は下記の記事をご覧ください。
参考:設備制御盤側での電源の使用方法
参考までに設備側での電源の使い方について、設備への電源として3相200Vを供給しますが、電線3本のうち、電線2本を使用すると単相200Vとして使用することができ、3本使用すると三相200Vとして使用することができます。
まとめ:分電盤
今回は分電盤の種類、しくみについて説明しました。
最後にまとめて終わりにします。
・分電盤は受電設備(配電盤)から負荷へ電気を供給するための盤です。
・種類として電灯分電盤と動力分電盤があります。
・電灯分電盤は単相100V、200Vで照明や小さな機器、コンセントに電気を供給します。
・動力分電盤は三相200V パッケージエアコン、生産設備など大きな設備へ電気を供給します。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。