設備と"電気"は切っても切り離せない関係です。
当然ながら電気は流れてよい部分といけない部分もあります。
そこで今回は電気が流れやすい物質、流れにくい物質について理解を深めるために、「導体、絶縁体、半導体の違い」について解説します。
動画でも説明しています。
導体、絶縁体、半導体の違いは?
上図は物質の常温における抵抗率を示した表です。
導体、絶縁体、半導体は抵抗率が異なり、電気を通す物質、通さない物質があります。
抵抗率が低い物質は電気を通しやすく、抵抗率が大きい物質は電気を通しにくいです。
では、それぞれの違いがわかるように各物質の特徴をまとめていきます。
導体とは?
導体は電気をよく通す物質です。
導体という性質を持ったケーブルや基盤などのおかげで私たちは便利な家電製品を利用できるというわけです。
具体的な物質としては銅やアルミニウム、金、銀、鉄などがあります。
ちなみに、銅は加工が容易で低コストであるため、電力ケーブルに使われることが多いです。
アルミニウムは伝導率は悪いけれど軽量であることから送電線に用いられる傾向があります。
基本的にほとんどの金属は導体という性質を持っていますが、意外なことに炭素も導体です。
必ずしも金属だけが導体だとは限りません。
絶縁体とは?
絶縁体とは電気を通さない物質で不導体とも呼ばれます。
代表的な物質としてゴムやガラスなどがあります。
絶縁体のおかげで、機器ケーブルに触れたり電子レンジを使ったりするとき感電しないというわけです。
ただ、絶縁体といえども抵抗値が低くなると電流が流れてしまうことがあります。
いわゆる漏れ電流です。
漏れ電流が発生すると、機器の故障や火災、感電のリスクが生じます。
そうならないように、定期的に電気設備の絶縁抵抗値を測定しなければなりません。
ちなみに、絶縁抵抗値を測定すると計器のメーターが∞のマークまで振り切れます。
びっくりしてしまうかもしれませんが、抵抗値が∞ということは電流が流れないということを表すので、正常であると判断できます。
長期間使われている機器ほど漏電トラブルが発生しやすくなるので、漏電が発生した時は絶縁体の劣化を疑う癖もつけるとよいです。
半導体とは?
半導体とは、導体と絶縁体の中間の性質を持ち、温度等によって抵抗値が変化する物質です。
半導体の材料としては、シリコンやゲルマニウムなどがあります。
温度が上昇すると物質内の電子が移動しやすくなり、電流が流れやすくなります。
反対に温度が低下すると物質内の電子が移動しにくくなり、電流が流れにくくなるという仕組みです。
半導体には、不純物を取り除いた真性半導体と、不純物を加えた不純物半導体がありますが、不純物半導体のn型・p型半導体のほうが実用が多いです。
電流のきめ細かい制御が可能になるので、用途としてはダイオードやトランジスタなどの半導体素子に使用され、センサーなどの一部に使われています。
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まとめ:導体・絶縁体の理解は必要
導体や絶縁体の意味がわかると、設備管理の仕事で触れてもよい部分と触れてはいけない部分がわかります。
感電事故を防ぐことができるわけです。
したがって、電気設備管理の職種に就く方は、導体と絶縁体に関する理解は不可欠です。
ただ、半導体に関しては話が少し変わります。
半導体はダイオードやトランジスタといった基盤に関する細かい部品がほとんどであり、設備の保全を担当している方は業務で触れることはほとんどありません。
基板についてはメーカーの専門分野で、基本的には修理をすることはないといえます。
壊れた場合は部品交換で対応して終わることがほとんどです。
実際に私が業務の中で、半導体というワードが担当者間で発せられることはPLCの話をするときです。
PLCやセンサーなどを使用し、設計や改造を行う方は知っておく必要があります。
また、保全の方も半導体について理解することで、ほかの担当員よりも電気設備に詳しくなれることはいうまでもありません。
以上の点をふまえると、これから電気設備管理の仕事をするのであれば、まずは導体・絶縁体の知識を習得しましょう。
そのうえで、半導体の理解を深めていくとよいかもしれません。
あらためて導体、絶縁体、半導体の理解を深めたい方も本記事で再度おさらいしてみてください。