電気の知識

制御の基礎(シーケンス制御とは?)現役が分かりやすく解説!

シーケンス制御とは

こんな方におすすめ

  • これからをシーケンス制御を勉強する方
  • シーケンス制御について復習したい方

シマタケ(@shimatake_117)です。

この記事では、私の経験からシーケンス制御を学ぶ上で、知っておいた方が良いことを分かりやすく書きました。

シーケンス制御は身近にたくさん使われてます。

ぜひ、覚えておくと良いです。

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シーケンス制御とは

シーケンス(Sequence)制御とは、JIS(日本産業規格)において

「あらかじめ定められた順番に沿って制御の各段階を逐次進めていく制御」
(JIS Z 8116)

と定義されています。

しかし、言葉の定義だけで理解するのは難しいと思います。

私たちの周りにはシーケンス制御を使った機器がたくさんありますので、それらをイメージすると理解しやすいです。

例えば、交通信号機は青・黄・赤のランプが、それぞれの点灯時間ごとに点灯と消灯を進めていく、シーケンス制御の典型的な例のひとつです。

シーケンス制御例_信号機

そのほかにも、洗濯機やエアコン、自動販売機や自動ドア、エレベーター、遊園地のアトラクションなど家庭用から産業用まであらゆる分野の電気機器に用いられています。

シマタケ
2019.7にJIS(日本工業規格)からJIS(日本産業規格)に変わっています。

シーケンス制御の規格

シーケンス制御で使用される記号などは、日本や海外での各団体などにより規格化されています。

これらの規格に従うことで、他の方と内容を共有でき、理解することができるようになります。

いきなり、全部の規格を覚えることは難しいので、作業をしながら覚えていくのが良いです。

主な規格の一部を下記に記載しました。

主な規格
日本工業規格(JIS:Japanese Industrial Standard)
日本電気工業会標準規格(JEM:The Japan Electrical Manufactures’ Association)
国際電気標準会議(IEC:International Electrotechnical Commission)
国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)

シーケンス制御の構成

機器構成図シーケンス制御は大きく分類すると「入力機器」、「制御機器」、「出力機器」の3つに分けることができます。

これは人と同じ原理です。

人間の部位をイメージしながら照らし合わせると覚えやすいです。

人間の部位で例えると「入力機器」は「目、耳」などの状態を検出する部分です。

「制御機器」は「頭脳」、「出力機器」は「手や足」となります。

さらに「入力機器」は操作機器と検出機器に分類でき、「出力機器」は表示用機器と駆動用機器に分類できます。

シーケンス制御の方式

シーケンス制御の種類シーケンス制御は主として使用する制御機器よって、3つの制御方式に分類されます。

有接点シーケンス制御

カテゴリー制御スイッチなどの機械的接点と電線で構成された回路、上の写真のリレー(電磁継電器)を主として構成した制御方式のことをいいます。

約40年前から実用化され、歴史があります。

今では見かけることが少なくなりましたが、昔からある古い機械は大量のリレーで動いていました。

昔の機械は大量のリレーが動くので「カチ、カチ」と音がうるさかったですし、トラブル箇所を見つけるのが大変でした。

現在の制御でも利用されており、制御回路にリレーは欠かせません。

この有接点シーケンス制御はリレーシーケンス制御とも呼ばれます。

有接点シーケンス制御はシーケンス図で表します。

シーケンス図例

特徴

・機械的接点のため、動作が遅い
・接点の摩耗による機械的寿命がある
・電気的ノイズに強い
・小電力で大きな電力を動かせる

リレーなどの機械的接点はトランジスタなどの電気的接点と比較した場合は遅いです。

ただ、人間には感じることのできないスピード差です。

私の経験で失敗があります。

高速で生産している設備で製品の有無を確認する時、リレーを制御の一部として使用したました。

結果、製品が早く流れるので製品の有無信号が追い付かないときがありました。

無接点シーケンス制御

トランジスタトランジスタ、ダイオード、ICなどの電気的接点と電子回路を主として構成された制御方法のことをいいます。

無接点シーケンス制御はロジックシーケンスとも呼ばれます。

リレーは機械的接点で物理的に動きますが、トランジスタなどの電気的接点は物理的に動かないため、寿命が長くて動作が早いという特徴があります。

無接点シーケンス制御は論理回路図で表します。

論理回路例

特徴

・動作が早い
・寿命が長い
・電気的ノイズに弱い
・直接負荷を駆動できない

PLC(PC)シーケンス制御

シーケンサQリレーの代わりに上の写真のPLC(Programmable Logic Controller)という電子機器を使い、コンピューターとプログラムで構成された制御方式のことをいいます。

PLCシーケンス制御はPC制御とも呼ばれます。

PLCは専用ソフトウェアを用いてプログラミングすることで動作することができます。

プログラミングで回路を構成するので融通が利きますが、プログラミングで動作するため、ソフトウェアの使用方法とプログラミングを学ぶ必要があります。

現在の設備にはPLCが使用されていることが多いです。

PLCシーケンス制御はラダー図を用いて表します。

ラダー図例

色々な会社からPLCが販売されており、各社PLCによってソフトウェアが異なります。

ソフトウェアが異なりますと、命令文や操作性に違いがあります。

設備の導入や設計をする時は1つまたは2つに絞った方がソフトウェアの数が少なくなり、費用の面でも作業の面でも管理しやすいです。

私が働いている職場では8割の設備が三菱電機製のPLCです。

また、研修機関でも三菱電機製のPLCを扱った講習が多いです。

独学ではなく、外部の研修期間で学びたい方は三菱電機製のPLCを採用されることをお勧めします。

特徴

リレーや配線の量を減らすことができる
複雑な動作回路を利用できる
専用ソフトウェアが必要(高価)
プログラミングが必要

私の職場や外部業者の中にはPLCを「シーケンサ」と呼んでいる人が多く、シーケンサ=PLCという認識があります。

シーケンサは三菱電機製PLCの商品名ですので、注意する必要があります。

これは国内シェアが多いから、浸透したと推測されています。

PLCについて詳しく知りたい方はコチラの記事をご覧ください。

PLCの用途と仕組み
工場の設備に使用されるPLCとは?用途や仕組みを徹底解説!

続きを見る

シーケンス図とは

シーケンス回路図例目的とする動作を達成するための制御回路を、押しボタンスイッチ、リレー、ランプなどの機器を配置し、その電気的接続を表した図のことを言います。

シーケンス制御で用いられるシーケンス図は、展開接続図と呼ばれます。

押しボタンスイッチ、リレー、ランプなどの機器は規格で規定された図記号(シンボル図)を用いて表します。

このシーケンス図で動作内容や電気の流れを確認し、実際に配線を行う時やトラブル対応時に利用します。

初めて展開接続図を見たときは動作を理解することができず、頭が痛くなったことがありますが、何度も見ることによって、動作を次第に理解できるようになります。

いまでは理解することができていますが、私自身も最初は全く分かりませんでした。少しづつ進めていけば大丈夫です。

シーケンス図の書き方および見方

シーケンス図書き方

 

  1. 電源は省略し、上下または左右に電源ラインを引きます。電源ラインは制御母線といいます。
  2. 電源ラインの間に押しボタンスイッチやランプなどの機器の図記号を水平垂直線で記入します。上下に電源ラインを引いた図を縦書きシーケンス図と呼び、機器の図記号は縦に記入します。
  3. 左右に引いた図を横書きシーケンス図と呼び、機器の図記号は横に記入します。※横書きの場合は、各機器の図記号は反時計回りに90°回転させます。
  4. 電源が直流の場合、制御用母線の上または左をプラス(正極)として表します。交流の場合、上または左を非接地極として表します。
  5. 機器は図記号を用いて操作の順序に従って、上から下へ、または左から右へ配置します。
  6. 機器は操作していない状態の図記号を描き、文字記号を付記します。

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シマタケ

共働きの子育て会社員。工場で15年間働く電気エンジニア。多数の国家資格を取得。施設や工場で働く方々が勉強できる、様々な悩みを解決できるサイトを目指しています。雑記記事も時々書きます。心理学を勉強中でメンタルケア心理士、行動心理士取得。

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