設備に使用されている光電センサーや近接センサー等のセンサー出力にはPNP出力とNPN出力の2種類があります。
どちらを使用すれば良いか、どのように配線すれば良いか、悩んだ経験はありませんか?
私は慣れるまで結構迷い、何度も調べた経験があります。
そこで、今回はトランジスタの概要とともにPNP型、NPN型の意味を説明し、それぞれの接続方法を紹介していきます。
この記事を読めば「PNPとNPNの違い」と「配線方法」を理解することができます。
悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
目次
トランジスタとは
トランジスタは光電センサーや近接センサーなどに使用されており、電流の流れをオンオフする半導体素子です。
今回はトランジスタの種類について、詳しく紹介しませんが、トランジスタは様々な種類があります。
その中でセンサーに用いられているバイポーラトランジスタ(以下:トランジスタ)はNPN型とPNP型の2種類があります。
NPN型トランジスタを使用したセンサーは日本の機械に使用されることが多く、PNP型トランジスタを使用したセンサーはヨーロッパなどの海外機や輸出される機械に使用されることが多いです。
PNP型とNPN型の違いとは?
トランジスタはP型半導体とN型半導体をつなぎ合わせた部品となっています。
つなぎ合わせのパターンはNPNという順番と、PNPという順番の2種類があります。
NPNという順番につなぎ合わせたのトランジスタを「NPN型トランジスタ」、PNPという順番につなぎ合わせたトランジスタをPNP型トランジスタと言います。
それぞれの電極には名前がつけられており、ベース(B)、コレクタ(C)、エミッタ(E)と呼ばれています。
p型半導体
シリコンなどの半導体に、 不純物としてホウ素 をごく微量を加えたモノ
n型半導体
シリコンなどの半導体に、 不純物としてリン をごく微量を加えたモノ
NPN型トランジスタの動作について
細かい説明は割愛しますが、ベースからエミッタに電流を流すと、コレクタからエミッタ間に電流が流れます。
ベースからエミッタに流れる電流を「ベース電流(IB)」、コレクタからエミッタに流れる電流を「コレクタ電流(IC)」と言います。
反対にベース電流が流れないとコレクタからエミッタ間は電流が流れません。
このコレクタからエミッタ間の状態をオープンと呼んでいます。
NPN型トランジスタはベースの電流を制御することでコレクタ電流をスイッチのようにオンオフとして使用できます。
これを「スイッチング作用」と呼んでいます。
PNP型トランジスタの動作について
PNP型トランジスタはNPN型と電流の流れる向きが反対になります。
エミッタからベースに電流が流れるとエミッタからコネクタ間に電流が流れます。
エミッタからベースに流れる電流を「ベース電流(IB)」、エミッタからコレクタに流れる電流を「コレクタ電流(IC)」と言います。
次はNPNトランジスタを使用した"NPN出力センサー"とPNPトランジスタを使用した"PNP出力センサー"について接続方法を説明します。
NPN出力センサー・PNP出力センサーの接続方法
NPNセンサー出力とPNPセンサー出力は負荷を接続させる位置が異なります。
では、順番に接続方法を説明していきます。
NPN出力センサーの接続
NPN出力センサーは、3本の配線があり、「茶色」と「青色」の線はセンサーの電源、「黒色」はセンサーの出力になります。
エミッタを電源の-側と接続し、電源の+側とセンサー出力の間に負荷を接続させて動作させます。
センサーが動作すると負荷を流れる電流がトランジスタに流れこんできます。
これをシンク、シンクロジックと言います。
また、NPN出力センサーはNPNタイプ、 シンクタイプ出力などとも呼ばれます。
トランジスタの記号では分かりにくいと思うので、スイッチに置き換えてイメージすると理解しやすいです。
上記のイメージ図ではセンサーが動作するとスイッチ(トランジスタ)がオンし、電流が流れ込み、負荷が動作します。
これだけではまだ分かりにくいと思うので、具体的な配線例を以下に紹介します。
例1:PLCとの接続
NPN出力のセンサーをPLCの入力ユニットに接続する場合はプラスコモンタイプの機器に接続します。
上図は入力ユニットのQX41に接続した配線になります。
「茶色」を24V、「青色」を0Vに接続、「黒色」を入力ユニットのXに接続します。(今回の例では端子B20のX0)
QX41のコモン端子(B1、B2)に24Vを接続します。
動作として、センサーがオンするとPLCのX0がオンする配線になります。
例2:リレーとの接続
上図はセンサーがオンしたときにランプが点灯する配線になります。
リレーはオムロンのMY2N DC24Vを用います。
配線は「茶色」を24V、「青色」を0V、「黒色」をリレーの13番(-)、リレーの14番に24Vを接続します。
PNP出力センサーの接続
PNP出力センサーでは、エミッタを電源の+側に接続し、電源の-側とセンサー出力の間に負荷を接続させて動作させます。
センサーが動作すると負荷に流れる電流はトランジスタから流れ出ます。
これをソース、ソースロジックと言います。
こちらもNPN出力センサーと同様に、PNPタイプ、ソースタイプ出力などとも呼ばれることもあります。
NPNと同様、スイッチに置き換えると分かりやすいです。
イメージとしてセンサーがオンするとスイッチ(トランジスタ)がオンし、負荷に電流が流れ込み、動作します。
詳細は割愛しますが、PLCなどの入力機器に接続する時はマイナスコモンタイプの入力ユニットに接続します。
参考:間違えて購入した時の配線例
PNP出力センサーを購入したかったのに、間違えてNPN出力のセンサーを購入してしまった場合や、予備品に反対の出力タイプしかなく、どうしても使用したい場合はリレーを1つ追加することで使えます。
以下の配線例は間違えてNPN出力センサーを購入した時の場合です。
センサーが故障したときの違い
NPN出力センサーとPNP出力センサーではPNP出力センサーのほうが安全性は高いとの見方がなされています。
その理由として、NPN出力センサーは+電源とセンサーの出力間に負荷を接続するため、断線や短絡が発生したときに負荷が誤作動を起こすリスクが高いです。
PNP出力センサーは-電源とセンサー出力間に負荷を接続しているため、断線や短絡などの要因でマイナスと接触しても負荷が誤動作することはありません。
NPNの場合だと、センサー出力がONの状態になることが多いので、すぐに見つける事ができますが、PNP出力のセンサーは 沈黙していたので探すのに時間がかかりました。
まとめ:NPNとPNP出力センサーの違い
トランジスタの概要をはじめ、NPN出力センサー、PNP出力センサーの接続方法を説明しました。
最後に簡単に両者の違いを整理します。
NPN出力センサー
・電源の+側とセンサー出力の間に負荷を接続
・日本の機械に使用される。
・シンクタイプ(電流が流れ込んでくる)
PNP出力センサー
・電源の-側とセンサー出力の間に負荷を接続
・ヨーロッパなどの海外の機械に使用される。
・ソースタイプ(電流が流れて出ていく)
両者の違いを理解したところで、気をつけることとして、センサーを購入する時はNPN出力とPNP出力を間違えないようにしましょう。
また、配線も負荷の接続が変わりますので、しっかりとセンサーの型式や仕様を確認することが大切です。
苦手なイメージがあった方も、今回の記事で少しは理解が深まれば幸いです。