電気の知識

リレーとセーフティリレー、セーフティーリレーユニットの違いとは?

こんな方におすすめ

  • 一般的なリレーとセーフティリレーの違いを知りたい方
  • セーフティリレーについて知りたい方
  • セーフティリレーユニットについて知りたい方

リレーは電気回路をオンオフできる制御部品であり、生産設備や受電設備などではリレーによって動作が制御されていることが多いです。

そんなよく使用される一般的なリレーとは別に、安全性に焦点をあてたセーフティーリレーやセーフティーリレーユニットという部品があります。

今回は、リレーの概要を簡単におさらいしつつ、セーフティーリレーやセーフティーリレーユニットについて紹介していきます。

シマタケ
一緒に勉強していきましょう。

動画版では実物を用いて説明しています。

スポンサーリンク

そもそもリレーとは?

リレーソケット付き外観図電気設備の動きは一定ではありません。

給水ポンプや給気ファンなどは常に稼働しているわけではなく、必要に応じて運転を開始したり、停止したりします。

そんな設備を私たちがスイッチを押してコントロールできるのは、リレーという電子部品のおかげです。

リレーとは、コイルとスイッチ(接点)で成り立つ電子部品です。

簡単に仕組みを説明すると、コイルに磁力を発生させてスイッチのオン・オフを切り替えます。

回路の開閉をコントロールし、電気をつなぐ役割を持っていることからリレーと呼ばれています。

リレーについて詳しく知りたい方は「最初はここから!有接点リレーって何?構造や機能と選定時の注意点」を参考にしてください。

セーフティーリレーとは?

セーフティリレーソケット付外観図セーフティーリレーは、設備の安全回路を配線するときに使用するリレーです。

安全リレー、強制ガイド式リレー、SFリレーとも呼ばれています。

セーフティリレーは一般的なリレーとは違って、強制ガイド接点機構があります。

安全回路とは

非常停止、ドアスイッチ、ライトカーテンなど用いて安全を確認できた場合だけ機械を運転するための回路

強制ガイド接点機構

セーフティリレー外観図強制ガイド接点機構とは、接点の溶着時に、a接点とb接点が同時にONにならないようにする強制ガイドがある機構のことを言います。

強制ガイド接点や強制ガイド機構と呼ばれることもあります。

例えば、写真のオムロンのセーフティリレーではa接点が溶着した場合、コイルがOFF状態でb接点が0.5mm以上の隙間を確保する構造になっています。

同様にb接点が溶着した場合は、コイルがON状態でa接点が0.5mm以上の隙間を確保する構造になっています。

溶着とは

・電圧が高い、使用時の電流や突入電流が大きい時、熱によって接点がくっつくこと
・接点が溶着すると、回路がオンオフできず、負荷が動き続けることがある。

一般的なリレーとの違い

リレーとセーフティリレー接点実物比較先程述べたように、セーフティリレーは強制ガイド機構がありますが、一般的なリレーにはありません。

上の写真から分かるように、一般的なリレーはa接点とb接点は共通(COM)の部分があります。

リレーとセーフティリレー接点比較

そのため、一般的なリレーでa接点が溶着した場合は、a接点とb接点、共にONになってしまうことがありますが、セーフティリレーは強制ガイド機構があるため、a接点とb接点が同時にONになることはありません。

a接点とb接点

a接点:コイルが励磁されると、開いていた接点が閉じる
b接点:コイルが励磁されると、閉じていた接点が開く

セーフティーリレーのおかげで安全な電気回路を組むことが可能です。

シマタケ
私が働いている工場や前職での経験になりますが、セーフティーリレーを使用している設備を見たことがありません。
安全回路は一般的なリレーを用いてハード的に組まれているか、この後説明するセーフティリレーユニットが使われています。

セーフティリレーユニットとは?

セーフティリレーユニットセーフティリレーユニットは、入力機器と出力機器の間で故障を検出してくれる安全制御機器であり、セーフティコントローラーの種類に含まれます。

セーフティリレーユニットはセーフティユニットや安全リレーモジュール、安全リレーユニットなどとも呼ばれています。

販売しているメーカーとして、IDEC、オムロン、パナソニック、三菱電機など、海外メーカーであればPilz、イートンなどがあります。

セーフティリレーユニットの使用用途

セーフティリレーユニットは安全の監視に使用されます。

特徴として、セーフティリレーを使用して配線していた回路を1つにまとめて、ユニット化した機器になります。

セーフティリレーユニットには、ドアスイッチや非常停止スイッチといった安全状態を検知する入力機器が接続されるのが一般的です。

セーフティリレーを利用したモジュールを組み込むことで、入力機器の異常を検出し、機械や設備に安全に停止するよう、または動作しないようにできます。

セーフティリレーユニットのしくみ

セーフティリレーユニット使い方仕組みとして、まずドアスイッチや非常停止などの安全入力機器の状態を入力部が受けます。

つぎにセーフティリレーユニットで安全かどうか判断します。

安全の確認ができた状態で、運転スイッチなどから起動信号が入力された場合、ユニットから出力して電磁接触器やリレーなどを動作させ、モーターなどの電源回路をオンにします。

シマタケ
経験が多いわけではありませんが、私が見た設備では24V回路をオンオフしたり、モーターの主電源回路をオンオフされていました。

まとめ:セーフティリレーとセーフティリレーユニット

今回はセーフティリレーやセーフティリレーユニットの違いやそれぞれの概要について説明しました。

リレーについて知っていた方でも、安全に関する関連部品があることを把握することで、リレーの見方が少し変わったのではないでしょうか。

セーフティリレーユニットは普通のリレーより回路が少し複雑です。

セーフティと言っておきながらも、セーフティリレーユニット自身が故障するときがありますので、事前にどのような部品であるか、どのような回路であるか、内容を理解しておくと、トラブルが発生したときにスムーズに対応することが可能です。

セーフティリレーに関わらず、設備の故障が発生したときにすぐに原因を特定できるよう、日ごろから電気図面を確認しておくのが良いと思います。

参考文献・サイト

オムロン:セーフティリレー 共通の注意事項
https://www.fa.omron.co.jp/product/cautions/16/61/index.html

広告

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

シマタケ

共働きの子育て会社員。工場で15年間働く電気エンジニア。多数の国家資格を取得。施設や工場で働く方々が勉強できる、様々な悩みを解決できるサイトを目指しています。雑記記事も時々書きます。心理学を勉強中でメンタルケア心理士、行動心理士取得。

-電気の知識