こんな方におすすめ
- 積層表示灯について知りたい方
- 積層表示灯のランプ色について知りたい方
- 積層表示灯の配線方法について知りたい方
今回は設備の状態を表すために使用されている積層表示灯の配線方法について紹介していきます。
使用する積層表示灯はパトライトのLR4シリーズ、ランプが3段(上から赤、黄、緑)標準仕様のブザー付です。
積層表示灯の配線は色分けされていて、赤ランプを点灯する為の配線は赤と分かりやすいのですが、黄色ランプは黄色の配線ではなく、橙色など、説明書を確認しないと分かりにくいので、配線間違えに注意する必要があります。
動作確認の部分は動画の方が分かりやすいのでYouTubeの動画をご覧ください。
目次
積層表示灯について
表示灯の用途やランプに色について説明いたします。
知っている方、配線だけ知りたい方はこちらをとばして配線方法の部分からご覧ください。
積層表示灯は、その名の通り、複数の信号状態を表示するための信号灯です。
積層式表示灯、表示灯、積層信号灯などとも呼ばれています。
販売しているメーカーとして、パトライト、シュナイダーエレクトリック(旧アロー)、IDECなどがあります。
一般的に、積層表示灯は、上下方向または前後方向に並べられた複数のランプを持ち、それぞれのランプが異なる状態を示します。
表示灯の色について
例えば、工場の生産現場にある設備では、異常や停止、運転中などの状態を示すために、赤、黄、緑、青などのランプが積層された表示灯が使用されており、運転中が緑色、停止中が赤色、資材不足が黄色のように使われています。
ただし、注意点として受電設備やプラント系の設備では運転中が赤、停止中が緑と、生産設備と色の意味合いが逆になっています。
色の意味合いについて、くわしくは下の記事にて紹介していますので、気になる方は確認してみてください。 続きを見る
設備によって表示ランプ色の意味合いが異なる理由!考え方は2種類?
積層表示灯の配線方法
実際に配線していきたいと思います。
積層表示灯の点灯状態を切り替えるためには、下画像のようにリレーを使用する場合とPLCの出力を使用する場合があります。
↓ターミナルリレー
↓PLCの出力ユニット
今回はPLCを使用して積層表示灯の各ランプを点灯させたい時の配線をしていきます。
実際に設備を動かすことはできませんので、模擬的に配線・動作確認してみます。
注意
・PLCの出力ユニットで直接負荷を動かすときは、負荷の電流値と出力ユニットの接点容量を確認しましょう。
・もし負荷の電流値が接点容量を超える場合、接点が焼損する可能性があります。また、接点容量を超えた場合には、PLCの出力ユニットに損傷を与えることもあります。
では、今回の配線は、PLCからの出力で、ランプの点灯、ブザーを制御したいと思います。
出力
Y10:赤色のランプ点灯
Y11:黄色のランプ点灯
Y12:緑色のランプ点灯
Y13:ブザー
表示灯点灯に関する仕様
積層表示灯の仕様として、以下のようにしたいと思います。
運転中 緑色ランプ点灯(PLC出力Y12)
停止中 赤色ランプ点灯、(Y10)
異常発生時は赤色ランプ(Y10)点灯とブザー(Y13) ブザー音はリセットボタン押すまで
資材の不足時、黄色ランプ点滅(Y11)とブザー(Y13)3秒間
今回使用する機器について
使用する機器は下記になります。
使用する機器
・オムロン パワーサプライ
・三菱電機PLC
ベースユニットQ38B
電源ユニットQ61P
CPUユニットQ03UDECPU
入力ユニットQX40
出力ユニットQY40P
・タッチパネル三菱GOT1000シリーズ
・端子台
イメージとして、この線、端子台より左側が制御盤内、右側が盤の外になります。
今回使用する積層表示灯の配線について
まず表示灯の配線ですが、このように6本あります。
回路図と照らし合わせますと、黄色と灰色の配線が電源線になります。
赤色の配線はLEDの赤色
オレンジ色の配線はLEDの黄色(Y11と書かれたマークチューブが付いている線)
緑色の配線はLEDの緑です。
電線ラインにはヒューズを取り付けるの?
配線する前に1つ注意点があります。
上の画像のように配線図を確認しますと、積層表示灯の電源部分にヒューズ1Aが書かれています。(赤枠の部分)
ヒューズを入れる理由は、過電圧や誤配線などにより、異常電流や過電流が流れた場合に、製品の破損を防ぐことができます。
また、製品が故障や破損したり、配線の電線がショートしたりした際に制御部を保護できます。
サーキットプロテクタ1Aでも問題ありませんが、ヒューズは比較的安価で取り付けやすいので積層表示灯の電源部分にヒューズを入れることは一般的な安全対策として広く採用されています。
もし、サーキットプロテクタを設置される場合は中速形をご使用ください。高速形や瞬時形ですとトリップする可能性があります。
アンケート結果:ヒューズ入れますか?
ここでちょっと余談ですが、積層表示灯の配線を行うときにヒューズ、サーキットプロテクタ、どちらを使用しているか、それとも電源部分に何も入れていないか、気になりましたのでコミュニティでアンケートを実施いたしました。
ご協力してくださった方々、ありがとうございました。
結果はこのようになりました。
ヒューズが一番多いかと予想していましたが、何も電源部分に入れないが一番多かったです。
自分の予想と違ってましたので、以外でした。
今回の配線では、電源ラインにヒューズなどを入れずに配線していきたいと思います。
配線手順
では、配線しています。
まずは、積層表示灯の配線を端子台に接続します。
下画像の黄色で書かれた配線部分です。
電源線2本(24V、0V)から配線します。
そのあとはランプとブザー用の配線も端子台に接続します。
4本の線を端子台に接続します。
つぎにパワーサプライから24V電源を積層表示灯の電源線が接続された端子台に接続します。
赤矢印の機器がパワーサプライです。
灰色が直流24V+側、黄色が直流24Vの-側になります。
24Vの+側から配線
-側(0V)を配線
これで積層表示灯へ電源を供給できます。
電源の接続が終わりましたら、次はPLCの出力ユニット部分を配線していきます。
PLCの出力ユニットはQY40Pです。
出力ユニットのTB17に直流24Vの+側、TB18に直流24Vの-を接続します。
端子台から電源をもらいます。
24V電源の+側(24V)も-側(0V)と同じく端子台からもらいます。
最後はランプ、ブザー部分の配線とPLC出力ユニット間です。
端子台を中継して配線します。
積層表示灯の配線、赤色、橙色、緑色、紫色の4つを端子台へ接続します。
橙色の配線をY11へ
上の端子台から配線するち、下側の端子台のネジを外せなくなりますので、下側から配線していきます。
赤色の配線をY10、緑色の配線をY12、紫色の配線をY13に接続します。
配線は以上です。
ちなみにブザーの配線は、1本ですので、鳴らせるのは1種類の音です。
どのような音がでるのか、購入前にパトライトのWEBサイトで確認できます。
参考:点滅ユニットは必要か?
参考までにランプを点滅させたい場合、生産設備だけか分かりませんが、私の経験上、表示灯の点滅ユニットを使用せずにPLC側で制御されていることが多いです。
三菱のPLCでしたら、任意の時間でON/OFFさせるクロックタイマーというものがあります。
デバイスとしてはSM409~SM415に内部クロックが割り付けられています。
例えば、1秒ごとにランプをON/OFFしたい場合は出力命令の前にSM412を使用します。
試しにSM412を入れると、赤色ランプが点滅します。
記事では点滅している状態をお伝えすることが難しいですが、SM412は1秒ごとにON・OFFを繰り返します。
表示灯の動作確認
これから動作確認していきますが、プログラム実行前と実行時の2つ確認していきます。
まずはPLCをRUNにしてプログラムを実行するまえに、配線が正しいかPLCをSTOPの状態で出力を強制的にONさせ、各ランプが点灯、ブザーがなるか確認します。
プログラム実行前の確認
確認はGX Works2 デバイス/バッファメモリ一括モニタで行います。
先ほど配線したY10、Y11、Y12、Y13を(shift+enter)で強制的にON・OFFします。
まずはY10から強制的に ONさせます。
Y10がONすると、赤色のランプが点灯します。
OFFで消灯します。
Y11 を強制ONで黄色のランプが点灯します。
Y12を強制ONで 緑色のランプが点灯します。
Y13 を強制的にONすると、ブザー音が鳴ります。
記事では音がなっていかお伝えすることはできませんが、YouTubeの動画では鳴っています。
プログラム実行時の確認
配線の確認が終わりましたら、実際にPLCをRUNにして動作させます。
今回はタッチパネルを使用し、実際の設備で使用されているランプの使い方を例として紹介します。(設備メーカーやユーザー仕様によって異なりますので、ご了承ください)
また、ラダープログラムはあらかじめ作成しており、プログラムの内容については細かく説明いたしません。
仕様として、配線前にもお伝えしましたが再度確認です。
表示灯の点灯に関する仕様
運転中、運転の状態はY12がONし緑ランプが点灯します。
停止状態ですと、Y10がONし、赤ランプが点灯します。
異常発生時、赤色ランプ(Y10)が点灯し、ブザー音がなります。
資材不足は黄色ランプ(Y11)が点滅し、ブザー音が3秒間なります。
実際は設備の異常や資材不足などは本来、センサーなどで判断しますが、今回は強制的にタッチパネルのスイッチを押して信号を入れます。
では、電源を入れます。
電源を入れたすぐの状態は停止状態ですので、赤ランプが点灯しています。
つぎに緑ランプの確認です。
運転スイッチを押します。
すると、緑ランプが点灯します。
つぎは停止スイッチを押してみます。
停止スイッチを押すと、赤ランプが点灯します。
強制的に異常信号を入れてみます。
一度、運転状態にしてから異常スイッチを押してみます。
異常スイッチを押すと、停止状態になり、赤ランプが点灯し、ブザーがなります。
最後は、資材不足スイッチを押します。
黄色ランプが点滅し、ブザーが3秒間なります。
以上で動作確認は終わりです。
動作が良く分からないと感じた方は、お手数ですが、YouYubeの動画をご覧ください。
まとめ:積層表示灯の配線
今回の動画では、積層表示灯の配線方法について説明しました。
ランプの意味合いは、各業界や規格、ユーザーの要求によって異なることがあります。
どのランプを使用するか、点灯・点滅させるか、事前に確認し、選定・配線する必要があります。
仕様によっては使用しない配線がでてくることもありますが、あとで仕様の変更や追加に柔軟に対応できるよう、配線しておいたり、マークチューブをつけて、先端を絶縁処理したりしておいた方が良いと思います。