普段、何気なく電力会社から供給してもらって使用している電気ですが、低圧配電に用いられる方式として単相2線式、単相3線式、三相3線式などがあります。
電気屋として、それぞれの特徴と使用電圧を覚えておいて損はありません。
今回は一般家庭や工場で使用される配電方式の種類と特徴を説明していきます。
動画で確認したい方はこちらをご覧ください。
単相と三相の違い
「単相」と「三相」はどちらも交流の電源です。
交流とは大きさと向きが周期的に変化する電気(電源)です。
「単相」は1つの波形からなる交流電源、「三相」は3つの単相が組み合わさってできている波形からなる交流電源で120度ずつズレてします。
単相に比べて三相の方がたくさんの電力を送ることができます。
さらに配電方式として「単相」と「三相」には以下の種類がありますので順番に説明していきます。
交流と直流など電源の違いや種類について知りたい方はコチラの記事をご覧ください。 続きを見る
押さえておきたい電源の種類|直流と交流の違い
単相2線式(1Φ2W)
単相2線式は昔の一般家庭で多く用いられていた配電方式です。
単2と省略されて呼ばれることがあります。
使用できる電圧は100Vになり、電気図面では1Φ2Wという記号で示されます。
上の図をもう少し分かりやすくすると以下のようになります。
単相2線式は100Vしか使用できず、負荷が大きくなると、電圧降下が発生し効率が悪くなります。
電圧降下を小さくする為には電線を太くするしかなく対策はなく、不経済的です。
最近はIHやエアコンなど200Vの家電製品が普及してきているため、単相3線式で引き込まれることがほとんどです。
電圧降下
電線自体が抵抗を持っているために負荷にかかる電圧のほうが電源電圧より低くなる現象のこと
単相3線式(1Φ3W)
単相3線式は一般家庭で主流となっています。
使用できる電圧は単相100Vと200Vの2つであり、電気図面では1Φ3Wという記号で示されます。
一般家庭では下図のように200VをIHやエアコンなど、100Vは冷蔵庫や電子レンジなどの電化製品(コンセント)や照明で使用されます。
工場では「電灯盤」として使用されており、200Vは照明や単相200V対応の機器、100Vはコンセンなどの負荷に使用されます。
単相2線式と比較すると電圧降下が小さいのが特徴です。
三相3線式(3Φ3W)
一般家庭では馴染みがありませんが、工場ではポンプやエレベータ、空調機、生産設備などの電源に用いられています。
使用できる電圧は200Vであり、電気図面では3Φ3Wという記号で示されます。
電線2本を接続すると単相200Vとして使用することができ、3本接続すると三相200Vとして使用することができます。
上図より分かりやすくすると下図のようになります。
単相200VはPLCやパワーサプライなどの200Vに対応した機器を、三相200Vはモーターを動かすために使用します。
参考メモ
三相誘導電動機(三相モーター)が最も使用されています。
三相4線式(3Φ4W)
電線を4本用いて負荷へ供給する方式です。
大きな工場やビル用として使用されます。
使用できる電圧は240Vと415Vであり、電気図面では3Φ4Wという記号で示されます。
240Vは蛍光灯などの照明負荷、415Vは電動機などの動力負荷に使用されます。
単相100Vの負荷へ供給する場合は別途、変圧器が必要になります。
容量が小さい場合は「電灯・動力共用三相4線式」を用いられることがあります。
その場合は変圧器は必要ありません。
電灯・動力共用三相4線式
小容量用。三相200Vと単相100Vを4本の電線を用いて配電する方式。
まとめ:各配電方式の比較
今回は低圧の配電方式について説明させて頂きました。
日本国内では単相3線式と三相3線式が多く、三相4線式はそこまで多くありません。
最後に各配電方式の特徴を整理して終わりにしたいと思います。
配電方式 | 使用できる電圧 | 特徴 |
単相2線式 | 単相100V | 昔の家庭で多く用いられていた。 |
単相3線式 | 単相100V/200V | 最近の家庭で多く用いられる。 |
三相3線式 | 単相200V/三相200V | 工場などの動力負荷に用いられる。 |
三相4線式 | 単相240V/三相415V | 大きな工場やビルに用いられる。 |