デバイスの意味について調べると、広義の意味として「パソコン、スマートフォンなどの電子機器や周辺機器の総称」と言われていますが、PLCでのデバイスは狭義であり、一般的な意味と異なります。
そんなPLCのデバイスは設備のラダープログラムを作成する上で必要な知識となります。
今回は三菱電機製PLC(Qシリーズ)のプログラム設計でよく使うデバイスを紹介します。
ぜひ参考にしてみて下さい。
目次
デバイスとは
デバイスとはX0、Y0、M0、D0などの記号と番号で構成され、データを扱う箱のようなイメージです。
デバイスはX0やY0のような「1か0」を示すビットデバイスと、D0のような数値を扱うワードデバイスがあります。
デバイスの種類についてはGX-Works2の『PCパラメータ』→『デバイス設定』タブを開くと、縦に記号が並んでいます。
ここに並んでいる記号が、PLCのプログラム設計で使用する、ほぼ全てのデバイスとなります。
この中で、どんな設備のプログラムでもよく使用するのは、以下のデバイスです。
よく使用するデバイス
X:入力リレー
Y:出力リレー
M:内部リレー
T:タイマ
D:データレジスタ
よく使用するデバイスについて
各デバイスについて説明します。
(使用できるデバイス数はPLCによって異なります。)
X:入力リレー
PLCに接続されたスイッチやセンサのON/OFF状態が接点信号として入力されるデバイスです。
デバイス記号は「X」を用います。
入力リレーの「X」はビットデバイスであり、ONかOFFしかありません。
1点=1bitです。
16進数で番号(アドレス)が割り振られます。
X:入力リレーの番号
例:X00,X1F,X3A2,等
16進数について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。 続きを見る
PLCで必要な数の知識!2進数、10進数、16進数の違いを説明!
ラダーにすると、例として以下のようになります。
Y:出力リレー
PLCに接続されたモータやシリンダ、ランプなどの外部機器に対して信号を出力するデバイスです。
デバイス記号は「Y」を用います。
出力リレー「Y」もビットデバイスであり、ONかOFFしかありません。
「Y」をプログラム上でON/OFFする事により、モータを回転/停止したり、ランプを点灯/消灯したりします。
1点=1bitです。
16進数で番号(アドレス)が割り振られます。
Y:出力リレーの番号
例:Y00,Y2B,Y3C4,等
ラダーにすると以下のような例になります。
M:内部リレー(補助リレー)
PLCが内部に持っているリレーであり、補助リレーとも呼ばれています。
PLCのプログラムを設計する上で、最もよく使うデバイスで、記号は「M」を用います。
こちらも「X」や「Y」と同様、ビットデバイスであり、ONかOFFしかありません。
シーケンスロジックを構築するコイルや接点として使用し、プログラム設計の要となります。
1点=1bitです。
10進数で番号(アドレス)が割り振られます。
M:内部リレーの番号
例:M0,M120,M345,等
T:タイマ
PLCが内部に持っているタイマで、一定時間後に動作を開始させたり、停止させる時に使用します。
文字通りタイマとして時間を計測します。
デバイス記号は「T」を用います。
タイマのコイルがON(導通)状態になって設定時間を経過すると、同一アドレスのタイマの接点がONします。
コイルの導通状態がOFFすれば、タイマ接点もOFFします。
10進数で番号(アドレス)が割り振られます。
設定値は、通常0.1秒単位で、定数(K)やレジスタ(D)で指定します。
※1msec単位で設定できる、高速タイマという使い方もありますが、ここでは詳細は省略します。
D:データレジスタ
数値データ等を格納するデバイスです。
デバイス記号は「D」を用います。
1点=16bitで、10進数ならば-32768~32767の範囲の数値を格納する事が出来ます。
10進数でアドレスが割り振られます。
また、連続した2点を合体して32bitとし、10進数で-2147483648~2147483647の範囲の数値を取り扱う事も可能となります。
タッチパネルで入力した値を格納したり、PLCに接続した計測機器の現在値をこのデバイスに読み出したりします。
例えば、タッチパネルからタイマ設定値として入力し、上で説明したタイマと組み合わせることで、設定値が可変のタイマとして使用する事も可能です。
まとめ:これらのデバイスを使ってプログラムを作成する
以上が、PLCのプログラム設計で最もよく使用するデバイスになります。
これのデバイスを使用することによって、
『X:入力リレー』に接続された運転開始スイッチを押す。
↓
『M:内部リレー』で構築したシーケンスロジックが制御を開始する。
↓
『T:タイマ』や『D:データレジスタ』等を活用して条件制御し、
↓
最終的に動かしたいモータやシリンダを『Y:出力リレー』で動かす。
といった基本的な制御が可能となります。
上記以外のデバイスは、システムの規模や種類、プログラムの作り方等によって出番があったりなかったりします。
また、『PCパラメータ』の『デバイス設定』タブに無いデバイスとして、『SM:特殊リレー』や『SD:特殊レジスタ』というものもあります。
それらのデバイスは、仕事を進めて行く上で、必要に応じて徐々に覚えて行けば良いと思います。