こんな方におすすめ
- バッテリーの役割と寿命が知りたい方
- バッテリーエラーの対処が知りたい方
- バッテリーの予備がない時の対処が知りたい方
工場で生産したり、設備のメンテナスをしたりしているとPLCのバッテリー低下表示やCPUユニットのBATが点滅しているのを見たことはありませんか?
バッテリーの交換目安を過ぎたままの状態にしておくと、いざ電源を入れた時に運転ができないと言ったこともありえます。
そうなると生産へ影響を及ぼすかもしれません。
そこで今回はPLCバッテリーの「役割」「寿命」「対処方法」について紹介していきます。
予備品がすぐになくても焦る必要はありません。一緒に確認していきましょう。
目次
PLCバッテリの役割
PLCのCPUユニットにはバッテリーが接続されています。
そのバッテリーの役割は停電時に「プログラムメモリ」「ラッチデバイス」「標準RAM」の内容を保持するためにあります。
電源が入っているときはほとんどバッテリーが消費されることはありませんが、バッテリー自体にも寿命があるため、年々劣化していきます。
プログラムメモリとは
プログラムメモリはプログラムや各パラメータ(設定)が格納されています。
ラッチデバイスとは
電源がOFFになってもオンオフを保持してくれるデバイス。
例えば「L」など。
標準RAMとは
CPUユニットに内蔵されているメモリです。
メモリカードなしでファイルレジスタやローカルデバイスファイル、サンプリングトレース、ユニットエラー履歴などを格納しています。
注意点として、プログラムメモリはベーシックモデルやハイパフォーマンスモデルのPLCではバッテリーが低下すると消える恐れがありますが、ユニバーサルモデル(型式にUがつくもの)ではROMに書き込まれるため、消えません。
今後は予防保全の観点からユニバーサルモデルへの置き換えが必要になってきます。
PLCのバッテリー寿命
バッテリーの寿命は通電時間や設置環境、各社メーカーや機種によって異なります。
また、中にはバッテリーを交換できないPLCがあります。
例えば、横河電機製のPLCは耐用年数が10年以上でバッテリー交換は不要です。
三菱電機、オムロン、キーエンス製のPLCはバッテリーを交換する必要があり、使用状況によりますが、大体3年~5年といったところです。
三菱電機製のPLCになりますが、詳しく知りたい方は「QCPUユーザーマニュアル ハードウェア設計、保守点検編」の付4.2をご覧ください。
CPUユニットごとにバッテリー寿命が細かく記載されています。
マニュアルは三菱電機のサイトからダウンロードできます。(※メンバー登録が必要です。)
バッテリー寿命の確認方法
上図はQシリーズのPLC「Q02UCPU」です。
Qシリーズの場合、バッテリーの電圧が低下し、寿命が近づいてくるとPLCのCPUユニットの「BAT」部分のLEDが点滅してきたり、タッチパネルが搭載されている設備の場合はお知らせが表示されたりします。
この他にもPLCとPCを接続して行う「PC診断」や特殊デバイスの「SM51」「SM52」がONしているかモニタで確認することでバッテリーの寿命か判断することもできます。
確認方法
・CPUユニットのBAT表示
・タッチパネルの表示
・PC診断
・SM51、52のモニタ
FXシリーズPLCは本体の「BATT」のランプが点灯し、特殊デバイス「M8006」がONしますが、機種によってはバッテリーがないものがあります。
詳しくは各マニュアルをご覧ください。
下図のPLCは「FX3U」です。
バッテリー消費削減方法について
バッテリー長寿命化機能の有効やファイルレジスタを最小にするなど方法はありますが、自分の周りでそこまで気にしてバッテリー消費を低減している方やメーカーの方は聞いたことがありません。
ファイルレジスタとは
・デバイスの1つ。
・データメモリ「D」のように数値を格納できるが、Dとの違いとして電源がOFFになってもデータは消えない。
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バッテリー低下(エラー)時の対応方法
バッテリーが低下した時の対処方法としてバッテリーを交換することになります。
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【三菱PLC】QシリーズとFXシリーズのPLCバッテリー交換方法
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まだ、PLCのバックアップを取っていない場合はすぐにバックアップをとりましょう。
もし、バッテリーが予備としてない場合は、設備の電源を入れっぱなしにして、PLCのCPUユニットを通電したままにしておきましょう。
バックアップデータがありましたが、心配でした。
今では常時2個ほど予備を持っています。
まとめ:事前に準備をしておくこと
CPUユニットのBAT表示が点滅や設備のタッチパネルにバッテリー低下の警告などが表示がされた場合は交換されることをオススメします。
焦らずに対処するためにも、日ごろからPLCプログラムのバックアップをとっておき、予備品としてバッテリーを1、2個保管しておくのが良いです。
参考文献・サイト
・三菱電機 QCPUユーザーマニュアル(ハードウェア設計、保守点検編)