こんな方におすすめ
- マニュアルモータスタータが何か知りたい方
- マニュアルモータスタータのメリットについて知りたい方
- 電磁開閉器や配線用遮断器との違いについて知りたい方
モータ回路の事故を防ぐために電磁開閉器や配線用遮断器などがあります。
そんな事故を防ぐ機器の中で「マニュアルモータスタータ」という部品がありますが、知っていますでしょうか?
1つの機器に複数の機能が搭載され、効率的にモーター回路を保護できる部品です。
発売されてから10年以上は経過していますが、残念ながら国内ではいまだに普及が進まない機器です。
今回はそんなマニュアルモータスタータの概要を解説していきます。
一緒に勉強していきましょう。
動画でも解説しています。
目次
マニュアルモータスタータとは

MMSとも呼ばれ、モーター専用の遮断器です。
マニュアルモータスタータは1台で、過負荷や欠相、短絡からモータ分岐回路を保護できます。
三菱電機、オムロン、富士電機、シーメンス等から販売されています。

私自身、設計で選定したことはありません。
配線用遮断器とサーマルリレーの概要

過電流が流れ続けると、ケーブルが熱を持って火災が発生する危険性があります。
その点で配線用遮断器は、過電流から回路や電線を保護し、危険を防ぐ重要な役目を果たしています。
一方のサーマルリレーは、「熱を検知して接点の開閉を行う機器」で過負荷保護が目的となります。
電流によって生じる熱でバイメタルが湾曲する仕組みをベースとしています。
サーマルリレー自体には回路を遮断する機能はありません。
電磁開閉器との違い

例としてモーターを制御する場合、
マニュアルモータースタータを使用する場合は電磁接触器が必要になり、電磁開閉器を使用する場合は配線用遮断器が必要です。
電磁開閉器について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。 続きを見る 続きを見る

これで理解!電磁接触器と電磁開閉器~仕組みや用途の違い~

電磁接触器や電磁開閉器を使った配線例を回路図や実態配線図で紹介!
マニュアルモータスタータの役割、メリット

1.配線が少なくなる(配線工数)

よくある回路構成として、配線用遮断器、電磁開閉器(電磁接触器+サーマルリレー)を用いて構成されています。
そのため、組み合わせる機器が多くなり、配線が面倒です。
しかし、マニュアルモータスタータを用いることによって、回路をシンプルな構成にすることが可能です。
2.盤の省スペース化

また、オプションの接続ユニットを選定すると、マニュアルモータスタータと電磁接触器を直接接続することができ、さらにコンパクトにすることでき、配線も少なくなります。
直接接続するマニュアルモータスタータと電磁接触器の組み合わせをコンビネーションスターターと呼ばれています。
3.遮断容量が大きい

アメリカやヨーロッパなどで装置を輸出する場合、UL、EN、IEC規格などの各国の規格に適合してなければいけません。
モータースタータは小型で遮断容量が高く、海外の規格に適合しています。
また、アメリカに輸出する際にはや米国防火委協会(NFPA)が発行している産業機械に限定された電気規格(NFPA79)や米国電気設備技術基準(NFPA70:別名IEC)により、制御盤にSCCR(短絡電流定格)を表示することが義務付けられています。
もし、客先から高いSCCRを求められる場合でも、マニュアルモータスタータを使用することで、対応が可能となります。

改訂内容を調査するのも簡単ではないですね。
SCCR
・Short Circuit Current Ratingsの略
・短絡電流に耐えられる限界電流のことをいいます。
まとめ:マニュアルモータスタータ使用されるのか?

その為、配線工数が減り、制御盤内が省スペースになります。
私個人としては良い商品であり、機会があれば使用したいと思いますが、日本国内ではなかなか普及しておらず、電磁開閉器が主流です。
さらに最近はインバータでモータを制御することが多い為、それも普及しない理由の1つになっている可能性があるかもしれません。
制御盤の中で設置されていることは少ないですが、「マニュアルモータスタータという機器があったな」ということを頭の片隅に置いていただけると、良いかと思います。

