今回の記事では工場などの生産設備に使われる「ねじ」や「ボルト」について、紹介していきます。
記事では「皿ねじ」や「六角ボルト」といった名称を使いますが、ねじとボルトの厳密な定義にはこだわらず、購入時の袋に記載されている商品名をそのまま用いて説明します。
今回は9種類紹介していきます。
ねじとボルトの違いや定義については、こちらの動画をご覧ください。
または、記事「【図解】ねじ(ネジ)・ボルト・ビスの違いを紹介」をお読みください。
動画版はこちらになります。
六角穴付ボルト
キャップボルトとも呼ばれます。
円筒形の頭部に六角形の穴があり、六角レンチを使用して締め付けます。
用途は、強固な締結に適しています。
六角ボルト
六角形の頭部を持ち、スパナを使用して締め付けます。
ナットと組み合わせて使用することもあります。
スパナはラチェット式の方が作業を早く進められますが、固く締まったボルトには通常のスパナを使う方が安全です。
機械や構造物の強固な固定に使用されます。
特に振動や高負荷がかかる部分に最適です。
六角穴付き止めねじ
セットスクリュー、止めねじ、セットネジ、イモネジなどとも呼ばれています。
ねじ部の先を相手の部材に押しつけて固定するためのねじです。通常、頭部がないか非常に小さいため、締結部分が目立たないように使用されます。
決められた位置で半永久的に使用する場合に適しています。
例えば、以下の画像のように機械部品の軸に使用されることが多いです。
低頭ボルト
頭部が低いため、取り付けスペースが少ないところや、座グリ深さが十分に確保できない箇所に使用されます。
さらに頭部が低い、極低頭、超極低頭ボルトがあります。
今回の低頭ボルトの頭部は十字穴タイプですが、六角穴もあります。
値段は通常のものよりも高いです。
用途は、干渉発生時の対策として付けられることが多いです。狭いスペースで使用される場合に便利です。
皿ねじ
頭部が出っぱらないように横から見ると、皿のようになっているねじです。
全体的に平らな頭をしており、外観がきれいに仕上がります。
用途として、扉のヒンジ部分など、ねじ頭部を出っぱらせたくない箇所に使用されます。
装飾や仕上がりが重要な場面で使用されます。
座金組込ねじ
ボルトやねじにワッシャー(座金)を組み込んでいるタイプです。
座金組込ねじのいいところは、ワッシャーがあらかじめ組み込まれているため、逆さまにしてもワッシャーが落ちません。
ワッシャーを入れる手間や落とすことがないので、ワッシャーを使用している箇所では楽です。
なべネジ
なべネジは、頭部が平たく、円盤のような形をしています。
外形が広がっており、「鍋の蓋」に似ていることからその名が付けられたそうです。
頭部は丸い形状で、ネジ頭の表面が広く、接触面積が広いため、取り付ける部品に対する圧力が分散されます。
主に機械部品やカバーの取り付けに使われています。
ネジ頭が隠れてしまっても問題がない場合に利用されます。また、工具でしっかりと締めることができるタイプです。
トラスねじ
トラスねじは、頭部が低く丸みを帯びたドーム状の形をしており、見た目が美しいのが特徴です。
なべネジと比べると、下の画像のように形状に違いがあります。
頭部の接触面積が広いため、木材や樹脂などの柔らかい部品を固定するときに表面への圧力を分散でき、外観を重視するカバーの固定などに用いられます。
一般的には十字穴でプラスドライバーを使って締め付けますが、六角穴タイプもあります。
なお、参考までに、ボタンねじと呼ばれるねじがあり、ボタンねじは、なべねじとトラスねじの中間的な形状で、機械的な強度と美観を両立させたい場合に適しています。
蝶ボルト
ボルトの頭部が蝶の羽のように広がった形をしています。
両端に手で回すための広い部分があり、指で簡単に締めたり緩めたりできます。
用途は、頻繁に取り外しや調整が必要な場所で使用されます。
例えば、カバーやガイドです。工具なしで締めたり緩めたりできるため、手軽に作業を行いたい場合に最適です。蝶ボルト以外にも他にも形状があります。
ただし、頻繁に振動が加わる箇所では緩みやすいため注意する必要があります。
参考:タッピングビス
設備で使用されることは少ないかもしれませんが、タッピングビスを紹介します。
タッピングビスはタッピングねじとも呼ばれています。
自分でねじ山を切りながら、締め付けることができるねじです。
上画像のビスの頭部はトラスですが、ほかには皿、なべがあります。
まとめ
今回は、設備に使用されるネジとボルトの種類や特徴ついて説明しました。
ネジやボルトは、目的に応じて正しく選び、使用することがポイントです。
今回は紹介していませんが、使用する環境によって材質、サイズ、ピッチ、強度の確認も必要です。