今回は記事では誘導電動機(インダクションモーター)の基本原理である「アラゴの円板」を実際に自宅で再現してみたいと思います。
ご存知かもしれませんが、アラゴの円板とは1824年にフランスのフランソワ=アラゴが発見した銅やアルミの円板に磁石を近づけ、磁石を回転すると円板も回転する現象です。
アルミや銅は磁石にはくっつかないので、引き付けられて回転するわけではありません。
実験で現象を確認したあとに仕組みを説明していきます。
動画でも同じ内容を解説しています。
動画の方が好きな方はこちらをご覧ください。
実験:アラゴの円板
今回、使用した材料は「透明なトレイ」、「磁石」、「アルミの円板」、「水」になります。
透明なトレイと磁石はダイソーで100円、アルミの円板はアマゾンで600円にて購入しました。
アルミの円板の代わりにアルミホイルでも良いかと思います。
実験の手順
やり方はとてもシンプルです。
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1トレイに水を入れる
透明なトレイに水を入れます。
水の揺れが収まるまで待ちます。
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2トレイに円板を浮かべる
水を入れたトレイの上にアルミの円板を浮かべます。
今回はアルミの円板が回転しているのが分かりやすいようにシールを貼ります。
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3磁石を回す
水の揺れが収まってから、磁石を円板のふちの上に近づけて、磁石をゆっくり回していきます。
すると、磁石にそってアルミの円板が回転することがわかります。
これがアラゴの円板です。
不思議ではないでしょうか。
このあとはアラゴの円板のしくみを解説していきます。
アラゴの円板のしくみ
アラゴの円板の動く仕組みは、フレミングの右手の法則とフレミングの左手の法則で説明することができます。
本記事ではフレミングの法則について詳しくは説明しませんが、違いについて簡単に説明します。
電流の向きと磁界の向きが分かっているときは、フレミングの左手の法則で力の向きが求められます。
磁界の向きと力の向きが分かっているときは、フレミングの右手の法則で電流の向きが求められます。
アラゴの円板では、まず "フレミングの右手の法則" が登場します。
1.フレミングの右手の法則
フレミングの右手の法則は発電機の原理を説明するときに使われる法則で上図のように中指は「電流」、人差し指は「磁界」、親指は「力」の方向を示しています。
では、分かりやすいように指の向きを変えます。
ポイントとして、実際は磁石を動かしているのですが、フレミングの右手の法則で考えるには、磁石が移動すると考えるよりアルミ板の方が移動すると、考えたほうが分かりやすいです。
磁石をアルミの円板のふちにそって左回りに動かします。
このときにアルミの円板側からみると、アルミの円板が磁石と反対の方向に動いていることになります。
これで磁束の中をアルミの円板が移動している状態になります。
磁束の中をアルミの円板が移動すると、フレミングの右手の法則により、アルミの円板には起電力が発生し、誘導電流(渦電流)が流れます。
アルミの円板に誘導電流が流れると、つぎにフレミングの左手の法則の登場です。
2.フレミングの左手の法則
フレミングの左手の法則は電動機の原理を説明するときに使用します。
図のように左手の中指は「電流」、人差し指は「磁界」、親指は「力」の方向を示しています。
分かりやすいように腕の向きを変えます。
磁界の向きは先ほどと同じです。
この状態でアルミの円板に誘導電流が流れると、
フレミングの左手の法則により、アルミの円板に力が働きます。
この力によってアルミの円板が動き出します。
これがアラゴの円盤の原理です。
磁石によって引っ張られるため、アルミの円板の回転速度は磁石の移動速度より早くなることはありません。
これは磁束の中をアルミの円板が移動することによって、アルミの円板が回転する力を得るからです。
まとめ:アラゴの円板
以上がアラゴの円板についての実験でした。
磁石にくっつかないアルミの円板がなぜ、磁石の方向に回転するのか不思議ではありませんか。
家にある材料で簡単に実験できますので、興味がある方はぜひ試してみて下さい。
聞くより見るより「やってみる」のが一番理解を深めるのに良いと思います。