電気の知識

短絡(ショート)・地絡・漏電は危険!違いを電気屋が簡単に説明!

短絡・地絡・漏電の違いについて

短絡(ショート)と地絡の違い、そして漏電の違いは説明できますか?

恥ずかしながら、新米だったころの私は全然理解していませんでした。

そんな私ですが、今では漏電の調査など後輩に教えながら電気関係の仕事をしています。

これらの違いを知っておくことは電気関係の業務をする上で必要なことです。

今回は新米の方向けに「短絡・地絡の違い」「漏電について」分かりやすくご説明していきます。

この記事を読み終えると、短絡と地絡、漏電の違いを理解することができますので、ぜひ一緒に学習しましょう。

動画でも解説しておりますので、動画の方が良いという方はこちらをご覧ください。


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短絡・地絡・漏電の違い

正常な回路の状態通常、電気は絶縁された電路を通り、負荷へ流れます。

しかし、絶縁の劣化などが原因で流れる予定ではないところへ電気が流れ、危険な状態になることがあります。

その危険な状態として短絡、地絡、漏電があります。

違いとしては短絡や地絡が発生した場合は大きな電流が流れます。

最悪の場合は配線などが燃え、機械や器具が動かなくなります。

漏電の場合は電気が漏れていますが、地絡と比べて電流が小さいので機器や器具は動き続けます。

漏電を見つけるのは難しいことがあります。

では、それぞれ詳しく説明していきます。

電路と絶縁

電路→電気の通る道のことを言います。
絶縁→ゴムやガラスなどを使用し電気を遮断すること

負荷

負荷とは電球や蛍光灯などの照明器具やヒーター、モーターなど電気を利用して仕事するモノのことを言います。

短絡とは

短絡が発生した状態短絡は「ショート」とも呼ばれます。

機器の故障や取り扱いミスなどによって、電気回路の配線間の負荷が非常に少ない、または負荷が全くない状態で接触した時の現象をいいます。

負荷がない状態で短絡してしまうと非常に大きな電流が流れます。

これを「短絡電流」と呼びます。

短絡電流が流れることによって、電線が溶けてしまったり、絶縁被覆が焼損したりするなど大きな事故を起こす危険があります。

また、短絡と同時に激しいスパークが発生し、電気火傷を起こすこともあります。

この短絡は制御回路に使用されている低い電圧のDC24Vでも負荷がない状態で配線間が接触した場合は発生します。

100Vや200Vに比べると小さいですが、スパークします。

負荷とは

負荷とは電球や蛍光灯などの照明器具やヒーター、モーターなど電気を利用して仕事するモノのことを言います。

短絡の要因は、絶縁被覆の劣化や損傷などやドライバの先端で誤って端子間を接触させて起こることが挙げられます。

短絡を起こさないためには電源を切ってから安全に作業することが大切です。

どうしても電源を切れない場合は絶縁シート等を利用し、活線箇所を隔離しましょう。

シマタケ
昔の職場で200Vの回路で短絡を起こした方がいて、その周辺が真っ白になるほどの光が発生し、短絡の要因となったドライバーが溶けたのを見た経験があります。
その光景はあまりにも衝撃的で今でも覚えています。

地絡と漏電とは

漏電及び地絡の状態電気は電線や電気設備、機器の絶縁が損傷した場合や劣化によって絶縁が弱くなると、正規の回路以外に絶縁が弱くなった部分から線間や大地にも流れていきます。

この現象を漏電といい、漏れ電流や漏洩(ろうえい)電流と呼びます。

漏れ電流は新しい電線や電気設備でも非常に小さい値ですが流れています。

漏洩電流が大きくなると感電の恐れがあるため、漏洩電流は小さくしなければいけません。

漏電

電路以外に流れること。

地絡は漏電とは厳密には異なりますが、一般的に漏電と同じ意味で扱われていることが多いです。

漏電との区別として、地絡は電路と大地とつながり、大きい漏れ電流が流れて危険な状態になっていることを言います。

ポイント

漏れ電流が小さくて軽い状態を「漏電」、大きくて危険な状態を「地絡」と区別すると理解しやすいです。

人が漏電している電気設備、機器の金属製のケースに接触すると、身体を通して漏れ電流が流れ、感電してしまいます。

感電しないための対策として、電気設備、機器の金属製のケースなどには、アース線を取り付けたり、漏電遮断器を設置したりして漏電時の感電による災害を軽減します。

アース線に関する記事はコチラをお読みください。

接地(アース)の目的は感電や火災防止?接地工事の種類4つを説明

続きを見る

なお、漏電遮断器の設置が必須な箇所は下記のような法規で決まっています。

労働安全衛生規則 第333条
「漏電による感電災害の多い移動式および可搬式の電動機器が使用されている電路には感電防止用の漏電遮断装置を設けること。」

電気設備技術基準 第40条
「人が容易に触れる恐れのある場所に施設される低圧の金属製外箱を有する電気機器に電気を供給する電路には、電路に地絡を生じた時に自動的に電路を遮断する装置を設けること。」

「移動式電動機械器具」とは、ベルトコンベア、水中ポンプ等のことを言います。

「可搬式電動機械」とは、電気ドリル、電動グラインダー等のことを言います。

シマタケ
漏電遮断器を使用するときはアース線を接続しなければ意味がありません。

漏電遮断器については確認したい方はコチラの記事をお読みください。

配線遮断器と漏電遮断器の違い
あなたは説明できる?配線用遮断器と漏電遮断器の原理や違い・使い方

続きを見る

まとめ:短絡と漏電と地絡

今回の記事では3つの違いを説明させていただきました。

最後にもう一度整理します。

漏電→電路以外に電気が流れること。
地絡→大地に流れること。漏れ電流が大きい状態。
短絡→負荷がない状態で電路間が接触すること。

これらの現象はいずれも危険な状態です。

発生したときに災害事故を防ぐためにも、漏電遮断器や配線用遮断器、ヒューズの使用、アース線の取り付け、絶縁抵抗測定などの日常点検を行いましょう。

シマタケ
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。

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シマタケ

共働きの子育て会社員。工場で15年間働く電気エンジニア。多数の国家資格を取得。施設や工場で働く方々が勉強できる、様々な悩みを解決できるサイトを目指しています。雑記記事も時々書きます。心理学を勉強中でメンタルケア心理士、行動心理士取得。

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