今回の記事は本質安全防爆構造のリレーバリアについて、どのようなものか、実物IDECのEB3C-R10ANを用いて紹介していきたいと思います。
記事では防爆機器に関する単語などが記載されていますので、まずはこちらの記事を読まれてから、本記事をご覧になるとより理解が深まります。
ぜひ、お時間がございましたら、お読みください。
動画でも今回の内容を紹介しています。
配線風景などは動画の方が直感的に分かりやすいので動画が好み方はこちらをご覧ください。
リレーバリアとは
リレーバリアは認定された本質安全防爆構造のリレー中継機器です。
本質安全防爆構造を構成する際に必要となる、安全保持部品であり、バリアリレー、バリア、接点信号変換器などとも呼ばれています。
今回、配線するこのリレーバリアは危険場所の一番厳しいところの特別危険箇所(ゾーン0)で使用可能です。
危険場所で電気機器を使用する際はもちろん防爆規格を取得した機器でないと使用できません。
リレーバリアの役割
リレーバリアは本質安全防爆構造です。
危険場所の現場へ供給される電気エネルギーを制限し、ループの断線または短絡時でも着火に至る火花が発生しないレベルに抑えることができます。
本質的に安全な回路構成および電気レベルとなっているので、爆発性ガス雰囲気の中で普通タイプの押しボタンスイッチやリミットスイッチ、圧力スイッチなどの接点開閉動作をする部品の使用が可能です。
今回の記事で紹介するのはIDECのリレーバリアEB3Cシリーズです。
種類として電源はAC100~240Vの交流、DC24Vの2種類があります。
また、回路の種類として、リレー出力とトランジスタ出力の2種類、機器を接続できる回路数は1~16と豊富です。
今回の配線で使用するのリレーバリアはAC電源のリレー出力タイプで回路数は10です。
リレーバリア―の仕組み
上図はIDECのカタログに記載されている内部回路ブロック図の例になります。
下側のA1、C1などと書かれた方が非危険場所側(非本安全回路)
上側が危険場所側(本安全回路)となり、危険場所からの機器の入力を接続する場所になります。
AC電源(LとN部分)は直流電源に変換され、さらにDC/DCコンバータにより、直流が降圧されています。
非危険側と危険側はアイソレーション(導体的に分離し、絶縁)された状態であり、入力と出力の間のフォトカプラも絶縁されています。
リレーバリアの配線
次に実際に配線してどんな動きをするか確認していきたいと思います。
今回は動作確認時にずっと押しておくことが、一人では厳しい為、セレクタスイッチを使います。
リレーバリアは電源を接続する側が非危険場所、 SAFE AREAと書かれた側になり、こちらにPLCの入力ユニットの配線を接続したりします。
青色部分は危険場所にある機器を接続する側になり、HAZ.AREAと書かれています。
今回は試しに入力側である危険場所側にセレクタスイッチを接続して、非危険側にPLCの入力ユニットを接続し、どのようになるか確認していきます。
実配線
下図のように配線していきます。
注意
今回、PLC側の電源や24V電源の1次側は予め、配線してあります。
1.PLCの入力ユニットQX40のコモン端子に24V電源のプラスを接続します。
2.リレーバリアに電源AC100Vを接続します。
3.つぎにセレクタスイッチをリレーバリアのP1とN1に接続します。
4.24V電源のマイナス側をリレーバリアのC1に接続します。
5.PLC入力ユニットの端子1とリレーバリアのA1を接続します。
動作確認
では、動作を見ていきます。
1.電源を入れると、PLCとリレーバリアに電源が供給されます。
2.つぎに危険場所側の電圧をテスターで確認してみます。
電圧は直流12Vです。
ちなみに非危険場所は直流24Vになります。
非危険場所側と危険場所側で電圧の違いがあります。
3.この状態でセレクタスイッチをONにしてみると、危険場所側のCH1 P1横の表示が点灯し、入力されます。
4.すると、リレーバリアの出力側からPLCの入力ユニットに信号が入り、X00がオンします。
動作確認は以上です。
このように、リレーバリアは中継器の役割があります。
まとめ:リレーバリア
今回の記事では本質安全防爆構造であるリレーバリアについて紹介しました。
使用したIDECのリレーバリアEB3Cシリーズはゾーン0で使用することが可能なリレー中継機器です。
最も安全な防爆構造となりますが、エネルギーが小さな電気機器にしか使えません。
また、私自身も何度か交換していますが、リレーバリア自体の入出力接点が故障することもありますので、定期的な点検が必要です。
少しでもリレーバリアがどのような電気機器であるか参考になれば幸いです。
分かりにくいと感じた方は、動画でご覧ください。