突然ですが、テスターなどの測定器の端子部分やプローブ(リード棒)に「測定できる箇所を示す測定カテゴリーと対地間電圧の限度」が書かれているのをご存知でしょうか。
例えば、テスターでしたら、この部分↓
分かりにくいですが、プローブ部分にも書かれています。
絶縁抵抗計でしたらこの部分↓。
同じように文字と数字で示されています。
今回の記事では、測定器を安全に使用するために、知っておく必要がありますので、今回は測定器の端子部分などに書かれている「測定カテゴリー」と「対地間電圧」について説明していきたいと思います。
注意
測定カテゴリと似た用語、定義として過電圧カテゴリ(設置カテゴリ)がありますが、こちらは電気機器に適用されます。今回は触れません。
Youtubeでも説明しています。
目次
測定カテゴリーとは?
測定カテゴリーとは測定してよい場所を示します。
こちらのテスターをご覧ください。
英数字でCAT Ⅲ600V 、CATⅣ300Vと書かれています。
CATと書いて、キャットと呼ばれています。
左側のCATⅢ、CATⅣが測定カテゴリーです。
これは作業者がテスターなどの測定器を安全かつ適切に使用するための基準であり、IEC 61010やJIS C1010等で規定されています。
測定箇所の対地間電圧や短絡故障のときに流れる電流の大きさ、測定箇所に生じる突発的な過電圧は、測定箇所によって異なりますので、測定カテゴリⅡからⅣの3つに分類されています。
例えば、測定カテゴリⅡでしたらCAT II (キャット・ツー)、カテゴリⅢはCAT III (キャット・スリー)です。
測定カテゴリの種類
では、順にカテゴリの内容について説明していきます。
測定カテゴリⅡ(CAT II)
コンセントに直接接続する機器の電源プラグから機器の電源回路まで
例
コンセント
測定カテゴリⅢ
分電盤から電力を直接取り込む機器(固定設備など)の電源配線と電源回路、
および分電盤からコンセントの裏側の配線端子までの配電路
例
分電盤のブレーカや、コンセントの裏側など
測定カテゴリⅣ
建造物への引き込み電路、引込口から電力量メータおよび分電盤までの電路
例
キュービクル内の三相電源ブレーカ
以上、3つのカテゴリに分類されていることから、測定器は、その過電圧に耐えることができるように設計されています。
カテゴリの数値の小さい測定器で、数値の大きい測定箇所を測定すると、重大な事故につながる恐れがありますので、使用する際は注意する必要があります。
参考:0
JIS C1010-2-30 付属書AA に「0」ということで測定カテゴリのない測定回路というのが記載されています。
こちらは主電源に直接接続されていない機器が該当します。
例
自動車
テスターの測定で気を付けること
例えば、このテスターの場合、キャップをつけた状態でCATⅣ300V、CATⅢ600V、取り外すとCATⅡ600Vになります。
ですので、キャップを外したままではCATⅡになりますので、分電盤のブレーカやコンセントの裏側の電圧を測定してはいけません。
測定するときはキャップを取り付けた状態で測定しなければいけません。
100Vコンセントの場合はCATⅡになりますので、キャップを外して測定しても問題ありません。
対地間電圧(対地電圧)
測定カテゴリとなりの数値は対地間電圧の限度を示します。
線間電圧ではありません。
このテスターの場合はCATⅢで対地間電圧600Vが上限 CATⅣでは300Vが上限です。
一般家庭や工場で使用する分には問題ありません。
対地間電圧
対地間電圧とは地面(対地)を基準、0Vとしたときの電源線との間の電圧のことを言います。
線間電圧
線間電圧は「電線と電線の間の電圧」、2つの電線の間の電圧のことをいいます。
表示されている対地間電圧について
測定カテゴリの横に書かれている対地間電圧の数値は測定箇所に発生している対地間電圧により、通常は300V, 600V, 1000Vの3種類に分類されています。
各供給方式の対地間電圧
例えば、単相3線式の場合、対地間電圧は100Vになります。
デルタ結線の3相三線式の場合は、対地間電圧は200Vになります。
ですので、測定カテゴリCATの横に300V、またはそれ以上の電圧が書かれている測定器は単相3線式や三相3線式の対地電圧より限度が上ですので使用可能です。
まとめ
今回は測定カテゴリについて紹介しました。
以上のことから、測定カテゴリーと対地間電圧から、突発的な過電圧を定めており、測定カテゴリーの数字が大きく、対地間電圧の数字が高いほど、高い過電圧に耐える測定器であることが分かります。
もし測定カテゴリを満たしていない測定器で測定すると、重大な事故につながりますので、安全規格を満たす測定器を使用しなければいけません。
普段、何気なく使用しているテスターなどの測定器ですが、見たことがない方は、ぜひお持ちの測定器の測定カテゴリを確認してみてください。
参考文献・サイト
日本産業標準調査会 JIS C 1010-1、JISC1010-2-30