こんな方におすすめ
- 分電盤の図面の見方を知りたい方
- 図面に何が書かれているか知りたい方
- 分電盤の図面の種類について知りたい方
今回の記事では照明やコンセント用の分電盤として設置されている電灯分電盤の図面の見方について、分電盤内の画像を使用しながら初心者の方に向けて分かりやすく説明したいと思います。
内容は主に単線結線図の見方にになります。
動力盤や展開接続図にかかれているリモコンリレー関係の細かい説明については別の記事で紹介したいと思います。
この記事をご覧になる前に、"分電盤って何?"という方は以下の記事を先にご覧いただけるとより理解を深めることができると思います。
YouTubeでも説明しています。記事より動画が好みの方は以下からどうぞ!
注意
・盤の製造メーカーによって図面の書き方は異なります。
・ユーザーとして色々な分電盤の図面を見てきた中での一般的な話となります。ご了承ください。
目次
分電盤図面の基本構成について
図面の構成についてお話していきます。
分電盤図面は一般的に平面図として描かれます。
図面の種類として上画像には6枚しか載せていませんが、例として、以下の種類があります。
図面の種類
・表紙
・仕様書
・外形図(組立図)
・単線接続図
・展開接続図
・端子台配列図
・使用機器一覧表など
いま申し上げた図面で表紙と仕様書、使用機器一覧表は各盤に1枚ずつではなく、まとめて製本された図書やファイルに1枚かもしれません。
あと、すこし余談になりますが、図面の保管場所は盤内に置かれていたり、竣工図・施工図、完成図書として、本棚に保管されていたりします。
注意ポイント
表紙と仕様書、使用機器一覧表については割愛します。
外形図
外形図には主に「外形寸法」「配線口(配線孔)」「取付方法」「盤の仕様」などの情報が書かれています。
分かりやすいように番号をつけて、各部分を拡大してみます。
【1】外形寸法
分電盤の高さ、幅、奥行きなどの寸法が書かれています。
【2】配線口(配線孔)
分電盤には配線を通すための穴があります。外形図では、これらの配線を通すための穴の位置やサイズが示されることがあります。
【3】取付方法
分電盤が壁面取り付けかフロアに置くか、どのように取り付けられるかが示されています。
今回の図面は基礎図が書かれており、アンカーボルト取付穴も書かれていますので、フロアに置く分電盤であることが分かります。
【4】盤の仕様
製造元や盤の塗装色、盤の扉厚さ、鍵の種類などの情報が書かれていることがあります。
あとは、分電盤には、内部の電気部品を保護するための開閉扉やカバーがありますので、外形図には、扉やカバーの位置と開閉方法が示されることがあります。
また、分電盤は電気部品の発熱があるため、排熱対策が重要となりますので、外形図では、分電盤の周囲に空間が確保されていることや、通気口(通気口)があることが示されることもあります。
単線接続図
単線接続図は遮断器、変圧器などの機器全体的な接続関係をわかりやすく表現するために、接続状況を1本の線で表した図です。
各機器は図記号、文字記号、器具番号などを用いて表示します。
図記号などについてはIECの規格に準拠した日本産業規格JIS C0617に書かれた記号を用います。
では、分電盤内の画像も交えながら順番に見ていきます。
GL-01
まず上から、GL-01。
「GL-01」はこの盤の主幹となる幹線の名称を表します。
今回の図面は工場で高圧受電をイメージしていまして、幹線は上流の受電設備(配電盤)がある電気室やキュービクルから接続されています。
1φ3W 200-100V
1φ3W 200-100Vはこの分電盤の電源の種類です。
単相3線式で200-100Vであることを表しています。
他に、電源の種類として3相3線式 200Vなどがあります。
CVT150sq
上流の受電設備(配電盤)から配線されているケーブルの種類とケーブルサイズを表します。
CVTケーブルはトリプレックスケーブルとも呼ばれており、単芯の3本をよりあわせた架橋ポリエチレン絶縁ビニルシース電線で、
電力用ケーブルとして国内で幅広く普及していうケーブルです。
サイズは150sqです。
JIS規格では導体サイズを四角形の面積として表します。
呼び方はスクエア、スケ、スケアと言われています。
断面積の大きさは平方ミリメートルと同じです。
斜め線
つぎにCVT150sqと書かれた横の1本の線に斜め線が3本あるかと思いますが、3本の電線を接続していることを表しています。
今回の図面では斜め線が書かれていますが、中には斜め線がない図面もあります。
銅バー
銅バーはバスバーやブスバーとも呼ばれ、ブレーカーや電線を接続するための部品です。
下の画像のとおり、金属の板です。
今回の図面の部分はCVT150sqのケーブルが銅バーと接続されていることを意味します。
黒丸
黒丸は接続を示します。
銅バーと1R、1Nのケーブル等とがつながっていることを意味します。
図面の他の場所にも黒い丸がありますので、黒丸がある場合は、接続されていると考えてください。
ヒューズ
少し右にある四角の記号はヒューズ 3Aを示します。
ヒューズとは回路に過電流が流れたとき、自ら溶断して回路を遮断する部品です。
上画像のようにヒューズとヒューズを入れるホルダーとセットで使用されます。
表示灯
横の記号は盤の表面に設置されている白色の表示灯(電源ランプ)を表します。
これは電源が供給されているか、表示するためのランプです。
記号の横に英字でと点灯色が示されています。
今回の図面には「WL」と書かれてるので、白色の表示灯です。
赤ロック付の遮断器
図面の少し下を見ると、遮断器(ブレーカ)の記号と四角の枠があります。
今回の図面では誘導灯用の遮断器となっていますが、同じように分電盤の中には誘導灯や非常照明回路など、消防設備関係の電源としてブレーカーが設置されていることがあります。
誘導灯とは下画像のような避難口や避難方向を指示するための照明機器です。
遮断器の定格は2つとも50AFで20ATです。
デバイス番号と回路番号については後程説明しますので、今は省略します。
AF(アンペアフレーム)とAT(アンペアトリップ)
遮断器の大きさ・最大定格電流を表しているものをAF(アンペアフレーム)と言い、この値が大きくなるにつれ、容器の寸法や遮断容量が増加し、AT(アンペアトリップ)はブレーカーの定格電流、何Aでトリップするかを表しています。
遮断器についてもう少し詳しく知りたい方はこちら↓をお読みください。
上画像の遮断器の図記号上に赤ロック付とかかれていますが、ブレーカーに赤色のハンドルロックという部品がついています。
赤ロック付の遮断器について、これは消防設備などの電源を落としてはいけませんという意味の表示です。
過電流や短絡が発生した場合、ハンドルロックが付いているため、ブレーカーのつまみは落ちませんが、内部でトリップし、電流は遮断されますので安全です。
メイン遮断器
こちらの遮断器の図記号 MCCB 225AF 200ATの遮断器はこの盤のメインブレーカー(遮断器)です。
分岐用遮断器
メイン遮断器の下に銅バーを介して接続されている(分岐用)遮断器が左右に複数あります。
イメージとして下画像になります。
例えば、左端の遮断器を見てみます。
まず図記号からです。
遮断器の種類は漏電遮断器ではなく、配線用遮断器です。
つぎに電圧について、単相200Vと100Vありますが、左上の遮断器は遮断器の図記号横に200Vと書かれているので200Vです。
もし、書かれていない図面があった場合、現物での見分け方として、銅バーのどこに接続されているかの確認、遮断器の文字色の確認、テスターで実際に電圧を測定する方法があります。
単相200Vと100Vの見分け方
今回は銅バーと遮断器の文字色について紹介します。
銅バーで見分ける方法
メインブレーカーから下に銅バーとよばれる金属の板が3つあり、この3つのうち、2つを岐用のブレーカーと接続するのですが、どれを接続するかによって電圧が異なります。
例えば、赤と黒色のシールが貼られている銅バーと接続されているブレーカーは単相200V
赤と白、または黒と白のシールが貼られている銅バーと接続されているブレーカーは単相100Vとなります。
遮断器の文字色について
銅バーだけでなく、ブレーカーの文字色を見てください。
単相200Vと単相100Vのブレーカーは文字の色が異なっており、単相200Vがオレンジ色、単相100Vが白色になっています。
上画像はとある分電盤の画像になりますが、こちらも200Vがオレンジ色、100Vが白色になっています。
デバイス番号
デバイス番号は0Aです。
この遮断器を示す番号みたいなものです。
MCCB 0A や0Aの遮断器と言えば、この遮断器のことです。
回路記号
回路番号は二重丸の1です。
今回の図面では二重丸は200V、丸は100Vと区別しています。
回路番号は(電灯)照明設備の図面でどの照明がどの遮断器と接続しているか回路を示すときに使用します。
例えば、こちらの図面をご覧ください。
二重丸の1の遮断器と接続されている照明器具は上画像のように、接続されている回路が分かります。
機器名称
機器名称(定格)は50AFで20ATです。
負荷名称
負荷名称は部屋A他 照明とかかれているので、部屋Aと他の部屋の照明器具の回路だということが分かります。
リモコンリレー
遮断器横の記号を見てください。
これはリモコンスイッチを押したときに照明を点灯させる為のリモコンリレーを表します。
リモコンスイッチとはこの画像ようなスイッチです。
このスイッチを押すと、盤内に設置されているリモコンリレーがカチッと動き、照明をオンオフすることができます。
一般的なスイッチと異なり、複数のリモコンリレーを同時に動作させるグループ制御なども可能なため、玄関などの出入り口で一斉に照明を切るといった使い方ができます。
リモコンスイッチを使用したいときはスイッチと照明を接続して電源を供給するだけでは使用することができません。
今回の記事は詳しく説明いたしませんが、リモコンリレーに電気を供給するための機器であるリモコントランスや、制御するための伝送ユニットへ電気を供給する必要があります。
今回の図面では二重丸6の遮断器の回路がそれに該当します。
なお、リモコンリレー関連、トランス、伝送ユニット、ターミナルユニットなどの具体的な配線は展開接続図と呼ばれる図面などに書かれています。
アラーム付漏電遮断器
図面の真ん中にあるデバイス09を見てみます。
こちらは100V ELCB漏電遮断器 定格感度電流30mAアラーム付 部屋A-2のコンセントに接続されていることを表しています。
定格感度電流(mA)とは漏電遮断器がトリップする、漏洩電流のことを言います。
AL付ですので、下画像のように遮断器から配線がでています。
この配線を利用して、漏電であることをランプや信号で知らせることがあります。
こちらの具体的な配線は展開接続図に書かれていることが多いです。
コンセントの図面も確認してみます。
デバイス09の回路番号は3 部屋A-2ですので、色のついた回路がデバイス09の回路となります。
あと2つ確認してみます。
予備の遮断器
デバイスの20
こちらは単相100V 50AF/20ATの配線用遮断器です。
負荷名称は予備となっていますので、遮断器の2次側に負荷は接続されていません。
下の画像は負荷がつながっていない遮断器のイメージです。
予備の遮断器は新しくコンセントや機器を増設するときに、容量が足りない場合などに使用します。
スペース
デバイス22をご覧ください。
「スペース」と書かれています。
こちらは増設できるスペースだけ確保されており、遮断器は設置されていません。
予備の遮断器がない場合は、遮断器を増設したり、銅バーを追加して増設か所を増やしたりして対応します。
アースバー
最後に、右下に書かれている部分についてです。
こちらはアース線を設置する銅バーを表しています。
アースバーとも呼ばれています。
今回の盤にはED(ELCB)とかかれている方とEDとだけ書かれている2種類の銅バーがあります。
2種類存在する理由についてですが、内線規程1350-13で以下のように書かれています。
漏電遮断器で保護されている電路と保護されていない電路などの接地線は、共用しないこと
※2Ω以下の低抵抗の接地極を使用する場合は、この限りでない。
出典:内線規程1350-13
ELB回路のケーブルを結線する際は、盤の内部を確認しELB専用接地端子にアースを接続しなければいけませんが、中には共用になっている分電盤もあります。
展開接続図
展開接続図は電気回路の配線や部品の配置を平面上に示した図です。
操作順序に従って左から右(縦書き)または上から下(横書き)へ展開して表した図です。
今回の図面では左から右の縦書きで、上の図面はリモコンリレー関係の配線が書かれており、下の図面は漏電警報の回路が書かれています。
まずはリモコンリレー関係の展開図について説明したいところですが、記事の文字数が長くなってきましたので、別の記事で紹介させていただきます。
展開接続図の説明
今回の記事では漏電警報の展開接続図について説明させて頂きます。
漏電警報の展開接続図について、図面の上側をみてください。
接点が7個並列に接続されていますが(黄色枠の部分)、これは各漏電遮断器のアラーム接点になります。
7個の漏電遮断器のうち、1つでも漏電が発生すると、その該当する漏電遮断器のアラーム接点がONし、リレー(CR)と表示灯
(OL)に電気流れ、リレーCRがON、表示灯OLが点灯します。
下の画像はイメージになりますが、漏電とかかれた銘板が付いているオレンジ色のランプです。
図面の少し上をごらんください。
「中央監視制御盤へ」と書かれている回路があります。
こちらはリレーCRがONしますと、リレーCRの接点もONし、01と02が接続されます。
接点がONすることによって中央監視制御盤へL-1が漏電発生したという信号が入ります。
端子配列図
他の設備などと接続するために端子台を介して接続しますが、端子台の配列を示した図面などがあることもあります。
まとめ:分電盤図面
今回は初心者の方向けとして分電盤図面の見方 電灯盤について説明しましたが、初めての方にとっては少し難しく感じたかもしれません。
私も初めて図面を見た時は全然分かりませんでした。
何度も図面と現物を見返えしていると、電気の知識が深まり、そのうち図面の内容が分かるようになってきますので、諦めずに何度も確認してみてください!
参考文献・サイト
内線規程