電気主任技術者資格の取得を目指して勉強をしていますか?
難易度が高いことから取得できずに困っている方もいると思います。
実は、試験以外にも認定という形で取得する方法があります。
このページにたどり着いたということは「認定」で簡単に取得したいと思っている方がいるのではないでしょうか。
私の高校時代の友人に1人だけ「認定」で取得した人がいますので、感想を聞きました。
認定と聞くと、試験より楽というイメージがありますが、実は認定も大変です。
今回は、電気主任技術者資格の「試験」と「認定」での取得方法について、違いを解説していきます。
目次
試験と認定の違い
電気主任技術者の資格を取得するには2種類の方法があります。
どちらも法的に違いはなく、免状を取得できます。
ただし、免状に記載されている資格番号が違うので、どちらで取得したか免状を見ると判別可能です。
試験合格者は「E」で始まる資格番号であり、認定取得は主管する産業保安監督部によってアルファベットが決まります。
試験での取得
電験三種を取得する方法の1つが筆記試験の受験です。
理論・電力・機械・法規の4科目をすべて合格しなければなりません。
各科目の主な内容は下記の通りです。
【理論】
電気に関する計算問題が基本です。
オームの法則を用いて電流や電圧、抵抗の大きさを求める問題が主流です。
まずは理論から受験をオススメします。
【電力】
発電所から家庭に電気が届くまでの仕組みに関する理解が問われます。
変圧器や送電線、鉄塔などに関する知識が出題されます。
実際に鉄塔や電柱を見ると勉強になります。
【機械】
主にモーターや変圧器などの仕組みが問われるほか、近年では情報機器に関する理解を問う問題も出題されています。
電験三種の科目の中でも最も難易度が高く、合格平均点も低い傾向です。
出題範囲が広く、私は一番苦手な科目でした。
【法規】
電気事業法や電気工事士法、電気用品安全法など、電気に関する法律が出題されます。
事故の報告義務などの問題も取り扱われるので、実務にも関係が深い内容です。
覚えて損はありません。
試験による取得のメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
・実務経験に関係なく、誰でも受験できる。
デメリット
・たくさん勉強しなければいけない。
私は合格するまでに5年かかっています。
合格するには「合格したい」という強い意志とたくさん勉強することが必要でした。
私のような失敗をしてほしくないと思い、勉強時間や勉強方法など当時の体験をまとめました。
ぜひ、ご興味のある方はご覧ください。
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認定での取得
電験三種は他の電気系資格と異なり、筆記試験を受験しなくても取得できる方法があります。
産業保安監督部の面接試験で電気に関する専門的な知識や経験を認めてもらう方法です。
「認定取得」や「認定」と呼ばれています。
しかし、こちらには条件があり、誰でも認定取得できるわけではありません。
経済産業省が認定した学校を卒業し、電気工事や電気設備の維持運用・保守点検業務の実務経験を積む必要があります。
面接では、職場の電気設備をまとめた図面などをもとに質問での試験が行われます。
日ごろの勤務で、職場にある電気設備の仕組みを細部まで把握しておくことが重要です。
メリット
・実務経験が豊富であれば取得しやすい。
・筆記試験を受けなくてよい。
デメリット
・申請書類の提出が大変。
・面接のため、電気に関する知識を説明しなければいけない。
・認定校を卒業して単位を取得していなければならない。
認定した学校とは
全国にある電気系の学科(学部)がある高校や高専、大学が認定校に指定されています。
注意点とし認定校を卒業すれば条件を満たすわけではありません。
電験3種の試験科目に相当する単位を取得していることが条件ですので、電気科や電気工学部などを卒業した方が対象となります。
気になる方はご自身の卒業された学校に問い合わせるのが良いです。
認定校一覧は「経済産業省 中部近畿産業保安監督部近畿支部」ホームページの一番下「3.認定校一覧」をクリックするとPDFで確認することができます。
当時、先生から認定校の条件を維持するために、実習機や授業科目などにルールがあり、維持するのがけっこう大変だと聞いたことがあります。
必要な実務経験年数
電験三種の認定取得に必要な実務経験は以下の通りです。
学歴によって異なります。
学歴 | 実務経験 |
高校卒業 | 3年 |
短大・高専卒業 | 2年 |
大学卒業 | 1年 |
実務経験の内容
500V以上の電気工作物(発電設備、変電設備、配電設備など)の工事や維持・運用が実務経験となります。
中には実務経験は含まれない工事がありますので注意しましょう。
詳しくは「経済産業省 中部近畿産業監督部」をご覧ください。
試験と認定の申し込み方法
電気主任技術者資格は試験と認定で申し込み方法が大きく異なるのが特徴的です。
試験での申し込み方法
試験の申し込み方法は郵送とインターネットに分かれています。
郵送の場合は、受験案内・申込書に折り込まれている受験申込書に必要事項を記載し、ゆうちょ銀行の窓口に提出します。
受験手数料は5,200円です。
インターネットの場合は、一般財団法人電気技術者試験センターのホームページにアクセスして指定のフォーマットに必要事項を入力します。
その後、指定の方法によって期限内に支払手続きを済ませます。
具体的な支払方法は銀行振込、クレジットカード決済、コンビニ決済などです。
受験手数料は4,850円です。
認定での申し込み方法
認定で申し込む際は申請書を作成し、経済産業省が管轄する各地域の産業保安監督部に電話で予約をします。
担当者に書類を審査してもらい、指摘された不備について訂正します。
その後、面接試験が実施されるので、審査の結果を待ちます。
合格後に勤務先から実務経験の証明書をもらい、あらためて申請書類を提出します。
必要書類は下記の通りです。
・主任技術者免状交付申請書
・卒業証明書
・単位取得証明書又はこれに代わるもの
・実務経歴証明書
・戸籍抄本又は住民票(本籍の記載のあるもの)
・免状送付用宛先用紙
申請の費用は収入印紙にかかる6,600円です。
書類を作成する際は、PCソフトを用いても構いません。
まとめ:まずは試験での取得から
電気主任技術者の資格取得は、実は筆記試験での合格のほうが現場では実力を認められる傾向にあります。
認定での試験では、受電管理に必要な計算力や設備の本質的な仕組みに対する理解度を正確に測ることが難しいでからです。
また、友人から聞いた話では試験中に「国家試験に何回チャレンジしましたか?」と質問され、できるだけ筆記試験で合格することを勧められたそうです。
実際に就職や転職の面接でも、まず筆記試験か認定かを確認されることもあります。
筆記試験での合格者だと面接官から評価されやすく、採用につながりやすくなります。
そのため、電験三種を取得する際は、可能な限り試験の受験を検討してみましょう。
電験三種を認定で取得するのは試験で取得するより楽だと考えているのなら、それは大きな間違いと言えます。
どっちも大変です。
特に認定では面接が重要視されていますから、結局は電気の知識が必要です。